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8-3.ヒビキも祭りに酔う

last update Huling Na-update: 2025-04-25 18:00:52

 三社祭。日中は暑かったけど、夕方になっていい感じに涼しくなってきた。シラベたちに一緒にって誘われたけど、仕事って断った。これも一応仕事だし。一人でぶらぶらしてるのは運営委員会が決めた変なルールに反すると思って、せめてってこのお面買ったけど大丈夫かな。ピロシキに目鼻つけたようなやつだった。これ、違くないか?

 夜店のどぶづけの中見たら、「辻沢ダイゴ」ばっかり残ってるし、ラベルシール、瓶からはがれて水の中で泳いじゃってる。やっぱプロダクトの急ごしらえは禁物だ。

「ママー、このミルクおえー」

「だから変なの買わないのっていったでしょ。いらないなら捨てちゃいなさい」

「ぼく。泣くな」

 お、いなせなおニーさん登場。さらしにハチマキ、似あってるね。

「このラムネと交換してあげるよ。いいや、お金はいらないよ、ママさん」

「すみません。ダイキ、ありがとう言いなさい」

「ありがとー」

「いいって、こんなまずいもん押しつけやがるから、みんなが迷惑してらーね」

 社長に見せらんない。おニーさん、ノボリに八つ当たりしなくても、あーあ。あとで買戻し要求されるの覚悟しとこ。

 |陽物《チンコ》神輿にでっかく「辻川雄一朗をよろしく!」。町長の名前、思った以上に映《バ》えるね。電飾派手にして正解だった。それより、チンコの神輿、今年初めてなのに、皆さんに受け入れてもらえたのはありがたいな。

「ねーちゃん。恥ずかしがんなって。毎晩、旦那のにまたがってんだろー」

「乗りなれてるじゃねーの、あねさん。さすがベテランだね」

「うるさいね。うちのやつは3年前から、使い物になんないよ」

「おーい、旦那さんよー。頑張んないと捨てられちゃうよー」

「いいよ、いいよ、持って帰っちゃって。それは奥さん専用だ」

 それにしても、今年年女じゃなくてよかった。誰が言いだしたのか、年女はあれにまたがるもんだって。絶対社長に、

「なに? ヒビキ年女なの、じゃ乗れ!」

 って言われて、先頭切って乗る羽目になってた。あんなのに乗せられたら乙女一生の不覚だったよ。

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Kaugnay na kabanata

  • ザ・ラストゲーム・オブ・ 辻女ヴァンパイアーズ   エピグラフ

    「愛には牙がある。噛みつくのだ」 (スティーヴン・キング『スタンド・バイ・ミー』〈恐怖の四季 秋冬編〉)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    Huling Na-update : 2025-02-06
  • ザ・ラストゲーム・オブ・ 辻女ヴァンパイアーズ   プロローグ レイカのママの影隠し

     ママ、死んじゃった。「レイカへ。 ニーニーのことはよろしくお願いします」 ってメッセージだけ遺して。 そんなの知らない。家を出て三年も経つのに、いまさらって気持ち。ニーニー引き籠りなんだよね。部屋から出てくる事なんて無くて、ウチが実家にいた時だって何年間も顔も見たことなかった。声すらわからない。そもそも、都会生活に慣れ親しんだウチからすれば田舎のことなんて記憶のカナタだから。 ママのお葬式はセレモニア辻沢でやった。慌ただしかったな。ウチの実家は辻沢ってところの旧家で屋号とかあったりするんだけど、ママが1人で切り盛りしてた。結局喪主誰だったんだろ。おばーちゃんとパパはずいぶん前に死んじゃったし、ニーニーがするわけないしって思って、ワンチャンあるかもって、『女バスな人にもわかる お葬式の段取り』 ポチってわざわざ持って行ったのに、ウチは祭壇のそばにずっと座らせられてただけ。式次第の喪主挨拶のところには、「宮木野」 って、なんか仕出し屋さんみたいな名前が載ってて、結局そこはスルーだった。きっとあれだよカゲモシュとかいう。……カゲムシャか、それは。うちの田舎は、例えばお葬式のことカゲカクシって言って夜にしかしないとか、よく分かんないシキタリがたくさんあるんだけど、娘のウチにママの顔を拝ませないってのはどうかと思うよね。で、だれもいなくなった時、棺桶の中覗いたんだけど、中に入ってたのは、「ひえ! 首なし!!」 ママの首どこ行っちゃったの? てか、これって本当にママなの?ウチはびっくりしちゃったけど、そういうことがあっても誰も大騒ぎしないんだ。辻沢だから。 それから参列者のオジサン、オバサン? 知らない人ばっかだった。あの人たちどっから湧いて出てきた? なんか、埃くさいってのか、土くさいってのか。 嬉しかったのはミワちゃんが来てくれてたこと。高校の卒業式以来だから3年ぶり? 式場暗くて分かりにくかったけど、お腹おっきかったみたい。女バスの時からおかーさんだったけど本当のおかーさんになるんだね。おめでと。懐かしいな。ナナミやカリンやセイラ、女バスの皆どうしてるかな。 お葬式が終わった時、司法書士って人に遺産を相続する気があるならば兄上と一年間同居しろって。ママってばほんとうざい。遺産ってどれくらい? って聞いたら、「あな

