家を買うために、彼氏の平井要(ひらい かなめ)と節約生活を頑張ってたんだ。なのに、この間、要がボーナスで40万円もらったって言って、ブランドバッグをプレゼントしてくれた。正直、嬉しかったけど、同時に「これ、必要だったのかな?」って思っちゃった。それで、レシートとバッグを持ってお店に返品しに行ったんだけど、店員さんにこう言われた。「こちらの商品、偽物ですね」は?ってなったよ。でも、レシートは本物なんだよね。……「そんなわけないでしょ!レシート見てよ、ここにちゃんとあるじゃない!」って食い下がったんだけど、店員さんは申し訳なさそうに言った。「確かにレシートは当店のものです。でも、このバッグは偽物ですね。一度、購入された方に確認してみては?」友達の七海(ななみ)と一緒に店を出たけど、もう頭の中はぐるぐる。七海がレシートをじっと見ながら言った。「レシートが本物ってことは、平井さんがバッグを買ったのは間違いないよね。でもさ、この偽物って一体何?」その後もモヤモヤが消えなくて、夕飯の時間までそのことばっかり考えてた。でも、夜は要とその友達たちとの食事会があるから、気持ち切り替えなきゃって思って。要に「案件取れてボーナスも出たんだから、たまには外食くらいいいだろ」って言われて、久しぶりに外でご飯することにした。会場に着くと、要の友達がもう個室で待ってた。ちょっと遅れて要が現れたんだけど、その隣に星野優(ほしの ゆう)がいた。淡い色のワンピースに身を包んで、腕には......あのバッグ。七海が私の腕を引っ張って、小声で囁いた。「見て!星野のバッグ、あんたのと全く同じじゃん!」私も見たけど、本当に同じだった。思わず眉をひそめちゃった。星野は要の幼なじみで、数年前に結婚したものの、旦那のDVで入院するほど殴られたらしい。何度も痛い目に遭って、やっと離婚できたんだとか。その後は療養生活が長かったみたいで、その間、要がずっと面倒を見てたんだって。優は恩返しだって言って、何かと要に頼るようになった。気づいたら私の真似までし始めてた。髪型や服装、どこか私に似せてくる感じで。要にそのことを話しても、「どうして?君のセンスがいいから真似したんじゃない?」なんて軽く流されるだけ。だから七海が星野にズバッと聞いた。
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