やっぱり考えすぎだったみたいだ。 ゼネラルマネージャーはただ会社を代表してインターンにお祝いの言葉を届けに来ただけで、いわゆる形式的な挨拶をしにきたのだ。 「白石絵理は誰だ?」 彼が部屋に入るなり、ストレートに問いかける。 突然名前を呼ばれ、状況が飲み込めていない白石は戸惑いながらも一歩前に出た。 「……私です」 「企画書、見せてもらった。なかなか良くできていたな。期待しているぞ」 「ありがとうございます!」 ……いつから、企画を盗むような人間がこんなに簡単に称賛されるようになったのだろう? 「で、そっちの彼女は?」 ゼネラルマネージャーは私を一瞥すると、部長に視線を移した。 部長は軽く咳払いをして、私のことを説明し始める。 「この従業員は、インターン期間中に個人的な問題を起こし、それが原因で社内に悪い噂が広まりました。その上、企画書も期限内に提出せず、結果としてインターンを通過できませんでした。それなのに、先ほどから騒ぎを起こしておりまして……」 ゼネラルマネージャーは厳しい表情を崩さずに言った。 「若いなら、これからいくらでもチャンスはあるだろう」 ……でも、私はそんな言葉で納得するわけにはいかなかった。 「それじゃあ、もし今ここで企画書を提出したらどうなるんですか?」 私が今まで提出しなかったのは、部長と白石がいる以上、企画書を出しても絶対に握り潰されると分かっていたからだ。 ゼネラルマネージャーは眉をしかめた。 「もう完成しているのに、なぜ期限内に出さなかった?今さら出したところで無駄だ」 その時だった。 ゼネラルマネージャーの秘書が慌てた様子で部屋に駆け込んできた。 「ゼネラルマネージャー、大変です!先ほど使われた企画書に小数点の記載ミスがありました。幸い早めに発見できましたが、もし気づかなければ会社に数億円の損失が出ていた可能性があります!」 「何だと?」 ゼネラルマネージャーは目を鋭く光らせ、怒りの視線を白石に向けた。 「おい白石、提出する前に確認しなかったのか?」 「わ、私……」 白石は動揺しながらも、すぐに責任を私に押し付けようとした。 「この企画書は桐生さんが作ったものです。私は彼女を信頼して、内容を確認せずそのまま提出しただけなんです
最終更新日 : 2025-01-09 続きを読む