なりすまし令嬢、その破綻の瞬間
親友が私のために高額なお守りを買ってきてくれた。安産と幸運のためだと言って。
私は感謝の気持ちを込めて、そのお守りを枕の下に敷いて眠った。
一ヶ月後、男の子を出産した。
家族揃って喜んでいた矢先、親友がDNA鑑定書を手に両親の前に土下座して、私を指差して罵った。
「お父さん、お母さん、私こそが本当の娘なんです!林田あかりは偽物です。私たちが生まれた時に、彼女の実の母親が私たちを取り替えたんです!それに、この子は周東拓也の子供じゃありません。浮気相手の子供なんです。私のお腹の子こそが周東家の血を引く子なんです!」
両親は信じようとしなかったが、鑑定書を見た途端、私に悲しみと決意の入り混じった目を向け、林田家から追い出した。
義理の家族と周東はさらに私を水性の女だと決めつけ、容赦なく離婚を突きつけてきた。
十一月の雪の日、無一文の私は赤ちゃんを抱きしめながら路地裏で授乳していた。
そこを物あさりのホームレスに見つかってしまった。
結局、私の子供は連れ去られ、私は凌辱を受けた末に自ら命を絶った。
死んでから初めて、これら全ては親友の策略だったことを知った。彼女は私にお守りを渡したのは、私と命を交換するためだったのだ。
目を開けると、親友がお守りをくれた日に戻っていた。
しかし今回も、私はそれを枕の下に敷いて眠りについた……
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