    Huling Na-update : 2025-02-06
  • ザ・ラストゲーム・オブ・ 辻女ヴァンパイアーズ   1ー1.響カリンは地元企業で社畜する

     やっと打ち合わせ終わった。しかし、すげーなこの広報のヒト。一人で3時間しゃべり通しだった。最初の印象は、うつむき加減で肌が病的に白くって声もかぼそくて、か弱い女子だと思ったのに、いざ打ち合わせになったらしゃべるわしゃべるわ。女傑って言われるうちの社長がたじたじって、どんだけのバイタリティーだよ。それに比べて横の町長はといえば。ずーと鼻毛抜いてテーブルに並べてやがった。ったく、ここだれが後片付けすんだっての。「ヒビキ、車まわしといてくれる?」「はい、社長」「あ、ヒビキちゃん。キー、これね」 ちゃん呼ばわりすんな。ハナ毛。 廊下、灯り消えてるや。守衛さんうたた寝してる。オツカレサマでーす(小声)。無理もないよ、すでに夜の12時半だもの。で、さすがにこの時間となるとまだ涼しー。夜風が心地いい、稲くさいけど。今、田んぼの中でガサガサって音したね。なんてね、何もいるわけないし。いたとしてもでっかいネズミのヌートリアさんだしょ。 辻沢駅裏からこんな田んぼのまん中の本社移転で唯一うれしかったのが駐車場の広さ。青物市場の旧本社の駐車場は狭くて、社員は離れたところ使わされてた。ここなら全社員の車止めてもまだ余裕がある。 えっと、ノーブルシャイニングホワイトのエクサスはっと。あったあった。てか、もう社長の真っ赤なポルポルとエクサスだけじゃん(あたしのK車は除外)。相変わらずかっこいーねー、エクサスLFAは。V型10気筒DOHCエンジン、日本の公道でこんだけいるかっていうほどのパワーとスピード。インテリアの豪華さやばい。マホガニー調のダッシュボードに黒の総皮張りシートって、これだけであたしの車10台ぐらい買えちゃうんじゃないの?いつかあたしもこんな車に乗れるようになるんだろか。 まずは、キーを真ん中のスペースに置いてステアリング横のボタンを押すとエンジンがかかる。マジ? 激マジ?鼓動を揺さぶるエギゾーストノイズ。エンジン音ずっと聞いていたい。発車オーライ。おっと、アクセル踏み過ぎた。って、わざとー。怖いよ、この底知れぬ馬力。ハンドリング軽い。タイヤ吸いつく。これだったら峠道、楽勝でぶっ飛ばせるね。って、やっば、社長たちもう玄関で待ってる。「じゃあ、社長、三社祭スポンサードの件はよろしくということで」「はいはい。アイデアは町長、お金はうち

    Huling Na-update : 2025-02-06
  • ザ・ラストゲーム・オブ・ 辻女ヴァンパイアーズ   1ー2.響カリンは地元企業で社畜する

     それにしても、エクステ、めっちゃかっこいかった。「ヒビキ。あいつ一度、コロしてくれない」「いいんですか? 社長」「じゃんじゃんコロして」「じゃ、遠慮なく。これで、今月二人目になります」「あれ? そうだった? もう一人は誰?」「会長です。うちの引き籠り、ヤッチャってって、先週」「そうだった? でも、あのカスは常時依頼案件だから」「そういえば先々月も頼まれました」「だめじゃなーい。納期守らなきゃ。プロジェクト・リーダー失格だよ。なんてね」「して、ヤツメをコロした報酬は? 殿」「うむ。白いエクサスでどうじゃ」「あの、白いエクサスでございますか?」「悪い話ではなかろうて、近江屋。もともとうちがお金出して買わせたんだったよね、あの車って」「御意」「では、頼んだ。7月末までに納品してね」「御意」「冗談はさておき、もうこんな時間。帰ろ。乗っけて行くよ。乗りたいって言ってたよね、ポルポル」「ホントですか? あー、でも、車置いて帰ると明日メンドーなんで今度にします」「朝、迎えに行ってあげるよ。トール道だし」(それは、アナタのトール道よ)か。女バスの川田先生お元気かな。「どうした? ぼうっとして」 あ、思い出に浸ってしまった。「いえいえめっそーもない。社長にお迎えされるなんてしたら、スカート履き忘れちゃいそうです」「あー、それ知ってる。朝、スカート履くの忘れて電車乗るOLの話でしょ?」「かわいそうですよね。気付いた時のこと考えると」「ふーん。そういう反応なんだ、最近の若い子は。あたしらのころはバカだねーって感じだったけどね。まあ、そもそも論でヒビキはスカート履かないけど」 社長、少し疲れてるのかな。なんだか背中が曲がって見える。「じゃあ、気を付けて帰んなよ。スピード出すな。あんたはうちのホープなんだから」「お疲れ様でした」「あとよろしくね」 ポルポルか、いいな。飛ばすと気持ちいいんだろうな。 カイシャ誰もいない。いつものことだけど。「さ、ちゃっちゃと議事録作って帰ろ」 なんだかんだで、結局2時か、帰るのメンドーになっちゃった。顔洗って寝よ。ありゃりゃ、電動歯ブラシの毛先、広がっちゃってる。替えもなくなったし、お泊りセットそろそろ新しいのと変えなきゃね。あと替えPとかも用意しとかないと。P一枚で二日間はサスガニ。こ

