帰宅してから自分の為だけに食事を何も作る気になれず、自宅の近くのコンビニに立ち寄り、売れ残ったために隅に追いやられた小さなお弁当を買った。 売れ残り――私の中で結婚を意識する年齢はとっくに過ぎてしまったのに、恋人になってくれそうな男性の知り合いもいない。このお弁当はまるで私のようだと嘆きたくなった。 とぼとぼと重い足取りで家に帰ると、より一層徒労感に襲われた。もう疲れてしまった。なにもしたくない。 大好きなお風呂を沸かす気力も無く、ソファーの背もたれ部分に頭を乗せて唸った。お風呂は今日はお休みして、シャワーにしよう。 先に何か口にしようと思い、エコバックから取り出した売れ残りのお弁当を見る。正直あまり食欲はないけれど…残すのは忍びない。食べてあげなきゃ可哀想だ。まるで私だもん。 自分で自分を更に追い込むような事を思いながら、淋しいので見たくもないテレビを点けて冷めたお弁当を食べていると、傍に置いていたスマートフォンが鳴った。Love Seaからのメッセージ受信のお知らせ着信だ。――こんばんは、元気?(玄) たったひとこと、玄さんからのメールだった。彼からのメールはこれが初めて。相変わらずの愛想無い。でも今は却ってこれがいい。 ――いいえ、元気じゃないです。今、打ちひしがれてます(☍﹏⁰)。(M) お行儀悪いけれど、一人だからいいやと思って、お弁当を食べながら玄さんのメッセージに返信した。他愛もないやり取りで誰かと繋がっていると思うだけで、今は心細くて淋しいと思う気持ちが満たされる気がした。それにこの重く辛い気持ちを、誰でもいいから愚痴りたい。 そうなると、顔も知らないアプリで知り合った人というのは、今のこの状態に丁度いい人材だ。――そっか。大変だったんだな。同じだ。俺も打ちひしがれているトコ。(玄) あら。打ちひしがれ仲間?――どうしたのですか?(M)――色々あってさ。ちょっと誰かと話したい気分で声掛けた。(玄) それ、気が合う!――お仕事大変だったのですか?(M)――まあね。Mさんも仕事で嫌事あった?(玄)――うん。びっくりするほの嫌事が!(M)――俺と一緒(笑)(玄)――どんなことが?(M)――俺、飲食店やってるんだけど、新規オープンした店にお客が来なくて。結構ヤバイと思ってビラ配りに行ったら、酔っ払いに絡まれて暴
Last Updated : 2025-04-20 Read more