美穂は青ざめた顔で立ち去った。彼女もまるで狂ったかのように、泣いたり笑ったりしていた。健也は家の中に戻ると、私と息子の骨壺を丁寧に拭き始めた。言い忘れたが、彼は数日前に葬儀場に行き、私と息子の遺骨を引き取ってきた。骨壺にはすでに分厚い埃が積もっていたが、健也は布で少しずつ丁寧に拭き取ってきれいにした。ここ数日、私はもう息子を引き止めることができなくなった。彼は完全に束縛を解き放ち、行きたい場所へ自由に飛んで行けるようになった。しかし私はまだ健也の周囲に囚われたままだった。私は息子にさよならを言うべき時が来たことを悟った。夜になり、一日中遊び回っていた息子を抱きしめた。私は彼に来世の話をしてあげた。その世界では、私たちは天上を漂う透明な魂ではなく、様々な美味しいものを味わい、友達と楽しく遊び、学校にも行ける普通の人間として生きることができる。息子の目はその話を聞いてキラキラと輝いた。彼は言った。「ママ、じゃあ僕が先に来世で待ってるね！」私は彼をぎゅっと抱きしめ、「いいわ、ママは必ずあなたを探しに行くからね！」と答えた。翌日、私は彼を魂を輪廻へ送る役人に託した。彼はその役人の手を握りながら、何度も振り返って私に「さようなら」と言い続けていた。私は彼が消え去るまで、見送っていた。胸の中が空っぽになったようで、何に対しても興味が湧かなかった。私は健也のそばに麻木したように付き添いながら、彼が毎日同じことを繰り返すのを見ていた。彼は霊園で隣り合った三つの墓地を選んだ。場所は悪くなく、山の頂上にあり、街全体を見下ろすことができた。彼は私と息子の遺骨を埋葬した。その後、彼は独り言のように呟いた。「真希、こんなにも長い年月が経っても、俺が一番愛しているのはお前だ。前に家に連れてきた女たちなんて、ただお前を怒らせたかっただけだ」「俺と美穂の間にも特に何もない。外の計算高い女たちにはうんざりしていたし、彼女をそばに置いてお前を苛立たせるのも悪くなかったんだ」「お前があの日俺を裏切ったことが憎かった。それで必死に金を稼いだけど、どうして金を手にしたときにはお前を失ってしまったんだろう？」彼の顔は涙で濡れていた。彼は会社を売却し、ヒカルグループに譲渡した。それを引き継いだのは比沢裕だった
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