    Huling Na-update : 2025-02-06
  • ザ・ラストゲーム・オブ・ 辻女ヴァンパイアーズ   1ー3.響カリンは地元企業で社畜する

     やっぱり、仮眠室のソファーベッドじゃ熟睡できない。このコーヒーまずー。なんだって厚生室の「挽きたてアルカイックコーヒー」はこんなにまずいのかね。目も覚めないっての。ここの厚生室いらないからシャワールームにしてくれないかな。シャワーなら一発で目が覚める。シャワールームは一応あるけど別棟の端の方だし、男子専用みたいになってるから行くの嫌なんだよね。  厚生室ってば、バランスボールとか足裏ツボ踏みボードとか置いてあるけど、なんなの? しかもツーセットも。あんなの使うの社長に怒鳴られた北村シニアマネぐらいしょ。ボールに座って30分はぶーらぶーらしてる。まるで刑期が終わるの待ってるみたいにさ。そっか、なるほどこれこそ真のコーセー室だ。更生室なんてね。うわっ、あたしおやじギャグ言ってるし。オヤジ連に毒されて来てる。やっば。  この部署、企画戦略室って聞こえはいいけど、創業の功労者たちの慰安施設みたいになってる。いるのはおじーちゃんばっかり。会話って言っても、口開けば二言目にはダジャレ、三言目には昔話。やんなるよ。あれ? 社長だ。今日、早いな。「ヒビキ、ちょっといい? 社長室に」 「社長。おはようございます」 「あんた、その頭。また泊まったの?」  なんかなってる? 「寝グセ。後ろはねまくってるよ」  あ、ホントだ。 「あー、こうしてうちがブラックって噂が巷に広まっていくんだな。勘弁してよね。ヒビキは今日は休み。早々に帰宅しなさい」 「え? そうなんですか? さっきの、ちょっといいはどうします?」 「あ、そーだった。じゃ、ちょっとだけ。おい、北村。あとで社長室来いな。今じゃねーよ。あとでって言ったろ。ボケ」 うちの社長室はシンプルだから好きなんだよね。無駄なものが一切置いてない。現代絵画とか、洒落た写真とか、見たこともないような観葉植物とかない。これみよがしに置いてある女性社長の部屋の写真、『プレジネス』に載ってたりするけど、あれは板についてないっていうか、おのぼりさんの記念撮影にしか見えない。似合わねーのにひらひら付いたピンクのおべべ着せられちゃってさ。あんたらさ、そんな余計なもん見向きもしなかったから這い上がれたんじゃねーの、って思う。 「あのね、ヒビキ。これはホントーに秘匿事項だから、口外は無用にしてほしいんだけど」 「

    Huling Na-update : 2025-02-06
  • ザ・ラストゲーム・オブ・ 辻女ヴァンパイアーズ   1ー4.響カリンは地元企業で社畜する

     きたきた。社長の気まぐれ絶対命令。期限は社長が次に思い出した時。 「なんであたしなんでしょう?」  釣りに託(かま)けて違うものひっかけたんじゃ。わー、またオヤジみたいなこと考えてる、あたし。 「悪いんだけど」 「でもですね」  会長の浮気なんて社長の眼中にあるわけないな。とすると、ハンカチに付いてるかすれたような赤黒いシミのほうか。 「わたしには手に負えそうにない。だからヒビキに頼んでるわけ。内々に」  会長は社長の鬼門ですもんね。それに、これ以上は断るな光線が出てますよ、社長の目から。よ! は! よけらんない。 「ヒビキ、なにやってる?」 「あ、すみません。その件お受けしますけど、他とバッティングすると」 「あ、それは大丈夫。仕事じゃないから、これは」  って、人はだれしもそうだと思いますけど、一応あたしの時間軸も一本なんですけどね。 「わかりました。でも、少し時間をください」 「もちろんよ。ヒビキがこの企画戦略室のなかで一番忙しいのはよく知ってるつもり」  なら、他の人に振ってくださいませんかねって、無理か。 「じゃあ、日程感は今月中とかっていうのでいいですか?」 「いや、3か月あげる。それまでに解決して頂戴」  なにをですか? とっかかりも見えてないのにいきなり。って言っても無駄なようなので。 「わかりました。3か月のプロジェクトということで。稟議書あげなくていいですかね」 「いいわよ。それでお願いした」 「ドキュメントの提出は、完了届だけということで」 「OK。じゃあ、ヒビキはすぐ帰りなさい。今日はゆっくり休んで、明日からまた頑張ってちょーだい」 「了解です。これ預かりますね」  ばりレディース仕様のガラケー。 「うん、持って行って。返さなくていいよ。終わったら雄蛇ヶ池にでも捨ててね」 「して殿、報酬は?」 「近江屋、おぬしも悪よの。望みを言え」 「では、厚生室をシャワールームに」 「ヨキニハカラエ」 「失礼しました」 「あ、ヒビキ。北村呼んでくれる。どーせ忘れてるから、あのボケ」  北村シニアマネ、カワイソーニ。なんだか社長の水平リーベ棒にされてる感じ。「便利化学社の健康グッズ  『水平リーベ棒』 あなたの乱れたココロを水平に保ちます」 そういえば、子ネコちゃんどうしてるかな。ミルク

