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第 939 話

Author: 水原信
「温井記者」

その声に、海咲は思考から引き戻された。彼女が反射的に振り向くと、軍服を着た男がテントの入り口に立っていた。部隊の仲間だった。

「同志、何か用ですか?」

「はい、イ族から大量の物資が送られてきました。あなたに署名していただくよう指定されています」

「わかりました」

この5年間、海咲がどこにいようとも、イ族からは定期的に大量の物資が送られてきていた。届けに来るのは別の人間であり、清墨やファラオの姿を見ることは一度もなかった。しかし、彼女の口座には毎月まとまった金額が振り込まれていた。

送られてきた物資は、この地域の貧しい人々を助けたり、軍人たちの食事を改善したりするのに役立つものばか
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