お師匠さん、今日はご機嫌ですね。相談はなしでしょうか? その後の進展とか聞きたくありません?
「ヒビキさん。本当にありがとうございます。あの人に会って下すったようで」 はい。三社祭のすり合わせの時、カワイがホントーにこれでいいんですかって念押ししてるのを、宮司さん、巫女さんと話に夢中で、いいよいいよ好きにやってって。ははーん、これがお師匠さんの言ってた悪い遊びだなって思って、宮司さんが席外したときに、巫女さんのこと睨みつけときました。お師匠さんの恨みって。 「いかがです。お仕置きしていただけそうな様子でしたか」 「とっちめることぐらいは」 「手ごわいですよ、あの人は」 そうかな、お師匠さんが知ってること話せば、案外すぐに手を引きそうだけど。 「お師匠さんが絡んでることを言っては?」 「ダメです、絶対にいけません。それができるのであれば、疾うに私が懲らしめています」 社長と言い、お師匠さんと言い、どうしてこの世代の人は男にこうも弱いのかね。男なんぞ切り捨てたって、こっち、びくともしなかろーのに。 「では、粛々と進めさせて頂きますので」 「どうぞ、よしなにお願いします」 それからお師匠さんのベンベン聞きながら気持ちよく居眠りしてたらお講座終わってた。会長周辺を探ろうって思って、本社の威光を傘に子会社のYSS(ヤオマン・システム・ソフトウエア)にアポとった。そしたらここから青物市場ぐらいの距離、自分の車で行くってのに会長みずから迎えに来るって。だからこうやってカイシャの玄関でお待ち申し上げてるんだけど。 来たみたい、スポーツカーグリーンのジャガー。驚いた4時ピッタリだよ。 「お待たせ。乗って」 この車、後ろに乗るのは初めて。いちいちシガーソケットにスマフォ繋げんのは変わってないね、会長。 「こうやって、ヒビキちゃんのことお迎えに上がるのは3年ぶりかな」 あたしがヤオマングループに入社してから今の部署に異動になるまでの半年、会長と秘書待遇のあたしと二人しかいない、めっちゃくちゃ暇な部署にいた。それでか、いらないってのに毎日このジャガーで送り迎えされてた。 「すみません、わざわざジャガーでお出迎え頂かなくても、私の軽自動車で伺いましたのに」 「いやいや、本社の方が、うちなんぞのプロダクトにご興味を持ってもらえたんだから、こっちからお出迎えするのはあたりまえの……」 ちょっとややこしいけど、このカスはヤオマン本社の会長と子会社のYSS社長を兼任してる。ちなみに女傑の社長は本社社長でヤオマングループの総帥。 「……ヒビキ、さん」 で、ユサ。どうしてお前が助手席座ってんの? 「ユサちゃんね、ヒビキくんと知り合いだって言うからさ、付いてきてもらったのよ」 「女バスで、ね」 ね、じゃねーよ。どうして床にバスケのボールケース転がしてあるんだって思ったら、お前か。 「睨まないでよー。ヒビキくんは相変わらず怖い怖い」 なに薬指立ててやがる。こんどは食いちぎってやろうか? このセクハラおやじ。 「カイチョ」 「めんご、めんご。今日はユサちゃんに任せるんだった、ヒビキくんの運転は」 あんだと? こら。しばくぞ二人まとめて。 今はYSSの青物市場の旧本社ビル、3ヵ月ぶりだな。駐車場せっま。もともと狭い駐車場だったけど仮設の物置小屋に占領されて、社長のジャガーともう一台のマイバッハは伊礼バイプレのか、の専用駐車
ここ、あたしが最初に配属された部屋だ。今は会議室になってるのか。ちょうど駅がよく見える場所なんだよね。このカイシャ入ったばっかのころ、ホントにこれでよかったのかなって、発着する汽車みながら思ったもんだった。 「ねえ、カリン」 会社では名前で呼ばないしようって約束しなかった? 「あ、ヒビキ、さん」 「さんはいいよ、二人の時は」 「ヒビキ。今日はなんで来たの? 仕事じゃないよね」 「仕事だよ。社長に勉強して来いって」 「そうなんだ」 「なに?」 「カイチョー、ヒビキが来るって聞いて、すっごい警戒しててね。社員に箝口令しいてるの。だから……」 「お待たせしました」 「「「「失礼します」」」」 ぞろぞろと。どうして技術ってのはどこ行っても大勢出てくんだ。お前らのうち何人発言するんだっての。どうせ一人だけなんだろ、しゃベんのは。こんなに名刺いらねーよ。おまえらとは今後も接点ないから。アプリ担当だの、データベース担当だの、ネットワーク担当だの、セキュリティー担当だのって、ユサは広報担当なのね。で、今しゃべってるのが? プロマネか。