第4話

「明珠、前から何度も言ってきただろう。妊娠を理由に無茶なわがままを言うのはやめて、さっさと春香に謝れ！そうしないなら、今すぐ離婚だ！」

私は彼の言葉に思わず笑ってしまい、バッグから前もって準備しておいた離婚届を取り出し、彼の前に叩きつけた。「いいわよ。今すぐ離婚しましょう」

陽介が離婚届をちらっと見て、表情が一変し、冷たい視線で私を睨みつけた。

「明珠、お腹には子供がいるんだぞ。君が今、妊娠中で情緒不安定なだけだ。俺は君を許すから」

私は冷めた目で彼を見つめ、しばらくしてからゆっくりと口を開いた。

「陽介、私が一時の気の迷いかどうかは、あなたが一番よくわかってるでしょ」

陽介の顔が一瞬で硬直し、隣で春香が何か言おうとするが、彼に遮られた。

「春香、俺たちには話があるんだ。少し外してくれるか？」

春香は不満そうに私を睨んだが、離婚届の財産分与の欄に目を通すと、怒りで目を見開いた。そして何か言おうとしたところで、陽介に背中を押され、ドアの外に出されてしまった。

彼女が出て行った瞬間、陽介は声を柔らかくして言った。

「明珠、春香と仲がいいのが君にとって面白くないのはわかっている。でも安心してくれ、春香はあくまで妹のような存在なんだ。君こそが俺の妻であり、永遠に関山家の夫人だ。

それに、君が離婚したら、子供はどうなるんだ？まだ生まれてもいないのに、君はこの子を一人親家庭で育てるつもりか？」

私はただ黙って彼を見つめた。

「陽介、あなたは私のことを愛していないわ。離婚して、春香のために場所を空けてあげるんだから、嬉しいんじゃない？」

陽介はすぐに離婚届を脇に放り投げた。

「俺がどうして君を愛していないって言えるんだ......」

専用の着信音が鳴り、私は見なくても春香からの電話だとわかっていた。

私の視線を感じながらも、彼は一瞬だけ躊躇した後、電話に出た。電話の向こうで何かが伝えられると、彼はすぐに立ち上がって私を見た。

「春香が何かあったらしい。様子を見に行ってくる」

私は無表情のまま彼を見つめ、何も言わなかった。彼が私にキスをしようと顔を近づけてきたが、私はそれをかわし、彼は気まずそうにその場に立ち尽くした。

「明珠、今度こそ春香とはきっぱり距離を置くって約束するよ」

私は床に落ちていた離婚届を拾い上げ、淡々と言った。

「明日の