翌日、家に帰ると、家のテレビはついておらず、夕食のメニューも驚くほど豪華だった。夜遅くまで勉強していると、母が夜食を用意してくれ、さらに「勉強頑張るのよ」と励ましてくれた。正直、慣れない感じだった。あの日の言葉が、そんなに効いたのだろうか?由珠は、以前のように目立とうとしなくなり、むしろ必死に勉強を始めた。家の雰囲気は、まるで良くなったように見えた。ただし、一つだけ気になる存在があった。それは、見た目の良い不良青年の佐藤健人だった。彼は由珠の友人で、両親は当初二人の交際を反対していた。しかし、その後、健人は家に頻繁に出入りするようになり、飲み物やお菓子を持ってきたり、家事や家具の修理を手伝ったりして、そのどれもが完璧だった。由珠が健人を見る目には、いつも恥じらいと初々しさが漂っていた。だが、健人が見つめるのは私だった。彼の優しい目には、まるで私が彼の全世界であるかのような想いが込められていた。由珠は何度も私に「健人には近づかないで」と釘を刺した。私はただ一言、「頭おかしいんじゃない?」と返すだけだった。そして、ついに待ち望んだ日がやってきたーー大学入試の日だ!試験前日、私はいつも通り気を緩めることなく、深夜12時まで勉強を続けた。母が夜食を運んできて、「明日、頑張ってね」と声をかけてくれた。私は夜食を飲み干しながら、うなずいた。「うん、この間の夜食、ありがとう」すると、由珠が部屋の入口に現れ、満面の笑みを浮かべながら言った。「砂織、遠慮しなくていいのよ。夜食は私がママに頼んで作らせたの」驚いた私は振り返ると、母は申し訳なさそうな顔をして何も言わなかった。その瞬間、私の体がふらつき始め、視界がぼやけてきた。部屋から出ようとしたとき、由珠が手を伸ばして私を押し倒し、ベッドの上に押し込んだ。彼女は得意げに笑いながら言った。「ははは!さっきの夜食、実はママが薬を混ぜたのよ。これ、健人が用意した薬なの。効果抜群でしょ?砂織、今夜はぐっすり寝て、試験を大人しく欠席しなさい!」
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