お前一人でオケ。 なるほどね。のらりくらりと。肝心の会長の悪事が見えてこない。これじゃ、物見遊山専任役員の吉田ディレクタが来ても一緒だな。 1時間半。がっつり『スレイヤー・V』の仕様説明されたけど収穫なしか。社長の言う「やばいこと」と、『スレーヤー・V』は関係ないってこと? そもそも、会長は社業にノータッチだもんな。しかし、結局しゃべったのプロマネとユサだけだったじゃねーか。他の開発の連中、無言でずーっと虚空を見つめてて、マジ晒し首だったぞ。 送ってくれるってから遠慮なくジャガーに乗せてもらったけど、どうしてユサまで一緒なんだ? 「どうだった? ヒビキくん。僕も真面目に勤めてるでしょ。こう見えても、ヤリガイ持ってコトに当たってるからね」 何がヤリガイだっての。お前はYSSの社長SNSに釣りの記事書いてるだけじゃねーか。ちょっと続いたなって思ったら、僕にはもうムリですって終了宣言しやがって。再開すると、ヘラ釣り、ルアー、フライフィッシング、アユ釣りってどんどん
外は雨。夜にめずらしく家にいたらやっぱりおかーさんとぶつかった。泣きわめけばこっちが言うことを聞くと思ってる。中学生の頃から全然変わらない。そういうのが嫌だ。しまいにどうでもよくなってくる。 部屋に戻って電気を消してベットに入ったはいいけど眼が冴えて眠れない。おかーさんは疾うに寝たみたいだけど。 雨の音に耳を澄ませて心を落ち着かせる。テラスの手すりに雨水がしたたる金属的な音。雨どいを伝わって水が流れ落ちる音。風向きが変わって雨が窓をたたく音。風に揺れた木々の葉が立てる音。誰かが外の廊下を歩く音。玄関先であたしを呼ぶかすかな声。 ベッドをぬけて玄関を開けると、目の前に子ネコが立っていた。全身雨でびしょ濡れで彼女独特のお日様の匂いはしなかった。 これまでこんなことなかったから、嬉しいやら驚いたやらでどうしていいかわからなかった。とりあえずミルクをあげようと、いつものように襟を広げて名前を呼んだけれど、子ネコは動かず金色の目であたしを見つめるばかり。放って置くこともできず、家にも入れられないから、あたしは外で子ネコと一緒にいることにした。 切れかけの電灯と雨の音だけの静かな玄関前の廊下。子ネコは何も話さないし、あたしも言う言葉がない。時間はゆっくり過ぎて行くけど、全然変化がないからどれだけ経ったか分からない。 遠くで犬が鳴くのが聞こえた。すると、子ネコはあたしに背中を向け帰って行ってしまった。いつの間にか、雨も上がり東の空がほんのり赤くなっていた。 次の夜、また来てくれるかと思って待ったけれど子ネコは来なかった。もしかしてどこかに行ってしまったかと心配になって見に行ったら、子ネコは何も変わりない様子でいつもの地下室にいた。それから夜、家に居るときは待つとはなしに過ごすようになったけれど、結局それ一度きりだった。
いくら寝てないって言ったって寝れんわ、こんな朝から。でも寝とかないと仕事中やっちゃうからね。 爆睡中……。 あっつー。マジ死ぬ。クーラー誰とめた? 自分でタイマーかけたんだった。何時? スマフォ反応悪いな。エイ! っとね。まだ昼の1時かよ。汗でべっとべとしてるからかな。シャワー浴びてこよ。 さっぱりしたー。お風呂上りには冷たい飲み物ね。冷蔵庫にまたまたミワちゃんにもらったドクダミミルクコーヒー入れておいたんだ。いくら雑草ジュースブームだからって毎回雑草でなくっても。うっへ、これすっごい味なんだけど。ははーん。ミワちゃん少しS入ってるからね。きっと面白がってやってる。でも、もったいないから全部飲んじゃう。でも、おえー。 全然お腹すかないな。眠くないし。トーチョーするにはまだ早いし。トーチョーって言い方、お侍さんみたいでカッコいいんだよね。殿! トーチョーでございまする。ってな感じで。早いけど町でもプラプラしながら行こうかな。 やけにまっぶしーね。お日様。ふれあい公園だ。なつかしいね。高校の帰り、よく女バスの子とここで井戸端したな。 あれ? 誰とだっけ。思い出せないな。まいっか。 お、あれはサッカー少女リンちゃん。相変わらずボールはトモダチだね。でも、リンちゃん小学二年生だったから、ウチのこと覚えてないだろうな。あたしトカイセーカツで垢ぬけちゃってるから、なおさら。 「あ、レイちゃんだ。あそぼー」 覚えててくれたー。 「リンちゃん久しぶりー。帰って来たよ。またよろしくねー。リンちゃん、サッカーますます上手になったねー」 「うん」 お、急にしゃがんだ。分かりやすい、かまってチャンポーズ。 「どした? 元気ないじゃん」 「リンカね、クラブやめたんだ」 「えー、マジで? なんで?」 「クラブにね、リンカしか女の子がいなくなっちゃった」 「それはやだね。他にクラブないの?」 「あるけど、そこも女の子いなさそーなんだ」 「そっかー。でも、なんとかなるっしょ」 もちっとオトナな対応できんかね、ウチは。 「あ、クオレちゃん来た。レイちゃん一緒に
