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第1話
Last Updated:
2024-11-26 13:22:11Related chapters
元彼が私の家で結婚式を挙げた 第2話
山田登志、私の元カレ。正確には元婚約者だ。別れる時には、もう婚約していた。彼は田舎の出身で、弟と妹がいて、家は貧しかった。若い頃は何も分からず、まるで魔法にでもかかったように、どうしても彼と結婚したかった。両親は、私がそんなに頑固なので、彼と田舎に帰って苦労するのを心配して、市内にマンションを買ってくれた。それが百合苑801号室だ。マンションを買った後、両親は山田さんの家にリフォーム代を出してほしいと言ったが、彼は拒否した。「登記簿に自分の名前がないのに、なぜお金を出す必要があるのか」と。そこで、私は卒業してからの2年間の貯金を全部出して、リフォームをした。婚約後、山田さんは突然、登記簿に自分の名前を追加しなければ結婚しないと言った。幸い、両親は先見の明があり、マンションを購入する際に、自分たちの名義にしていたので、私は勝手に名義変更することができなかった。山田さんは、両親を説得して、登記簿を私たちの共同名義にするように言った。いくら私が惚れていたとしても、さすがにこれはおかしいと思った。「リフォームの時、あなたたちの家にお金を出してもらおうとしたけど、名義をあなたにするって言ったら、あなたが嫌がったじゃない！」「藤原彩、どうしてそんなにわかってくれないんだ？結婚式や披露宴にお金がかからないと思ってるのか？君の家に80万円の結納金と、指輪やネックレスだって、タダじゃないんだぞ！」「僕の両親は農家だって分かってるだろう？1年間にそんなに稼げるわけないんだ。リフォーム代は100万円以上かかる。そんなお金、両親に出せるわけないだろ！」「でも、マンションだってあなたたちの家からはお金出してないじゃない。リフォーム代も私と両親が出したのよ」私も少し不機嫌になった。「両親のお金だって、空から降ってきたわけじゃない。一生懸命働いて稼いだお金よ。あなたたちは1円も出してないのに、マンションの名義が欲しいなんて！」「藤原彩、君は本当に物分かりが悪いな。もうすぐ結婚するっていうのに、どうしてそんなに細かいことを気にするんだ！」山田さんは逆に私を責めた。「本当に僕を愛しているなら、登記簿には僕の名前だけを書くべきだ！」「よく言うわ！あなたがマンションを買えないから、両親が老後の資金を出して買ってくれたんでしょう！
Last Updated : 2024-11-26元彼が私の家で結婚式を挙げた 第3話
もう二度と彼とは関わることがないと思っていた。まさか、こんなことが起きるなんて！すぐにベッドから飛び起きて、急いで顔を洗い、服を着替え、バッグを持って家を飛び出した。百合苑6号棟、エレベーターで801号室の前まで行った。本当にひどい状態だった。ピーナッツやスイカの種の殻がエレベーターの中から廊下にまで散らばり、汚れた足跡やタバコの灰、痰、ティッシュペーパーが床にこびり付いていて、本当に気持ち悪かった。住民が苦情を言うのも無理はない。私がこの家の隣人だったら、とっくに怒鳴り込んでいる。801号室のドアの両側にはたくさんの「喜」の字が貼られ、入り口には大きな花束が置かれていた。近寄って見てみると、元の鍵が壊され、新しい鍵に交換されていた。だから鍵がなくても入れるんだ！ドアをノックしてみたが、反応がない。バッグから事前に用意しておいた小さなハンマーを取り出し、ドアを思い切り叩いた。ものすごい音がした。何度も叩いて、やっとドアが開いた。「なんてこった！地震かと思った！」50代くらいの女性が、ドアの隙間から顔を出し、私を睨みつけた。「昼間に人の家に来てドアを叩くなんて、頭がおかしいんじゃないの？」「随分大きな口を利くのね。誰がここをあなたの家だって言ったの？」