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第9話

著者: 聴世物語
last update 最終更新日: 2024-12-16 11:10:17
佐藤圭一は私を警察署に引きずり込んだ。

私は地面に倒れ込んだ。

警察官たちが私に向かって押し寄せてきた。「林さん、やっとお越しいただきました。すぐにご案内します......」

しかし、佐藤圭一はむやみに彼らの言葉を遮った。「通報する!」

誰も彼の言葉に反応しなかった。すると、彼はさらに声を大きくして、挑発するように言った。「聞こえないのか?通報すると言っただろう!」

やっと一人の警察官が気持ちを落ち着かせて尋ねた。「佐藤さん、何の通報ですか?」

「この女が狂っている。さっき果物ナイフを持って、妹を刺そうとした......」

佐藤圭一は眉をひそめて言った。「このようなこと、何年の刑が科せられるのか?」

その時、誰かが突然質問した。「佐藤さん、奥さんを刑務所に送るつもりですか?」

その一言で部屋の中は静まり返った。

しばらくの沈黙の後、誰かが口を開いた。「佐藤さん、この件よりも、息子さんの死に関してまずは考えた方がいいと思いますが......」

佐藤圭一は立ち止まった。「どういう意味だ?まさか、また息子のことを......」

しかし、言葉が半分出たところで彼は言葉を止めた。

その瞬間、彼は呆然とし、厳しい表情の警察官たちを見つめ、まるで魂が抜けたようになった。

誰かが私に声をかけ、沈黙を破った。「林さん、私たちは安全通路の階段の角で息子さんを発見しました」

「映画館では普段エレベーターを使うので、あの安全通路にはほとんど人が入らないんです。さらに、息子さんが階段の角にいたので、映画館を探し回ってからやっと見つけました」

「どうやら足を滑らせて転んだらしく、全身に傷がありました」

私たちの視線の先に、だんだんと白い布が見えてきた。

白い布の下には、小さな体が横たわっていた。

佐藤圭一の声は震えていた。「何をしているんだ?また偽物の遺体を持ってきたのか?」

彼は前に飛び出し、信じられない表情を浮かべながら言った。「こんなにリアルに作れるもんだな!」

「パッ」と音がして、彼は白い布を捲った。

そこには、ウジ虫が湧き、悪臭を放つ息子の遺体があった。

その衝撃的な光景が、彼の目の前に現れた。
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