通学路、全然変わってないね。ついつい角のパン屋さんで女バスセット(アンドーナツと三角牛乳ね)買っちゃったよ。 「うん、これは。昔とまったく変わらぬぃ味ですぬぇ」(前の海サン) うま。しかし、お散歩番組って、仕込みって分かってもずっと観ちゃう。フシギ。 きゃー、かわいいー。ぶちヌコ様だー。ヌコはいいね。ワンコは大概ほえられてツライけど。チッチッチッ。ほれ、ごろごろごろごろ。珍しいね、ノラヌコ。ウチらがコーコーに入ったころはここらはノラヌコだらけだった。ヌコ様の保護活動、女バスのココロが始めてそれをカリンが手伝ってたんだけど、保健所に持ってかれないよーに、病院つれてったり、飼ってくれる人探したりして、面倒見始めてさ。結局50匹近くのヌコ救ったって。みんなドギモだったよ。いまはどーなってるのかな。引き継ぎとかできなかったみたいだからね。ヌコ様、ばいばーい。ミルクのんでくれた。ほっこり。 見えてきたよ。ボコーの体育館。ちょっとちっさくなった? お、この感覚。大人になっちゃった体験ってやつだ。『スタンド・バイ・ミー』みたいなこと、ホントにあるんだね。冒険して帰ってきたら町が小さく見えたってやつ。ウチの冒険はトカイセーカツのことだけど。 おー、いるいる。女バスだ。体育館の出入り口にたむろってる。駅で会った子たちいるかな。深呼吸してー、戻る。ほら、違う子が顔出した。深呼吸でー、また戻る。やってるね、あの出入り口。夏場の練習の時、体育館の中が酸欠で苦しくなって、めっちゃ熱くて堪んなくて、女バスのみんなちょくちょく出てきては、あーやって涼しい風に当たって一息ついてた。それをコーチョーに、ドジョウが息吸いに上がってくるみたいだって言われて、キャプテンのヒマワリが 「うっせーマダラハゲ! こっちは死ぬ気でやってんだ!」 ってぶち切れたの。そしたらマダラハゲのやつ、川田せんせーにチクりやがって、罰として 「校長先生はマダラハゲではありません」 ってノート10ページ分書かされた上、 全員外周り二十周走らさせられた。 連帯責任でマネージャーのウチまで走らされたかんね。炎天下の中走ったもんだから、あんときは全員死んだ。熱中症にならなかったのが不思議なくらい。セイラは途
女バスの部室、ドア開いてる。ブヨージンだわ。中に入ったらニオウね相変わらず。バッシュが98パーセントを占めるのね、このニオイは。 2年の夏、あんまりニオウから、誰のバッシュが一番ニオウかコンテストした。バッシュって洗えないから誰のでもすぐ臭くなるんだよね。プシュプシュかけても気休めっての? みんなして、めっちゃクッセーとか言いながら、人のバッシュの臭いかいで、臭(シュー)ケーとってさ。結果、 シオネのが最有臭除臭ズ賞 とって、そのバッシュさ、金ラベル張られて、外周引き回しの上、ハリツケゴクモンの刑に処された。一か月雨ざらし。で、シオネにはそれに代わる新しいバッシュ、みんなでお金出しあって買ってあげたんだ。 ナイキのレブロンスペシャル。 シオネは最初、 「オレ、イラネーヨ」 って言ってた。こんな不名誉なことはないって。でも、結局受け取ってくれたよね。 「あんがとナ。感謝するゼ」 って。男前かっての。 シオネの名誉のために言っておくけど、シオネのが臭かったのは、誰よりも動いてバッシュがすぐにぼろぼろになるから。うちの点取り屋だったからね。相手のマークが厳しくって怪我もよくしてた、ウチが手当てしてあげたんだよ。すごかったのが相手のディフェンス一人で潜り抜けてリーチバック決めた時。どよめきが起きたあと大歓声で体育館が揺れたもんね。 でも、仲が良いことばっかりじゃなかった。ウチらが三年生になってから、女バスが二つに分かれていがみ合うようになって、練習の後とか、しょっちゅうケンカしてた。コートでは川田せんせーがいるからって、ブシツまで我慢して、ここで爆発させてたんだよね。そのころは、みんな家でもいろいろあって、ミワちゃんは二人暮らしのオジーちゃん体調悪くしてずっと心配してたし、ヒマワリはママが死んですぐだった。ウチは毎日ママとケンカばっかしてた。 家飛び出して夜の街を裸足で徘徊したこともあったよ。 今から思うとバッカみたいだけど。 家のことが学校生活にニジミ出ちゃうことって、ある。だから、他のみんなもそれぞれあってギスギスだったんだろうな。あの事件があって結局それどころじゃなくなっちゃったけど。