私はそのまま前に出て、無理やりドアを開けて、中に入っていった。部屋の間取りは全く変わっていなかったが、壁には山田登志と彼の妻のウェディング写真が飾られ、至る所に結婚祝いの言葉やリボンが貼られていて、いかにも新婚といった感じだった。「あんた誰？誰の許可を得て入ったんだ！」女性は文句を言いながら、後からついてきた。「どこの精神病院から逃げ出してきたんだ......」私は彼女を無視して、3つの部屋をすべて見て回った。バルコニーと寝室にはそれぞれ麻雀卓が置かれ、食べ物のカスが散乱し、タバコの臭いがきつかった。リビングにはカラオケセットが置いてあり、選曲画面がまだ点灯している。徹夜で遊んでいたのが一目瞭然だ。私は怒りで体が震えた。大金かけてリフォームした新居に、私自身は一度も住んだことがないのに、他人が勝手に結婚式に使って親戚をもてなしているなんて！私は寝室に駆け込み、布団を勢いよくめくった。すると、そこには上半身裸の女性が
Last Updated : 2024-11-26元彼が私の家で結婚式を挙げた 第4話
「お母さんも、ちゃんと見ないで誰彼構わず入れるからよ！」女性はスマホで私を撮影しながら、眉をひそめた。「このご時世、頭のおかしい人はたくさんいるんだから。もしこの人が家のものを壊したり、何か事件を起こしたら、泣き寝入りするしかないのよ！」それを聞いて、おばさんは箒を持って私を指差し、脅してきた。「とっとと出て行け！さもないと、ぶっ飛ばすぞ！」そう言って、箒を振り回して威嚇してきた。今、何を言っても無駄だろう。とにかく証拠は撮ったし、まずは外に出て、警察に通報して、不法侵入で訴えよう。しかし、玄関まで来たところで、突然頭を殴られた。おばさんが怒鳴り散らす声が聞こえた。「やっぱり精神病だったんだな！せっかく優しく言ってやってるのに......邪魔するなら、痛い目にあわせるぞ！」カチンと来て、振り返って箒を奪い取り、おばさんの頭を思い切り殴った。「殺す気か！私の家を乗っ取って、よくも私を殴ったな！」馬鹿と阿呆のカップルだな！二人は何も知らないだろうから、と我慢しようと思っていたが、私を殴ったからには黙っていられない！おばさんはすぐに床に倒れ込み、頭を抑えて転げ回り、豚のように泣き叫んだ。「人が殺される！助けて！娘、早く警察を呼んで！家に押し入ってきて、襲われた！」若い女は後ろで動画を撮り、私が反撃すると、してやったりの表情で母親を部屋に引きずり込み、鍵をかけた。......私に当たり屋行為をするつもり？いいだろう、私が警察に通報する手間が省けた。すぐに、二人の警察官がドアを開けた。「誰が通報したんですか？」「警察官の方、私です！」外の物音を聞いて、女は慌ててドアを開けて出てきて、私を指差した。「私が通報しました！この女、わけもなく私の家に押し入ってきて、私のプライベート動画を撮影し、母を殴ったんです！」おばさんも頭を抑えながら出てきて、「痛い痛い」と叫んでいた。「そうです！警察官の方、早くこの女を逮捕してください！治療費と、娘の慰謝料を払ってもらわないと！」警察官は私を見て、怪訝そうな表情をした。女は自分のスマホを警察官に差し出した。「この女が母を殴っているところを動画で撮りました。証拠があります！」私：............「警察官の方、私も通報した
Last Updated : 2024-11-26元彼が私の家で結婚式を挙げた 第5話
