五年の経験を積んだ私は、セイウンを引き継いだ後、管理業務においてもすっかり慣れていた。毎日忙しく過ごしているが、失恋も思っていたほど辛くはなく、すべてが順調に進んでいる。高木が時々愚痴をこぼしてきた。「璃音姉、あの満原香澄、ほんとに変な人だよ!」一瞬驚いた。高木が言わなければ、満原香澄のことなんてすっかり忘れていた。「璃音姉が辞めた後、あの満原香澄、毎日トラブルばかり起こしてるんだよ!また社長に給料減らせって言ってきたんだ。もちろんみんな反対したけど、彼女はみんなに『お金のために働いてるの?』って言い出してさ。おいおい、仕事するのはもちろんお金のためだろ!その後、理想のために働くべきだなんて洗脳してるのよ、ほんとに呆れる!」私は思わず笑ってしまった。彼女、まるで自分が社長夫人だと思ってるみたいに、江崎賢一のためにあれこれケチってるんだ。高木はさらに続けて愚痴をこぼした。「璃音姉、もう一つ。先日、江崎社長が満原香澄にホテルを予約してクライアントをもてなすように言ったんですが、なんと、彼女は屋台の焼き肉屋を予約したんだよ!クライアントが来たらみんなびっくりした顔してた!今でも、そのクライアントの微妙な顔を思い出すと笑っちゃうよ。しかも彼女は、なんか自分が選んだ場所を誇らしげに『これは私が選んだ最高の場所ですから、早く座ってください』って言ってたんだ。あの丸椅子を見て、クライアントの顔が青ざめてたよ。あはは、江崎社長は取り繕って、『普段は豪華な料理を食べ慣れてるから、こういう屋台の味もまた一興ですよ』って言ってたけどさ!終わった後、彼女は得意げに『海鮮料理店でこの会食、何十万円もかかるけど、屋台ならずっと安いでしょ!』って。結果的に、その後、クライアントはうちと契約を解約しちゃったよ!」まさに満原香澄らしい行動だ。しかも、江崎賢一は彼女が会社のためにお金を節約していると思っているんだ。私は軽く頭を振った。彼らの考え方が変わらない限り、結局、長続きはしないだろうなと感じた。少し高木を慰めてから、ふと思い立ち、セイウンに転職しないかと聞いてみた。「セイウンテクノロジー?京市のトップ企業でしょ!私みたいな小物が、そんな大手に入れるわけないよ!」私がセイウンの新しいCEOに就任したことを伝えると、高木の悲鳴が耳をつんざくように響
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