空気入れ変えよ。バスケのユニホーム干してあるや。こーやって並んでるのを見るのはやっぱツライな。欠番があるのなんて、ウチのコーコーぐらいじゃないかな。バスケのゼッケンなんて野球とかと意味違うのにね。 4番と7番と9番ない。ヒマワリ。 シオネ。 ココロ。三人があのシーズンに付けてたゼッケン。忘れらんないよ。 これ見るとあの事件のこと思い出しちゃうね。ウチらが高校三年の一学期、梅雨が始まったばっかのころ起こった女バス連続失踪事件のこと。 一番最初は、ヒマワリがいなくなった。 地区大会の練習でいつもより帰りが遅くなって、六道辻で一緒に帰った子とバイバイしたあと、いなくなっちゃった。ヒマワリのパパから捜索願いが出て、近くの池とか森の中とかも町の人総出で探したけど、見つかんなかった。 それからすぐに続けてシオネが、 梅雨が明けるころココロが行方不明になった。 あたしは、女バスのマネージャーってこともあったけど、 ヒマワリは、ミワちゃんもだけど、ちっさいころから家を行き来してよく遊んだ幼馴染だった。 ココロは家が近所だったからよく一緒に帰ってた。 シオネにはみんなには内緒の練習手伝ってもらってた。 だから、みんながいなくなって本当につらかった。 事件の後、ヘンタイに攫われたとか、カミカクシだとか、悪霊の仕業とかいろいろ言われたけど、結局誰一人見つからなかったから、いつの間にか事件はうやむやになってって、なんでかヒマワリのパパ達も捜索願い取り下げちゃてて。しまいには三人一緒に都会に家出したんだとか、そんな子は初めからいなかったとかいう大人まで現れたりして。そういうことにもウチらみんながキズついた。 ウチはこの町が超嫌いになってたから、高校卒業するとすぐに都会に出ようって、実はミワちゃん誘ったんだけど、ミワちゃん卒業式の時に言ったんだ、 「ヒマワリを待ってる」 って。ミワちゃんすごい強いと思った。でもウチはダメだった。はやく忘れたかったもん。
「あなた、何してるんですか? そこで」 ドッキー! やっば。ウチ、どー見ても変質者かドロボーじゃん(冷汗)。 「あっれー? レイカ? レイカでしょ?」 よかったー、川田せんせーだ。 そうですー。レイカですー(安堵)。 「やっぱりそうだ。社会人の格好しててもレイカはすぐ分かるよ。そのスーツ似合ってるよ」 先生こそ。ブルズのタンクトップにホットパンツって、相変わらずデンジャラスですね。 「こっちに戻ったんだって?」 「はい。挨拶も来ないで、すいません」 「いいって。それより、お母様のこと聞いたよ。残念だったね」 「……」(こういう時の返事の仕方、ワカラナイ) 事件のあと、先生とよくここで話し合った。てか、いっぱいウチの話聞いてもらった。 「そっか、ユニホーム見てたのか」 「欠番のままなんですね」 「そうだね。それについては、つい最近も議論されたんだけど」 「ウチはやめた方がいいって思います。後輩には関係ないことだし。残すならもっと違う方法があると思います」 「うん。先生はちょっと違うけれど、大方はそんな意見なんだよ。でも」 「でも?」 「欠番継続を強く望む人がいるんだ」 「誰ですか?」 「ヒマワリのお父様。今の町長さんだよ」 ヒマワリのお父さんって、今、町長やってんのか。ウチの上長の上長の上長の上長くらい上長じゃね。 「被害者の方の意見は、なにより優先されるからね」 先生。被害者はヒマワリたちです。ヒマワリたち望んでますかね。 「大変ですね」 「うん。でも、これは先生たちのトール道だから」 懐かしー。 川田せんせーの口癖。何かってーと、「それはあなたのトール道よ!」。 そーだ、昨日の子のことそれとなく聞いてみよ。 「どうですか? 後輩たちは?」 「あー、レイカたちの頃に比べれば、やっぱね」 「そうですか」 「ヒマワリにはなんでも任せられた。あの子、頭よかったからね。シオネは天才。WNBAでも行けたレベル。ミワとナナミのゴール下は安心して
