中には私と彼の写真が貼り詰められていて、最初はまだ距離のあった二人が、少しずつ、少しずつ心を通わせていった過程が写っていた。私と彼が付き合ってからのすべての出来事が記録されている。最後のページをめくると、彼の力強い字で書かれていた。【清香、愛してる】隣でその文字を見た先輩が、バッと私の顔を見た。「……ちょっと、感動してるとか、ないよね?」私はアルバムを閉じて、ゴミ箱に捨てた。「まさか。感動なんかしたら、これまでの私の努力、全部バカみたいでしょ」先輩は安堵のため息をついた。「でも、あなたが興味を持ちそうなことがあるわ」そう言って、先輩は話し始めた。さくらの話だった。国内ではニュースになるほどの騒ぎになっていたという。不倫相手として本妻に現場を押さえられ、なんとその場で暴行されたらしい。そして彼女は自分の正当性を訴えようと、ライブ配信を試みた。しかし、過去の投稿や行動が次々と掘り起こされ、常習犯だとネット中から総叩きに遭った。彼女が一樹を追いかけていた時の片想い日記さえも晒され、コメント欄は炎上の嵐だった。【不倫ってわかっててやってたんだ?読んでて胸が苦しくなるわ】【今どき、他人の恋愛に入り込むことをこんな綺麗な言葉で包む人がいるとは】【結婚前に告白して、自分の初めてをあげるとか……頭イカれてんの?】【私が新婦だったら、マジでぶん殴ってる】【女も最低だけど、この男も同罪だよね。距離を保ていれば、ここまでこじれてない】そこで誰もがこの恋の結末を待ち望んでいたが、内部関係者によると、花嫁は結婚式当日に逃げ出したらしい。新郎は街中を探し回ったが、行方不明の花嫁を見つけられず、彼は狂ってしまった。多くのネットユーザーが「ざまぁみろ」と罵った。先輩は言った。「もう一生、あの二人の厄介者に関わらないように」でも言霊とは、時に皮肉なものだ。私は優秀博士代表としてスピーチを終えたその直後、バックステージで一樹に、会ってしまった。彼は私の手首をつかんだ。「清香」「お願いだ、少しだけ話を聞いてくれないか?」私はそっと手を引き、冷ややかな視線を彼に向けた。「聞く意味、あるの?」一樹は力なく肩を落とし、声を詰まらせて絞り出すように言った。「清香……俺に、そんなふうに突き放すべきじゃない。犯人だって言
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