    Huling Na-update : 2025-03-01
  • ザ・ラストゲーム・オブ・ 辻女ヴァンパイアーズ   1ー5.響カリンは地元企業で社畜する

     例のガラケーの充電コード、古すぎてコンビニとかになかったから、わざわざN市のビックヤマダセンターまで買いに出てきて正解だった。こっちでも在庫2つだったって。ついでに水平リーベ棒も買っちゃった。売れ筋No1だったから。なぜだかアウトドア用品で。7200円もした、こんなものが。シルバーコーティングって、どうせメッキだろ。ボロもーけだな、便利科学社。買ったはいいが、ショージキいらなかった。そうだ、カイシャの厚生室に置いとこ。 あー、ほっこりした。ネコちゃんたちに癒されまくった。N市のこんなとこにネコカフェあったなんて、不意打ちくらった感じ。結局、閉店ギリギリまで過ごしちゃった。やっぱ、マンチカンのコロ助くんが一番かわいかったナリン。ふっわふわで抱っこしたらフニャーってなってさ。ここも買収候補の一つだね。いつかぜってー猫カフェチェーン展開してやる。って、やっべー、こんな時間かよ。早く帰んなきゃ。ってか、車ぶっ飛ばせば、20分でつくし。やることやってからね。 車で充電なんてあたしはあんましないな。会長がスマフォの充電よくしてたけど。ガラケー充電完了っと。起動ボタンは、これか。やっぱりGPS内臓だ。用心しといてよかった。あたしの家、特定されないで済んだ。どれどれ、操作方法いまいちわかんない。スライドさせて、画面表示させてっと。ド☆キンちゃんからの不在着信がいっぱいだ。あれ、ド☆キンちゃんに何か送信しちゃったみたい。メッセージの下書き触っちゃったのか。やばい。さらにやっちゃだめなことしちゃいそーだな。も少し慎重に扱わないと。もう一つの下書は。再生。 「……かわいそうな女の子たちを助けてあげてください。アナタなら、きっとできるはず。なぜなら、アナタは、辻の……ーーーー雑音ーーーーーーピー」  このガラケーって、マジか。でも、これ使えそ。連絡先に名前がある人に片っ端から連絡してみよっか。いや、それは危険すぎか。トリマ、今名前が出た知り合いだけにしておこ。電源落として、よし帰るぞ。 すっ飛ばしてきたからもう雄蛇ヶ池だよ。ん? 今、橋のたもとに泊まってた車、あれ会長のジャガーじゃない。こんな時間にこんなところで何してんだろ。  会長ってば、ほんとにどっか抜けてる。 「ジャガーはね、ボン

    Huling Na-update : 2025-03-02
  • ザ・ラストゲーム・オブ・ 辻女ヴァンパイアーズ   1ー6.響カリンは地元企業で社畜する

     今日は週1の義太夫講座の日。別にあたしは介護カウンセラーの資格を持ってるわけじゃないんだけどな。お師匠さんたら、会うタンビに色んな相談してくるんだよね。なんでだろ。  カイシャでおじいちゃんばっかに囲まれて仕事してると、自分が介護士になった気がしてくる時があるんだよね。カンペキな聞き役っての? だからだろな、そーいうニオイを発してしまってるんだよ、あたしは。 「ヒビキさんがいてくれて本当に助かります。あの人ったら、いけない遊びに手を出して、あとに引けなくなってて」  で、手を引かさせてほしいんですよね。社長みたいにコロセだの、始末付けろとか物騒なこと言わないですよね。 「お仕置きしてください」  取りようによっちゃ、それが一番おそろしいんですけど。カイシャのおじいちゃんたちの茶話で耳にしたことあります。針を咥えた按摩さんがコロシを請け負うって時代劇。コロシをお仕置きって言うってのも。まさかね。 「お灸をすえてください」  おっと、次はヤイト屋ですか? って、フツーに聞けば意見してほしい。だよ。おじいちゃん翻訳機能が働きっぱなしで、あたしの頭の中は殺戮の巷だ。もはや介護カウンセラーの資格どころかコロシのライセンスになってる。 社長が一度行ってみろ、なんでも勉強だぞって役場のカルチャーを勧めるから、時間が合いそうな『気軽に始める義太夫講座』っていうのを試しに受講したら逃げらんなくなった。あたししか受講者いないんじゃ、1回きりで終わりになんて出来なくて、5期連続受講者認定されて記念にゴリゴリカードもらう始末。ちなみに辻女の夏服バージョンがプリントしてあるやつだった。母校のだったからめっちゃ嬉しかった。  お師匠さんは宮木野神社の宮司さんの奥さん。昔取ったキネヅカだけで講師認定うけて、開講しちゃったらしい。ずっと同じ台本で三味線ベンベン鳴らして語ってるけど、あたしにはいまだによさがわからない。それに講座時間のうちほとんどが、お師匠さんの身の上相談。これやってちゃ受講者来ないっしょ。 「かなえてくださったら、志野婦神社をヒビキさんに譲って差し上げてもいいですよ」  またまた。お師匠さんたまに変なこと言い出すんだよね。 「あ