あそこの二人は、控え目に牙付けて口に血のりシール貼ってるだけだけど、さっきすれ違った二人組なんか、全身ヴァンパイアコスプレだった。紫と赤の全身タイツ着てマントつけて。気合入ってんなーって、注目の的だった。二人ともスタイルよかったし。 ウチらジモティーは夜店で買ったヴァンパイアのお面、頭に乗っけておしまい。あー、そうね。あそこにもいるけど、沿線のJKは、制服にヴァンパイアメークってのが流行りみたい。お揃いコーデ、メンドーだからだと思うけど。けっこー、かわいい。スカートの丈つめて、ブットい足晒して。 ヒ! ちっさいおばーちゃんたち。チョー怖い。 「なんか、今年の志野婦の神輿、ちん(ピー)の形してるんだって」(ナナミ、ファール) 「やめてよー。ナナミ」 「セイラ、お前。何ぶりってんだ?」 「ないわ、辻沢の祭りは女祭りだよ」 「山椒の木の寄木造りって書いてある」 「レイカ、お前はどこの人だ。さっきからパンフばっか見て」 ケッコー面白いよ。 「山椒の木ってのは最悪だね。宮木野さんとこNGのはずなのに」 「どぃうこと?」 「宮木野さんは山椒の木の元で死んだから、神社に山椒は持ち込めないことになってる」 ふーん。そーいえば、役場の宮木野さんも山椒の木の下に寝転がってた。 「年女があの神輿に跨がるってパンフに書いてある。豊作祈願だって」 ちん(ピー)に女の子が乗るって、恥ずい。(レイカ、ファール1。反省) 「セイラ、今年、年女でなくてよかった」 「そーだねー。セイラは乗せらんないね」 「ミワちゃんは?」 「あたしは、別に気にしない」 「ちん(ピー)にのったミワの姿って、ワラエル」(ナナミ、ファール2) 「ウケル。そん時は、ナナミも同乗してるから。同い年、二人とも笑」 「レイカもそん時は年女だろ。ママハイ仕込みが」 「ほっとけや」 って、ナナミ、ヤマハイ仕込みでなくってママハイって言ってたんだ。ママの言うことハイハイ聞くって意味か。ウチ、そんなでもなかったよ。とくにコーコーの頃は。ナナミにテクニカルファールみとこ(ナナミ、ファール
今夜は三社祭です。ミワちゃんとナナミとセイラと来てる。カリンも誘ったけど仕事だって、こんな日に。かなりブラック、カリンの会社。ミワちゃんの黄色地に白い花柄の浴衣キレー。ナナミ、相変わらず肩幅広っろ。その浴衣おとーさんの? 渋すぎでしょ。セイラはいったいいつからそーいう趣味になった? ゴスロリ浴衣って。でもアンガイ似あっててカワイイ。ウチはママの拝借。ちょっとオトナな感じの赤地に黒い縦じまの浴衣。高倉さんにママの浴衣出してって頼んだら着付けまでしてくれた。《《おはしょり》》長すぎて腰紐高くしてるのは内緒。 三社祭は宮木野神社と志野婦神社のお祭り。二社しか参加しないのに三社っていうのは、カゲ社といって数揃えを入れてるから。二より三の方が縁起いいしょ。でも、三つ目は青墓の杜にむかーしあった青墓神社のことって言う人もいる。ホントのところは分かんない。ウチは俗説の、宮木野さんと志野婦さんの双子の姉妹の他にもう一人男の兄弟がいて、三社ってのが好き。 ウチは8年ぶりの三社祭。もとは4年ごとのお祭りで、ちょうど4年前にはあの事件があって中止になってた。でも、ミワちゃんたちは毎年参加だって。ヒマワリのパパが商店街振興を掲げて町長に当選してすぐの仕事が、三社祭を毎年開催に変えたこと。無理っていわれてたことを共催企業を募ることで実現したって。これはお祭りのパンフの受け売り。「ヤオマンの提灯と、三社祭の提灯、半々って感じ」「ほんとだー。んっぐぐ」「レイカ、お前、その腐れ牛乳好きだな。何本目だ?」「3本目。おいしーよ。あれ? なんて名前なんだっけ。ラベルない」「辻沢ダイゴ。あのノボリに書いてある」「ダンス・飲・ザ・辻沢ダイゴ!」「ほれ、レイカ。踊れ!」「あ、かっぽれ、かっぽれ」「なにそれ?」「知らない」 あぶな、人にぶつかりそーになった。あんなでっかいヴァンパイアの被り物二人でしてたら邪魔でしょに。てか、周りヴァンパイアだらけ。 宮木野さんと志野婦さんの双子姉妹がヴァンパイアって言い伝えをもとに、女の人はヴァンパイアの格好をして参加するように呼びかけてるんだって。二人一組でね。お揃いヴァンパイアコーデってやつ。
