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授賞式で婚約者が愛人をステージに引き上げ、告白した

授賞式で婚約者が愛人をステージに引き上げ、告白した

By:  解き放たれたハスキーCompleted
Language: Japanese
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授賞式で、婚約者の興人は、私に賞を授ける名目で愛人を引っ張り上げ、公開宣言した。 私は肩をすくめて言う。 「古いものが去れば新しいものが来る、それだけです」 両親「出資を撤回、もう協力しない」 姉「版権を取り戻す。腐ってもあんたたちには売らないから!」 焦った興人は謝罪しに来たが、私は手を振って一蹴した。 「あんたごときが、私に話しかける資格なんてないわ」

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Chapter 1

第1話

ゴールド女優授賞式では、興人が司会者、そして私は受賞者だった。

興人からトロフィーを受け取ろうとしたその瞬間、彼は一歩後退し、マイクに向かって話し始めた。

「今日は特別な日です。この場を借りて、伝えたいことがあります」

会場が静まり返る中、私は隣で立ち尽くしながら彼の言葉を聞いていた。

「僕と林は半年間交際しています。そして、今日、この舞台で彼女に伝えたいんです!」

「告白は男がするほうが似合うから!」

会場は拍手喝采、さらに囃し立てる声が次々と湧き上がった。

観客席の雫は口元を手で覆い、目に涙を浮かべていた。司会者が促すまで、彼女は舞台に上がれなかったほどだ。

二人が抱き合う様子を目の当たりにしながら、私は険しい表情で立ち尽くしていた。興人がトロフィーを雫に渡したとき、私はマイクを手にして笑いながら一言放った。

「聞いた話では、白濱さんの家には婚約者がいるそうですが、これは林さんを公然と愛人にする宣言ですか?」

その言葉を境に、会場の拍手はぴたりと止まった。雫は呆然とし、興人は不快そうに顔をしかめた。

「家の年長者たちが勝手に言った冗談ですよ。この時代に、まだ政略結婚なんて信じている人がいるんですか」

興人の軽蔑に満ちた表情を見て、私は思わず失笑した。

「では、お二人に末永い幸せを。ご多幸をお祈りします!」

そう言い放ち、マイクを置いてその場を去った。トロフィーすらも要らなかった。

裏では司会者がまだ舞台上で私を呼び止めていた。

「響歌、トロフィーを......」

私は振り返って彼に笑顔を向けた。

「あげるわ!」

私には、興人の行動が司会者の了解なしで行われたとは到底思えなかった。授賞式には一応の進行スケジュールがあり、司会者がそれを制止できなかった以上、多少の責任はあるはずだ。

そのトロフィーは司会者に譲ってやろう。これを機に、もう少し学んでもらいたいものだ。

私は席に戻り、司会者が次に話している内容など全く耳に入らなかった。スマホを取り出し、すぐに興人の件を家族に報告した。

興人が政略結婚だと言い張るのなら、もう我が家の助けは必要ないだろう。

白濱家は帝都の三流家族だ。彼の祖父と私の祖父が旧知の仲でなければ、興人が私の婚約者になることなど絶対にありえなかった。

我が家の力を存分に利用したあげく、興人は自分がやれると思い込んでいるようだ。実に滑稽な話だ。

授賞式が終わり、私はマネージャーと一緒に会場を後にした。彼女は憤慨しながら言った。

「この興人、わざとでしょ?これが生放送だってわかってたはずなのに」

「せっかくの受賞の機会を台無しにしやがって!」

私は彼女の肩を軽く叩いて笑った。

「これでいいんだよ。すぐに話題にしてくれ。興人が土下座して謝るところを見たいんだよ」

ここまでやられて黙って受け入れるつもりはない。

咲は目を丸くして私を見た。

「本気?」

「もちろん」

「わかった!すぐに手配する!」

咲は興奮した様子で駆け出していった。彼女は私の従姉で、私がデビューしたときからずっと面倒を見てくれている。

興人の裏事情なんて、彼女は全部知っていた。

ゴールド女優の授賞式が生中継されたこともあり、興人の大々的な愛の告白と雫の応答はすぐに話題となった。授賞式後、二人は揃って記者に囲まれ、幸せそうな笑顔で写真撮影に応じていた。

まるで幸せを全世界に見せつけたかったのようだった。

彼らが帰宅してから、どんな言い訳をするのか知らないが、私は冷笑しながら車に乗り込み、その場を後にした。

家に着いたのも束の間、興人は両親を連れて我が家にやってきた。

興人の顔は腫れ、上着は着ておらず、シャツ姿で背中に荊の枝を背負っている。どうやら「謝罪」に来たらしい。

「響歌、今日興人が悪いことをした。あれは全部雫が彼をそそのかしたせいよ!彼も一時的に心を惑わされていただけ!許してあげて」

出会い頭に、興人の母親である琴美が私の手を握り、全ての責任を雫に押し付けてきた。

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