    Huling Na-update : 2025-03-03

Pinakabagong kabanata

  • ザ・ラストゲーム・オブ・ 辻女ヴァンパイアーズ   8-3.ヒビキも祭りに酔う

     三社祭。日中は暑かったけど、夕方になっていい感じに涼しくなってきた。シラベたちに一緒にって誘われたけど、仕事って断った。これも一応仕事だし。一人でぶらぶらしてるのは運営委員会が決めた変なルールに反すると思って、せめてってこのお面買ったけど大丈夫かな。ピロシキに目鼻つけたようなやつだった。これ、違くないか? 夜店のどぶづけの中見たら、「辻沢ダイゴ」ばっかり残ってるし、ラベルシール、瓶からはがれて水の中で泳いじゃってる。やっぱプロダクトの急ごしらえは禁物だ。「ママー、このミルクおえー」「だから変なの買わないのっていったでしょ。いらないなら捨てちゃいなさい」「ぼく。泣くな」 お、いなせなおニーさん登場。さらしにハチマキ、似あってるね。「このラムネと交換してあげるよ。いいや、お金はいらないよ、ママさん」「すみません。ダイキ、ありがとう言いなさい」「ありがとー」「いいって、こんなまずいもん押しつけやがるから、みんなが迷惑してらーね」 社長に見せらんない。おニーさん、ノボリに八つ当たりしなくても、あーあ。あとで買戻し要求されるの覚悟しとこ。 |陽物《チンコ》神輿にでっかく「辻川雄一朗をよろしく!」。町長の名前、思った以上に映《バ》えるね。電飾派手にして正解だった。それより、チンコの神輿、今年初めてなのに、皆さんに受け入れてもらえたのはありがたいな。「ねーちゃん。恥ずかしがんなって。毎晩、旦那のにまたがってんだろー」「乗りなれてるじゃねーの、あねさん。さすがベテランだね」「うるさいね。うちのやつは3年前から、使い物になんないよ」「おーい、旦那さんよー。頑張んないと捨てられちゃうよー」「いいよ、いいよ、持って帰っちゃって。それは奥さん専用だ」 それにしても、今年年女じゃなくてよかった。誰が言いだしたのか、年女はあれにまたがるもんだって。絶対社長に、「なに? ヒビキ年女なの、じゃ乗れ!」 って言われて、先頭切って乗る羽目になってた。あんなのに乗せられたら乙女一生の不覚だったよ。

  • ザ・ラストゲーム・オブ・ 辻女ヴァンパイアーズ   8-2.レイカは祭りに酔う

     あそこの二人は、控え目に牙付けて口に血のりシール貼ってるだけだけど、さっきすれ違った二人組なんか、全身ヴァンパイアコスプレだった。紫と赤の全身タイツ着てマントつけて。気合入ってんなーって、注目の的だった。二人ともスタイルよかったし。  ウチらジモティーは夜店で買ったヴァンパイアのお面、頭に乗っけておしまい。あー、そうね。あそこにもいるけど、沿線のJKは、制服にヴァンパイアメークってのが流行りみたい。お揃いコーデ、メンドーだからだと思うけど。けっこー、かわいい。スカートの丈つめて、ブットい足晒して。 ヒ! ちっさいおばーちゃんたち。チョー怖い。 「なんか、今年の志野婦の神輿、ちん(ピー)の形してるんだって」(ナナミ、ファール) 「やめてよー。ナナミ」 「セイラ、お前。何ぶりってんだ?」 「ないわ、辻沢の祭りは女祭りだよ」 「山椒の木の寄木造りって書いてある」 「レイカ、お前はどこの人だ。さっきからパンフばっか見て」  ケッコー面白いよ。 「山椒の木ってのは最悪だね。宮木野さんとこNGのはずなのに」 「どぃうこと?」 「宮木野さんは山椒の木の元で死んだから、神社に山椒は持ち込めないことになってる」  ふーん。そーいえば、役場の宮木野さんも山椒の木の下に寝転がってた。 「年女があの神輿に跨がるってパンフに書いてある。豊作祈願だって」  ちん(ピー)に女の子が乗るって、恥ずい。(レイカ、ファール1。反省) 「セイラ、今年、年女でなくてよかった」 「そーだねー。セイラは乗せらんないね」 「ミワちゃんは?」 「あたしは、別に気にしない」 「ちん(ピー)にのったミワの姿って、ワラエル」(ナナミ、ファール2) 「ウケル。そん時は、ナナミも同乗してるから。同い年、二人とも笑」 「レイカもそん時は年女だろ。ママハイ仕込みが」 「ほっとけや」  って、ナナミ、ヤマハイ仕込みでなくってママハイって言ってたんだ。ママの言うことハイハイ聞くって意味か。ウチ、そんなでもなかったよ。とくにコーコーの頃は。ナナミにテクニカルファールみとこ(ナナミ、ファール

