「この家、なかなか素敵ね。広々としていて、住むにはちょうどいいね」田村婆さんは三角形の目を細めながら部屋を見回し、突然咳き込むと、痰を床に落とした。彼女は無意識に足でそれをこすり、中年の肥満男性が私のソファにどっかり座り込むと、鼻水を何気なく丁寧に整えたソファのクッションに擦りつけた。その足元からは、何年も発酵させたような臭いが漂い、家中に耐え難い悪臭が広がった。目の前の光景に頭皮がぞわぞわする。ようやく迎えた週末で、たっぷり寝るつもりだったのに、朝の5時にもならないうちに、田村婆さんが息子の田村大志(たむら たいし)を連れてドアを叩きに来た。部屋に入るなり、家中を勝手に見て回り、リフォームしたばかりの部屋のインテリアに触れ回る。私は最後の理性を保ち、田村婆さんが主寝室のドアを開けようとするのを阻止した。「田村婆さん、何か用事があるなら早く言ってください。助けられることなら協力しますよ」彼女とドアの間に立ち、さりげなく距離を取った。田村婆さんは皺だらけの顔で笑い、誇らしげに首を高く突き出していた。「この家、私たち気に入った。だからあなたは出ていきなさい」私は耳を揉みながら信じられない思いで彼女に問い返した。「出て行けって?田村婆さん、何か勘違いしてるんじゃないですか?ここは私の家ですよ」田村婆さんは落ち着いて頷き、次の寝室に向かいながら批評を始めた。「ここに住みたいなら、ただじゃ済まないよ」「私たちがここに住む以上、生活の世話が必要になるよ。あなたは仕方なく住み続けてもいいけど、私たちの専属家政婦として24時間付き添ってもらう。あと、息子の生理的な欲求にも応えて、呼ばれたらすぐ来なさい。毎月、給料も貯金も全て差し出してもらうからね」「そうしたら、この次の寝室をあなたたち夫婦に使わせてあげるわ」彼女は書斎を一周し、不満そうな声を上げた。「書斎なんていらない。小さな寝室に改装して貸し出しなさい」田村婆さんは勝手に家中の計画を進め、私の反応も聞かず、大志を呼び出してその場を立ち去った。「荷物を全部ここに運び入れるつもりだ」と言っていた。。私は怒りに震えた。なんて厚かましい!職人の話によると、家のリフォーム中、田村婆さんは私よりも頻繁に現れたそうだ
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