なんとか説明して、北村シニアマネに分かってもらった。「すまなかったね。いやー、勘違い。ここに座るのはみんなそーなのかと思ってしまって」 そんなのは、北村シニアマネだけでしょう。バランスボール、座りたくなくなった。「なに聴いてたの?」 これですか?「三味線の音がもれてたから」 スピーカーON。「あれ? 片っ方のイヤホン、渡して聞かせてくれないの? よく公園のベンチで恋人同士がやってるじゃない」 どうしてあんたと恋人同士みたいなことしなきゃならない? 変な親近感持ってもらっちゃ困るんだよ。ぢー仲間じゃないからな。「これ、宮司の奥さんの声に似てるな。三味線も?」 北村シニアマネお知り合いなんですか? 実は、役場のカルチャーで……。「やっぱりそうなんだ。懐かしいな。あの時、千福オーナーのところで宮司の奥さんにもお稽古つけてもらった」「二人だけかと」「千福オーナー三味線弾けないからね」 そうなんだ。「宮司の奥さんも美しい人でね。お姉さんだけあって」「え? お姉さんなんですか?」「そうだよ。双子のね。美しいと思わないかい?」 それは認めます。物腰がおちついているからそれなりのお年だとは思うけど、「20代に見えるくらい若々しいです」 大げさなようだけど、実際あたしとタメに見えることある。「そう、僕の時も20代に見えたけど。美人は年を取らないものなんだね」 20年前から年を取らない?「あの頃は、二人は仲睦まじくてね。まるで恋人同士のようだったんだよ」 まるで恋人同士。「ひょっとしてですけど、お師匠さんて千福オーナーのこと人に話すとき」「《《あの人》》って言うよ。弟だけどまるで彼氏みたいにね」「じゃあ、志野婦神社の土地の所有者って、千福オーナー?」「そうだよ。以前はもっとあったが今はあそこだけだよ」 お師匠さんのターゲット間違ってた。宮司さんでなくって、千福オーナーだった。なら、あの人がしてる危
志野婦神社の神輿完成報告して社長によろこんでもらうはずが、あたしが余計なこと言ったせいで、社長室の温度、2度くらい下がった感じ。「ヒビキ、あんた何言ってるの? 宮大工が一生懸命仕事するのは当たり前、納期までに完璧に仕上げるのは当たり前。違うか?」「そうです」「なら、どうしてご祝儀をはずまなきゃならない? わが社は仕事に見合った金を払ってないとでも?」「いいえ。十分払ってます」「あまいぞ、ヒビキ。《《ひさしぶりに女バス仲間に会って》》、仲良しごっこが懐かしくなったか?」 ユサのこと? ひさごのことまで知ってる? まさかね。「すみません」「どうせ、現場に言っちまったんだろ」「いいえ、それはしてません。社長に相談してからと」 今のは、ほんの軽口のつもりですし。「まあ、いいよ。とにかくおまえがやってるのは、ビジネスだ。金儲け。わかった?」「わかりました」「わかったら、行っていいよ」「しつれいします」 何年ぶりだろ怒られたの。 社長室出たらカワイがすり寄ってきた。「ねーさん。めずらしいですね。社長、昨日からナンカ機嫌悪いみたいっすよ。御神輿見に行ったらしいんすよ、できあがったの。それ見て怒ったんじゃないっすかね。だからあんだけ僕がチ〇コはまずいって……」 まとわりつくなよ。一人にしてくれねーかな。そっだ、厚生室行こう。なるほど、こういう時こうやってあの部屋が呼ぶんだ。知らなかったよ。あった、バランスボール。紫の復活してる。こっちは北村シニアマネ専用だから、あたしは黄緑のにしよー。ぶーらぶーら。ケツがこそばゆい。これ、本当に心の水平リーベ棒になるのかな。もちょっと、やっててみるか。そっだ、お師匠さんのベンベン節聞きながらやってみよう。〈ビエン、ビエン。なげきのむちもあにぇはなおー、ビエン。いもとがしぇなを、ビ、なで、ビ、おろしー、ビエン、おーお、そなやにおもやるももっとも。しかし。そなたがちちははに、なごおそやったみのかほおー。これこのあねをみやいのおー……〉やっぱ癒される、
女子会、結局参加した。シラベは置いといてみんな変わってなかった。修学旅行でフスマ破った張本人がシラベだったってのには納得。夜中に暴れ出したから、スオウさんとセンプクさんの二人掛かりで取り押さえたって、ははは。笑えない。高2の秋だよ、修学旅行って。例の件、センプクさんせっついたら餌やってるとこって、イミフ。 休み明け、出社早々やられた感。三社祭の公式飲料に乳製品だと? どこの誰が神輿担いで汗かいてミルクをがぶ飲みする? そこはビールとかせめてスポドリだろ?「でも、風呂上りの牛乳は格別って」 そうやってすぐに迎合するのは悪い癖だぞ、カワイ。「風呂上りじゃねーの、祭りなの」「ねーさん。とりあえず、名前考えましょ、これの」 名前すら決まってねーのよ。ついでに。ラベルとかポスターとかどうすれっての? 