日々がただ淡々と過ぎていく。窓の外では、最後の紅葉がひらりと落ちた。その瞬間、不意に口を開いた。「お兄ちゃん、外に出て日向ぼっこしたいな」湯気の立つスープ碗を手にしていた拓弥の動きが一瞬止まり、次の瞬間、表情にぱっと嬉しさが広がった。抑えきれない喜びが、唇の端をぐっと引き上げた。「いいよ、すぐに外に行こう!」彼は急いで車椅子を用意し、私を紅葉の木の下まで連れて行ってくれた。私は笑いながら、ふと思い出したように言った。「最後に一緒に日向ぼっこしたのって、たしか私が四歳の時だったよね。公園でブランコに乗せてもらったけど、勢い余って飛ばされたっけ?」拓弥の顔にも懐かしさが浮かんだ。「そうだったな。家に帰ったら、あのことでひどく叱られたよ。でもこれからは、もっと外に連れ出してやるよ」私は「いいよ」とも「だめだよ」とも言わず、ただ静かに呟いた。「でもね、お兄ちゃん......この数年、本当に辛かった。太陽を浴びるのさえ怖くなったんだ。私なんかに、そんな資格ないから」拓弥は一瞬固まり、その後、顔が青ざめていった。「そんなはずないだろ......」私は彼の言葉を遮った。「私が父さんと母さんを死なせた罪人だから、そんな資格なんてないの。瑠香が私を陥れようが嘘をつこうが、それは全部私のせいだよね?お兄ちゃんもずっと彼女の味方だった。私には友達も家族もいない。私が生きてても、誰も悲しんでくれない......だから天は、私に病を与えて、罰を与えてるんだと思う。お兄ちゃん、私が間違ってたよ。あんな勝手な願い、しちゃいけなかったんだね。両親が戻ってきて、私の誕生日を祝ってくれるなんて......」優しい風がそよそよと吹き、暖かな夕日が私を包んだ。その温もりが心地よかった。「綺麗だね......」私は呟き、急にひどく眠くなった。目の前の景色がぼんやりしていく。拓弥に微笑みかけながら、最後に言葉を絞り出した。「お兄ちゃん、私......両親に謝りに行くね」目をゆっくり閉じた。私の世界は、ようやく真っ暗になった。「やめてくれ、嫌だ、嫌だ!」拓弥は力なく膝をつき、草の上で泣き崩れた。私の体を抱きしめて、こうすれば眠り続ける私を目覚めさせられるとでも思うように、ただ泣いていた。彼の後悔に満ちた姿を、幽霊となった
Last Updated : 2024-12-10 Read more