  • ザ・ラストゲーム・オブ・ 辻女ヴァンパイアーズ   8-1.レイカは祭りに酔う

     今夜は三社祭です。ミワちゃんとナナミとセイラと来てる。カリンも誘ったけど仕事だって、こんな日に。かなりブラック、カリンの会社。ミワちゃんの黄色地に白い花柄の浴衣キレー。ナナミ、相変わらず肩幅広っろ。その浴衣おとーさんの? 渋すぎでしょ。セイラはいったいいつからそーいう趣味になった? ゴスロリ浴衣って。でもアンガイ似あっててカワイイ。ウチはママの拝借。ちょっとオトナな感じの赤地に黒い縦じまの浴衣。高倉さんにママの浴衣出してって頼んだら着付けまでしてくれた。《《おはしょり》》長すぎて腰紐高くしてるのは内緒。 三社祭は宮木野神社と志野婦神社のお祭り。二社しか参加しないのに三社っていうのは、カゲ社といって数揃えを入れてるから。二より三の方が縁起いいしょ。でも、三つ目は青墓の杜にむかーしあった青墓神社のことって言う人もいる。ホントのところは分かんない。ウチは俗説の、宮木野さんと志野婦さんの双子の姉妹の他にもう一人男の兄弟がいて、三社ってのが好き。 ウチは8年ぶりの三社祭。もとは4年ごとのお祭りで、ちょうど4年前にはあの事件があって中止になってた。でも、ミワちゃんたちは毎年参加だって。ヒマワリのパパが商店街振興を掲げて町長に当選してすぐの仕事が、三社祭を毎年開催に変えたこと。無理っていわれてたことを共催企業を募ることで実現したって。これはお祭りのパンフの受け売り。「ヤオマンの提灯と、三社祭の提灯、半々って感じ」「ほんとだー。んっぐぐ」「レイカ、お前、その腐れ牛乳好きだな。何本目だ?」「3本目。おいしーよ。あれ? なんて名前なんだっけ。ラベルない」「辻沢ダイゴ。あのノボリに書いてある」「ダンス・飲・ザ・辻沢ダイゴ!」「ほれ、レイカ。踊れ!」「あ、かっぽれ、かっぽれ」「なにそれ?」「知らない」 あぶな、人にぶつかりそーになった。あんなでっかいヴァンパイアの被り物二人でしてたら邪魔でしょに。てか、周りヴァンパイアだらけ。 宮木野さんと志野婦さんの双子姉妹がヴァンパイアって言い伝えをもとに、女の人はヴァンパイアの格好をして参加するように呼びかけてるんだって。二人一組でね。お揃いヴァンパイアコーデってやつ。

  • ザ・ラストゲーム・オブ・ 辻女ヴァンパイアーズ   7ー3.ヒビキは仕事に戻る

     なんとか説明して、北村シニアマネに分かってもらった。「すまなかったね。いやー、勘違い。ここに座るのはみんなそーなのかと思ってしまって」 そんなのは、北村シニアマネだけでしょう。バランスボール、座りたくなくなった。「なに聴いてたの?」 これですか?「三味線の音がもれてたから」 スピーカーON。「あれ? 片っ方のイヤホン、渡して聞かせてくれないの? よく公園のベンチで恋人同士がやってるじゃない」 どうしてあんたと恋人同士みたいなことしなきゃならない? 変な親近感持ってもらっちゃ困るんだよ。ぢー仲間じゃないからな。「これ、宮司の奥さんの声に似てるな。三味線も?」 北村シニアマネお知り合いなんですか? 実は、役場のカルチャーで……。「やっぱりそうなんだ。懐かしいな。あの時、千福オーナーのところで宮司の奥さんにもお稽古つけてもらった」「二人だけかと」「千福オーナー三味線弾けないからね」 そうなんだ。「宮司の奥さんも美しい人でね。お姉さんだけあって」「え? お姉さんなんですか?」「そうだよ。双子のね。美しいと思わないかい?」 それは認めます。物腰がおちついているからそれなりのお年だとは思うけど、「20代に見えるくらい若々しいです」 大げさなようだけど、実際あたしとタメに見えることある。「そう、僕の時も20代に見えたけど。美人は年を取らないものなんだね」 20年前から年を取らない?「あの頃は、二人は仲睦まじくてね。まるで恋人同士のようだったんだよ」 まるで恋人同士。「ひょっとしてですけど、お師匠さんて千福オーナーのこと人に話すとき」「《《あの人》》って言うよ。弟だけどまるで彼氏みたいにね」「じゃあ、志野婦神社の土地の所有者って、千福オーナー?」「そうだよ。以前はもっとあったが今はあそこだけだよ」 お師匠さんのターゲット間違ってた。宮司さんでなくって、千福オーナーだった。なら、あの人がしてる危