今から間に合わねーだろ。だれのごり押しだよ。「社長っす」 だよな。社長以外ないな。このタイミングでこれぶっこんで来れるのは。あ、社長出て来た。「ヒビキ、ゴメン。懇意の人がこれをどうしてもってさ」「商品名もまだないって」「できたばっかなんだよ。昨日。でも、おいしいから飲んでみてごらん、ホントに」 そーですね、「自分の体験を売れ!」(BY ジュース・ウェルチ)でした。うそ、ウェルチそんなこと言ってない。 ただの牛乳じゃないのは分かってる。やばい色してるんだけど、大丈夫なのかなホント。うえー、何これ。ミルクって言うより、チーズのような豆腐のような、それでいて甘くて、酸っぱくて、呑み込めない。「どう、おいしいでしょ」 おいしいですって、言いたいデスけどいまちょっと口の中に残ってるんで感想ひかえさせていただいていいですか?(無声) カワイ、お前、何とか言えよ、ん? どうした。ねーさん、苦しい(無声)。鼻から出てんぞ、牛乳。「とにかくうちはこれを大々的に売り出す。分かった?」「「ほぇーいす。」」 社長、宣言だけして帰って行った。「社長逆切れだったな。カワイ、名前何てしようか?」 「窒息牛乳。窒息ミルク。窒息ちち」 窒息から離れろ
ウチはセイラの本棚物色。うーん、ブンガクな本ばっかり。ダザイオサム。ニンゲンシカクの人。サカグチヤスゴ? 誰だっけ。サクラノシタとかの人か。ナカジマアツシ。おー、サンゲツキの人。高二の現代文で冒頭の文章を暗記させられた。「ロウセイノリチョーハハクガクサイエー、テンポーノマツネン、ワカクシテナヲコボーニツラネ、ツイデコウナンイニホセラレタガ、セイ、ケンカイ、ミズカラタノムトコロスコブルアツク、センリニアマンズルヲイサギヨシトシナカッタ」。覚えてるねー。この人発狂して虎になっちゃうんだけど、それが妙にリアルでみんなすごく真剣に授業受けてたよね。 ウチはしばらくの間はうとうとしながら、カリンとセイラがゲームしてるのを遠くのほうの出来事みたいに感じてた。ときどき、「すごい。カーミラ・アシュ、カイ・ドラキュラ、一撃」 とか、「こんなに早くメアリー・シェリーにたどり着くって」 とか、「黒幕はバイロン卿だと思ってたのに」「どうしてここで、ポリドリ?」 って、気になる名前が聞こえてた。トム・ホランドの『真紅の呪縛』面白かったな。パパの本棚にあったヴァンパイア小説で3番目くらいに。 なんて考えてたらウチはいつの間にか寝落ちしちゃってて、カリンが、「よっし裏ゲーム、ゲットー! 『スレイヤー・R』」 って叫んで、ビックリして起きた。いま何時ですかね。お日様出てますね。「3時間でクリアだって。さすがチート・モード」「『スレイヤー・R』はどんな感じ? カリン」「位置ゲーみたいだけど」「カリン見て。この地図、どこか分からないように省略してあるけど、位置許可してやると、ホラ、この地形、青物市場っぽい」「フィールドロケーションは辻沢なんだ」「辻沢で何をするゲームだと思う? モンスター集めて回るとか?」「まさか。モーケモンGOじゃないよ」 お二人さん、ウチには分からない世界の住人になってる。このままゲームをやり続けるって言うけど、ウチそろそろ。「どうしたの? 用事?」「ううん。PK」「なにそれ」「パンツ変えたい」
「十二時か、Vフェス終了。今回もだめだった」 ひさご出て三人で町をプラプラした。というより、セイラの家に行こうってことになって歩いてた。そしたら、道の向こうから、若い男が走って来て、「おーい、いたぞ!」 って、駅舎で山椒屋のオジサンがやったみたいな格好してる。すり鉢を頭に乗せてスリコギ持って。そしたら脇道からもおんなじよーなのが三人出てきてウチらを取り囲んだ。駅舎で見たときはなんかおかしかったけど、街なかだとあまりのぶっ飛びようにかえって怖い。「ターゲット!」「パツキン。真ん中のヤツ!」 セイラのこと?「いかにもだな」「どこの制服だ? 超レアなんじゃないか?」「おう、俺が見たことないってことは、かなりだ」 制服じゃないっしょ、明らかに。ぽいはぽいけど。「宮木野制服図鑑には載ってないぞ」 本のページ必死にめくってるやつ。「県北女子高御三家でもない」「他県のだろ?」「横の君たち! 今、僕らが助けてあげるから!」「さー、本性を現せ! このヴァンパイア」「バーカ! セイラは人間だよ」「しゃべった? ヴァンパイアが?」 向うがひるんだ瞬間、カリンが、「こんっの、キャベツに代わってお仕置きだ!」 