共有

第60話

週末、成京のボリュームオークションハウス。

会場の外には多くの記者が集まっていたが、富豪たちのプライバシーを守るため彼らは外で待たされていた。ここに来るのは本物のトップコレクターや投資家ばかりであり、注目を集めたい有名人とは違いインタビューには興味がなくただ宝物を手に入れることだけを目的としていた。

ただし、宮沢秦、金原秦と金原柔だけは例外だった。

毎年この時期になると秦は豪華な衣装で慈善オークションに出席し、まるで三流の有名人がレッドカーペットを歩くかのようにメディアの前で堂々とポーズを取っていた。そして、スタッフに説得されて渋々と会場に入るのが常だった。

まるで20年以上前に他人の家庭を壊してのし上がった昔の女優であることを忘れさせまいとしているかのようで、この2年間は恥ずかしくて参加していなかった。それが彼にとってどれほど価値を下げる行為かと思っていたのだろう。

しかし、今年は宮沢秦がその手を使うことはなかった。昨晩、金原秦が何度も頼み込んで今回は自分たち母娘が目立つ場を譲ってほしいとお願いしたからだ。親戚のよしみで宮沢秦は嫌々了承したのだった。

そのため今年の「迎賓役」は金原母娘に交代した。

「今回は金原がオークションに出席し、素晴らしいコレクションを落札して、慈善活動に貢献したいと思っています」金原秦は集まった記者たちに向かって、上品な貴婦人のように発言した。

「金原夫人、最近の金原グループの財務状況はいかがですか?すでに破産寸前だと聞いていますが?」記者が鋭く質問した。

「金原澤馭様の調査は終わりましたか?有罪判決が下るのでしょうか?」

「お嬢様と宮沢グループの社長との間で破局が噂されていますが、事実でしょうか?」

破局?!

柔はその言葉に反応し、床まで届くスカートを持ち上げて前に出ると、目を大きく見開いて記者を睨みつけ、記者は恐怖で頭皮がピリピリした。

「破局って何よ?そんな話、どこで聞いたの?!」

「いや、その......金原さん、そんなに緊張しないでください。ただの質問ですから。金原が問題を抱えている今、宮沢社長があなたの婚約者でありながら、一切助け舟を出さずコメントもしていないとなれば、外部でそういった憶測が生まれるのも無理はないでしょう」

「私と隼人お兄様は別れてなんかないわ!あなたたち、嘘をつくんじゃないわよ!」
ロックされたチャプター
この本をアプリで読み続ける

関連チャプター

最新チャプター

DMCA.com Protection Status