  • ザ・ラストゲーム・オブ・ 辻女ヴァンパイアーズ   7ー2.ヒビキは仕事に戻る

     志野婦神社の神輿完成報告して社長によろこんでもらうはずが、あたしが余計なこと言ったせいで、社長室の温度、2度くらい下がった感じ。「ヒビキ、あんた何言ってるの? 宮大工が一生懸命仕事するのは当たり前、納期までに完璧に仕上げるのは当たり前。違うか?」「そうです」「なら、どうしてご祝儀をはずまなきゃならない? わが社は仕事に見合った金を払ってないとでも?」「いいえ。十分払ってます」「あまいぞ、ヒビキ。《《ひさしぶりに女バス仲間に会って》》、仲良しごっこが懐かしくなったか?」 ユサのこと? ひさごのことまで知ってる? まさかね。「すみません」「どうせ、現場に言っちまったんだろ」「いいえ、それはしてません。社長に相談してからと」 今のは、ほんの軽口のつもりですし。「まあ、いいよ。とにかくおまえがやってるのは、ビジネスだ。金儲け。わかった?」「わかりました」「わかったら、行っていいよ」「しつれいします」 何年ぶりだろ怒られたの。 社長室出たらカワイがすり寄ってきた。「ねーさん。めずらしいですね。社長、昨日からナンカ機嫌悪いみたいっすよ。御神輿見に行ったらしいんすよ、できあがったの。それ見て怒ったんじゃないっすかね。だからあんだけ僕がチ〇コはまずいって……」 まとわりつくなよ。一人にしてくれねーかな。そっだ、厚生室行こう。なるほど、こういう時こうやってあの部屋が呼ぶんだ。知らなかったよ。あった、バランスボール。紫の復活してる。こっちは北村シニアマネ専用だから、あたしは黄緑のにしよー。ぶーらぶーら。ケツがこそばゆい。これ、本当に心の水平リーベ棒になるのかな。もちょっと、やっててみるか。そっだ、お師匠さんのベンベン節聞きながらやってみよう。〈ビエン、ビエン。なげきのむちもあにぇはなおー、ビエン。いもとがしぇなを、ビ、なで、ビ、おろしー、ビエン、おーお、そなやにおもやるももっとも。しかし。そなたがちちははに、なごおそやったみのかほおー。これこのあねをみやいのおー……〉やっぱ癒される、

  • ザ・ラストゲーム・オブ・ 辻女ヴァンパイアーズ   7ー1.ヒビキは仕事に戻る

     女子会、結局参加した。シラベは置いといてみんな変わってなかった。修学旅行でフスマ破った張本人がシラベだったってのには納得。夜中に暴れ出したから、スオウさんとセンプクさんの二人掛かりで取り押さえたって、ははは。笑えない。高2の秋だよ、修学旅行って。例の件、センプクさんせっついたら餌やってるとこって、イミフ。 休み明け、出社早々やられた感。三社祭の公式飲料に乳製品だと? どこの誰が神輿担いで汗かいてミルクをがぶ飲みする? そこはビールとかせめてスポドリだろ?「でも、風呂上りの牛乳は格別って」 そうやってすぐに迎合するのは悪い癖だぞ、カワイ。「風呂上りじゃねーの、祭りなの」「ねーさん。とりあえず、名前考えましょ、これの」 名前すら決まってねーのよ。ついでに。ラベルとかポスターとかどうすれっての? 今から間に合わねーだろ。だれのごり押しだよ。「社長っす」 だよな。社長以外ないな。このタイミングでこれぶっこんで来れるのは。あ、社長出て来た。「ヒビキ、ゴメン。懇意の人がこれをどうしてもってさ」「商品名もまだないって」「できたばっかなんだよ。昨日。でも、おいしいから飲んでみてごらん、ホントに」 そーですね、「自分の体験を売れ!」(BY ジュース・ウェルチ)でした。うそ、ウェルチそんなこと言ってない。 ただの牛乳じゃないのは分かってる。やばい色してるんだけど、大丈夫なのかなホント。うえー、何これ。ミルクって言うより、チーズのような豆腐のような、それでいて甘くて、酸っぱくて、呑み込めない。「どう、おいしいでしょ」 おいしいですって、言いたいデスけどいまちょっと口の中に残ってるんで感想ひかえさせていただいていいですか?(無声) カワイ、お前、何とか言えよ、ん? どうした。ねーさん、苦しい(無声)。鼻から出てんぞ、牛乳。「とにかくうちはこれを大々的に売り出す。分かった?」「「ほぇーいす。」」 社長、宣言だけして帰って行った。「社長逆切れだったな。カワイ、名前何てしようか?」 「窒息牛乳。窒息ミルク。窒息ちち」 窒息から離れろ

  • ザ・ラストゲーム・オブ・ 辻女ヴァンパイアーズ   6-4.レイカ、女バスな人たちとご一緒する

     ウチはセイラの本棚物色。うーん、ブンガクな本ばっかり。ダザイオサム。ニンゲンシカクの人。サカグチヤスゴ? 誰だっけ。サクラノシタとかの人か。ナカジマアツシ。おー、サンゲツキの人。高二の現代文で冒頭の文章を暗記させられた。「ロウセイノリチョーハハクガクサイエー、テンポーノマツネン、ワカクシテナヲコボーニツラネ、ツイデコウナンイニホセラレタガ、セイ、ケンカイ、ミズカラタノムトコロスコブルアツク、センリニアマンズルヲイサギヨシトシナカッタ」。覚えてるねー。この人発狂して虎になっちゃうんだけど、それが妙にリアルでみんなすごく真剣に授業受けてたよね。 ウチはしばらくの間はうとうとしながら、カリンとセイラがゲームしてるのを遠くのほうの出来事みたいに感じてた。ときどき、「すごい。カーミラ・アシュ、カイ・ドラキュラ、一撃」 とか、「こんなに早くメアリー・シェリーにたどり着くって」 とか、「黒幕はバイロン卿だと思ってたのに」「どうしてここで、ポリドリ?」 って、気になる名前が聞こえてた。トム・ホランドの『真紅の呪縛』面白かったな。パパの本棚にあったヴァンパイア小説で3番目くらいに。 なんて考えてたらウチはいつの間にか寝落ちしちゃってて、カリンが、「よっし裏ゲーム、ゲットー! 『スレイヤー・R』」 って叫んで、ビックリして起きた。いま何時ですかね。お日様出てますね。「3時間でクリアだって。さすがチート・モード」「『スレイヤー・R』はどんな感じ? カリン」「位置ゲーみたいだけど」「カリン見て。この地図、どこか分からないように省略してあるけど、位置許可してやると、ホラ、この地形、青物市場っぽい」「フィールドロケーションは辻沢なんだ」「辻沢で何をするゲームだと思う? モンスター集めて回るとか?」「まさか。モーケモンGOじゃないよ」 お二人さん、ウチには分からない世界の住人になってる。このままゲームをやり続けるって言うけど、ウチそろそろ。「どうしたの? 用事?」「ううん。PK」「なにそれ」「パンツ変えたい」