って、キャベツの半キレ、先頭の男にぶん投げた。そのキャベツどこにあった?「いった!」「ちょっと、なにすんの」 スマフォ出した。なんなの? トーサツ?「待った。ピンの場所間違ってないか?」「あ、住所違ってる。ここ青物市場だってジャン」「おいおい、青墓だぞ、今夜の出現場所は」「青しかあってねーし」「マップ担当、しっかりしろよ」「ターゲット誤認。本隊は撤収する!」「「「スレイヤー!」」」「紛らわしいカッコすんな。ブスが!」 カリンが長芋を握りしめてる。だから、それどこに落ちてた?「やっかましー。なめてっとすり潰すぞ! こら!」「「「こえー」」」「先を急ぐぞ。夜は
「十二時か、Vフェス終了。今回もだめだった」 ひさご出て三人で町をプラプラした。というより、セイラの家に行こうってことになって歩いてた。そしたら、道の向こうから、若い男が走って来て、「おーい、いたぞ!」 って、駅舎で山椒屋のオジサンがやったみたいな格好してる。すり鉢を頭に乗せてスリコギ持って。そしたら脇道からもおんなじよーなのが三人出てきてウチらを取り囲んだ。駅舎で見たときはなんかおかしかったけど、街なかだとあまりのぶっ飛びようにかえって怖い。「ターゲット!」「パツキン。真ん中のヤツ!」 セイラのこと?「いかにもだな」「どこの制服だ? 超レアなんじゃないか?」「おう、俺が見たことないってことは、かなりだ」 制服じゃないっしょ、明らかに。ぽいはぽいけど。「宮木野制服図鑑には載ってないぞ」 本のページ必死にめくってるやつ。「県北女子高御三家でもない」「他県のだろ?」「横の君たち! 今、僕らが助けてあげるから!」「さー、本性を現せ! このヴァンパイア」「バーカ! セイラは人間だよ」「しゃべった? ヴァンパイアが?」 向うがひるんだ瞬間、カリンが、「こんっの、キャベツに代わってお仕置きだ!」 って、キャベツの半キレ、先頭の男にぶん投げた。そのキャベツどこにあった?「いった!」「ちょっと、なにすんの」 スマフォ出した。なんなの? トーサツ?「待った。ピンの場所間違ってないか?」「あ、住所違ってる。ここ青物市場だってジャン」「おいおい、青墓だぞ、今夜の出現場所は」「青しかあってねーし」「マップ担当、しっかりしろよ」「ターゲット誤認。本隊は撤収する!」「「「スレイヤー!」」」「紛らわしいカッコすんな。ブスが!」 カリンが長芋を握りしめてる。だから、それどこに落ちてた?「やっかましー。なめてっとすり潰すぞ! こら!」「「「こえー」」」「先を急ぐぞ。夜
おひさー。女バスの子たちとは卒業式以来。みんな元気そーでナニヨリ。ナナミは安定の肩幅だね。あれ? セイラやつれてない? 地元のシステム会社に就職したって聞いたけど、ソッカー。やっぱキビシーよね、実社会は。特に女子にはさ。ミワおかーさんだけだね、輝いてるの。ムセッかえるっての? ムネやけするっつーか。最近トミニ匂いがきっついな、ミワちゃんのそばいくと、くらくらするから離れて座ろ。ゴメンね。何これ?「あ、おとーしになりますー」 ゴマスリセットが? で、なんでみんなしてゴマスリし始めてんの? 席に着くなりゴリゴリゴリって、変じゃね? ナナミがゴリゴリゴリ。「ミワ、まゆまゆ誰に預けてきたの?」「ママ友。気楽に頼める人がいて助かる」「「「それ希少種。レッドデータ、イマドキ」」」「ところでセイラ、なんで金髪にした? 前の黒髪の方があんたらしくてよかったのに」「彼氏でもできたの?」「うん、そんなとこ」「似合ってるよ。セイラ」「ありがと。ミワ」「おまたせー」 カリン来たー。遅かったね。スーツにスラックス。かっこいい。ナナミがゴリゴリゴリ。「おー、カリン」 ミワちゃんが(以下、略)。「遅かったねー」 セイラが(以下、略)。「待ってたー」「仕事がね、たまっちゃってて」 ナナミが(以下、略)。「かせーでるね」「サービスありきっての? よう、レイカ。おひさ」「んっちわ」 みんな思ってたほどじゃなくてよかった。落ち着いてる感じ。やっぱ、四年も経つと忘れてくるのかな。さみしー気もするけど、事件が事件だから、これでいいよね。 エッグノックって初めて飲んだけど、おいしかったな。ミワちゃんがウチの前に次々置いてくれるんでいい気になって5杯も飲んじゃった。酔って寝ちゃったんだ、ウチ。ふわー。あれ? カリンとセイラだけだ。ミワちゃんたちは?「用事済ませて三〇分くらいしたら戻るって」「ナニやってるの、それ」「ゲーム」 すげないね