病院。薔薇が病室に入ると、顔色が青白い女性がベッドヘッドに寄りかかり、目は虚ろでぼんやりとしていた。男性は少し色あせた外套を着て、立ち上がると大股で歩み寄り、薔薇と握手を交わした。「温井さん、俺は月島天美(つきしま あまみ)の夫、月島朋孝(つきしま ともたか)です。あなたの電話を受けて、俺たち夫婦は本当に嬉しく思ってます。花の城レストランがこんな許せないことをしたのは、必ず代償を払わせなければなりません!」薔薇は天美に目を向けたが、その顔には喜びの表情は一切見当たらなかった。「奥様のご体調はあまり良くないようですね。流産は心身に大きな影響を与えるので、あまり無理に聞きたくないのですが
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