  • ザ・ラストゲーム・オブ・ 辻女ヴァンパイアーズ   6-3.レイカ、女バスな人たちとご一緒する

    「十二時か、Vフェス終了。今回もだめだった」 ひさご出て三人で町をプラプラした。というより、セイラの家に行こうってことになって歩いてた。そしたら、道の向こうから、若い男が走って来て、「おーい、いたぞ!」 って、駅舎で山椒屋のオジサンがやったみたいな格好してる。すり鉢を頭に乗せてスリコギ持って。そしたら脇道からもおんなじよーなのが三人出てきてウチらを取り囲んだ。駅舎で見たときはなんかおかしかったけど、街なかだとあまりのぶっ飛びようにかえって怖い。「ターゲット!」「パツキン。真ん中のヤツ!」 セイラのこと?「いかにもだな」「どこの制服だ? 超レアなんじゃないか?」「おう、俺が見たことないってことは、かなりだ」 制服じゃないっしょ、明らかに。ぽいはぽいけど。「宮木野制服図鑑には載ってないぞ」 本のページ必死にめくってるやつ。「県北女子高御三家でもない」「他県のだろ?」「横の君たち! 今、僕らが助けてあげるから!」「さー、本性を現せ! このヴァンパイア」「バーカ! セイラは人間だよ」「しゃべった? ヴァンパイアが?」 向うがひるんだ瞬間、カリンが、「こんっの、キャベツに代わってお仕置きだ!」 って、キャベツの半キレ、先頭の男にぶん投げた。そのキャベツどこにあった?「いった!」「ちょっと、なにすんの」 スマフォ出した。なんなの? トーサツ?「待った。ピンの場所間違ってないか?」「あ、住所違ってる。ここ青物市場だってジャン」「おいおい、青墓だぞ、今夜の出現場所は」「青しかあってねーし」「マップ担当、しっかりしろよ」「ターゲット誤認。本隊は撤収する!」「「「スレイヤー!」」」「紛らわしいカッコすんな。ブスが!」 カリンが長芋を握りしめてる。だから、それどこに落ちてた?「やっかましー。なめてっとすり潰すぞ! こら!」「「「こえー」」」「先を急ぐぞ。夜は

  • ザ・ラストゲーム・オブ・ 辻女ヴァンパイアーズ   6-2.レイカ、女バスな人たちとご一緒する

     「十二時か、Vフェス終了。今回もだめだった」 ひさご出て三人で町をプラプラした。というより、セイラの家に行こうってことになって歩いてた。そしたら、道の向こうから、若い男が走って来て、「おーい、いたぞ!」 って、駅舎で山椒屋のオジサンがやったみたいな格好してる。すり鉢を頭に乗せてスリコギ持って。そしたら脇道からもおんなじよーなのが三人出てきてウチらを取り囲んだ。駅舎で見たときはなんかおかしかったけど、街なかだとあまりのぶっ飛びようにかえって怖い。「ターゲット!」「パツキン。真ん中のヤツ!」 セイラのこと?「いかにもだな」「どこの制服だ? 超レアなんじゃないか?」「おう、俺が見たことないってことは、かなりだ」 制服じゃないっしょ、明らかに。ぽいはぽいけど。「宮木野制服図鑑には載ってないぞ」 本のページ必死にめくってるやつ。「県北女子高御三家でもない」「他県のだろ?」「横の君たち! 今、僕らが助けてあげるから!」「さー、本性を現せ! このヴァンパイア」「バーカ! セイラは人間だよ」「しゃべった? ヴァンパイアが?」 向うがひるんだ瞬間、カリンが、「こんっの、キャベツに代わってお仕置きだ!」 って、キャベツの半キレ、先頭の男にぶん投げた。そのキャベツどこにあった?「いった!」「ちょっと、なにすんの」 スマフォ出した。なんなの? トーサツ?「待った。ピンの場所間違ってないか?」「あ、住所違ってる。ここ青物市場だってジャン」「おいおい、青墓だぞ、今夜の出現場所は」「青しかあってねーし」「マップ担当、しっかりしろよ」「ターゲット誤認。本隊は撤収する!」「「「スレイヤー!」」」「紛らわしいカッコすんな。ブスが!」 カリンが長芋を握りしめてる。だから、それどこに落ちてた?「やっかましー。なめてっとすり潰すぞ! こら!」「「「こえー」」」「先を急ぐぞ。夜

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