事件の後、母はしょっちゅう山田登志の情報を集めていた。しばらくして、マンションは売却された。それと同時に、母から山田登志が離婚したと聞いた。しかも、かなり揉めたそうだ。「相手の女性は田舎の出身で、山田登志が市内にマンションを持っているから結婚したのに、それが偽物だったと知って、怒って家を出て、離婚を要求したんだって」「山田登志の家族も納得いかなくて、離婚してもいいが、100万円の結納金と30万円の宝飾品、それに結婚式や披露宴の費用、親戚や友人を接待した費用をすべて返せと言ったらしい」「相手の家族は怒り心頭で、男側が結婚詐欺を働いたくせに、なぜ結納金を返さないといけないんだと言い返して、両家の言い分が食い違って、もう少しで殴り合いになるところだったらしいわ。その後、裁判を起こして、2ヶ月も争ったんだって」「最終的に、裁判所は結納金の30万円を返すように判決したけど、山田登志に詐欺の罪があったから、結婚式や披露宴の費用と宝飾品の代金は返還されないことになったの」「この判決に山田登志の家族は納得いかなくて、裁判所を出た後、また両家が入り口でもみ合いになって、大騒ぎになったらしいわ。その日の地元ニュースのトップ記事になったのよ!」母の話を聞いて、私は笑いそうになった。「自業自得よ!私が裁判官なら、慰謝料を払わせるわ!」「本当だったのよ!裁判所の前で揉み合いになった時に、相手の母親が倒れて、もうダメだって言って、救急車を呼んだらしいの。病院で検査したら、本当に心臓に問題があったんだって。相手の家族は、山田登志たちに暴行されたせいで心臓が悪くなったって言い張ってるのよ」「それで、また裁判になって、100万円の賠償金を払うことになったのよ」この話を聞いて、私は大笑いした。まるで、お笑いを見ているようだった。この件はこれで終わりだと思っていたのに、まさか山田登志が、こんな狂ったことをするなんて!本当に、しつこい男ね!1ヶ月後、私は深夜まで残業し、ぼんやりとした頭で電動自転車に乗って帰宅途中、家のすぐ近くの交差点で、路地から突然人が飛び出してきた。人にぶつかると思い、急ブレーキをかけたら、危うく転倒するところだった。その人は黒いパーカーを着ていて、顔はフードの影に隠れていた。私は両足を地面につき、両手で自転車を支えな
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