廊下は一瞬で静まり返った。智明は口を開けたまま、何も言えずに硬直していた。「ごめんね。この前君の携帯を充電するのを手伝ったとき、ついアルバムの写真を見ちゃったんだ。少しぼやけてたけど、俺たちが追ってるグループのリーダーにそっくりでね。このグループ、ずっと俺たちが追ってたんだよ」警察官は申し訳なさそうに頭を下げた。「だから、君に声をかけず、数日間こっそり調べさせてもらったんだ。そして、君に起きたことも全部調べがついた。君は無実だ」「私……」涙が込み上げて、何か言おうとするけど、喉が詰まって一言も出てこない。これで、やっと私の潔白が証明された……の?でも真悠が突然叫び出した。「違う!私、何もしてない!あの人とは関係ない!これは全部お姉ちゃんの仕組んだ罠よ!警察を呼んで、誰か警察を呼んで!お姉ちゃんが身体を売って、この警察官と手を組んで私を陥れたのよ!智明さん、お願い信じて!」「いい加減にしなさい!」警察官が鋭い声で真悠を制した。「ここまで調べてきたんだ。もう十分すぎる証拠が揃ってる。小松真悠、君は重大な違法行為を犯している。もしこれ以上非協力的なら、もっと厳しい罰を覚悟しなさい!」さらに、警察官は冷ややかな視線を智明に向けた。「ついでに言えば、彼女が中村敦のために違法品を購入した資金は、すべて前川智明さん、あなたのカードから出ていました」智明はその場で膝が崩れ落ちそうになり、呆然としていた。「そんな、まさか……」父も顔を青ざめ、震えながら何度も首を振った。「こんなことが……こんなことが本当に……はは、あり得ない、あり得ない!」そして突然、笑い出した父は廊下の窓に向かって走り出した。周りの人たちが慌てて追いかけていく。「大変だ!小松先生、ショックで取り乱してるぞ!」その光景を見ながら、私はただ胸が痛むばかりだった。最後の最後まで父は真悠の嘘を信じ続け、私を誤解していたことを認めようとはしなかった。数日後、警察が記者会見を開き、今回の事件を公表した。ネット上では、私を誹謗中傷していたインフルエンサーたちが次々と謝罪動画を投稿し始めた。「小松凛さん、この場を借りて心からお詫びします。無知な行動を深く反省し、法に従い、補償させていただきます」私はその謝罪と補償を当然のように受け取った。命を懸けて手に入れたも
最終更新日 : 2024-12-09 続きを読む