30分ほど後、一人の男が警察署の入り口に現れた。2年半ぶりの再会だったが、私はすぐに山田登志だと分かった。やはり、ひょろっとした体型で、しょんぼりとした顔をしていた。彼が来ると、おばさんと女は泣きながら抱きついた。「あなた、よく来てくれたわ！もうちょっと遅かったら、私たち、この人たちにいじめ殺されるところだったのよ！この女、頭がおかしいのよ。あなたが買った家が彼女のものだって言い張って、偽物の書類まで用意して......早く警察に説明して！あれはあなたが買った家だって！」私は冷笑した。「あら、さっきまで私と警察が詐欺師だって言ってたのに、今度は私が精神病なの？」「この売女、黙れ！」女は私を怒鳴りつけ、山田登志の胸に倒れ込んでしくしく泣いた。「あなた、この女、私たちのマンションを奪おうとした上に、お母さんを殴ったのよ！何とかしてちょうだい！」私は椅子を引っ張ってきて座った。いいだろう、この泥棒が何をしてくれるのか、見てやろうじゃないか！山田登志は冷静に二人の女を突き放し、警察官の前に行ってタバコを差し出した。「すみません、警察官の方。母と妻が子供っぽくて、ご迷惑をおかけしました」タバコを渡した後、彼は私の前に来て、意味深な顔をした。「藤原彩、久しぶりだな」私：......「誰があなたに会いたいのよ！」私は嫌悪感を抱きながら、数歩後ずさりした。「さっさと家族を連れて、私の家から出て行って！それから、家の修理費を弁償しなさい！」「2年以上も会ってないのに、相変わらず細かいな」山田登志はため息をついた。「だから、僕が結婚して、君がまだ嫁に行けないんだろうな」......ちくしょう、頭がおかしいんじゃないの！？「山田登志、頭がおかしくなったんじゃないの？」私は怒って立ち上がり、大声で罵倒した。「私が結婚しようとしまいと、あなたに何の関係があるのよ？問題は、あなたが私の承諾もなく、勝手に私の家を使って結婚式を挙げたことよ！恥を知りなさい！」「それがどうした？」山田登志は平然と言った。「どうせ君は結婚できないんだし、マンションはリフォーム済みで、空いているんだから、僕がそこで結婚式を挙げて、数年住んだっていいだろう？」この発言に、周りの警察官も呆れ顔になった
Last Updated : 2024-11-26元彼が私の家で結婚式を挙げた 第6話
「そうよ、私はあなたを追い詰める！あれは私のマンションよ！粉々に砕いて、他人にあげたとしても、あなたには住ませないわ！」私は最後通告をした。「明日の夜までに、私のマンションから出て行き、損害賠償をしなさい。さもないと、裁判で会いましょう！」山田登志と他の二人の女の顔色は、とても悪かった。私は警察官と一緒に、もう一度801号室に行って、写真撮影と証拠保全をした。前回はよく見なかったが、今回は家の中と外をくまなく調べた結果、損害の程度は想像以上だった。リビングの壁には20個以上の釘穴があり、無数の傷や汚れもあった。トイレの排水溝は詰まっていて、汚水が溢れそうになっていた。リビングと寝室の特注カーテンには、タバコの火でたくさんの穴が開いていた。台所の窓ガラスは割れ、大理石の床にもひびが入っていた。私はスマホで交換や修理の費用を調べた。少なくとも80万円はかかるだろう。私は警察が撮影した写真と見積もりを山田登志に送り、お金を振り込むように言った。しかし、彼は金がないと言い訳をした。結婚式をしたばかりで、賠償する金がないと。「それなら、裁判で会いましょう！」私はイライラしながら言った。「とぼけるのはやめなさい！どんな方法を使っても、たとえ借金をしてでも、このお金を私に払いなさい！」家に帰って、マンションの状況を両親に話した。父は怒り心頭で、夜中でもすぐに飛んで行って、一家全員を追い出したいと言った。「世の中には、こんな厚かましい人間がいるとは、本当に驚きだ！」怒りをぶちまけた後、父はすぐにスマホで親戚に連絡を取り、私に指示した。「明日、お前は一人で行くのはやめろ。いとこたちを連れて行け。もし、あいつらがまだ居座っているなら、家の中のものを全部外に放り出せ！」私は頷いた。「わかった！」翌日の午後、私は180センチ超えの従兄弟たち7、8人を引き連れて、百合苑に向かった。その様子は、まるでヤクザの抗争のようだった。801号室に着くと、ドアが少し開いていた。私はそのままドアを押して中に入ったが、家の中のものは一切動いておらず、引っ越した様子は全くない。「山田登志、お前、脳みそが腐ったのか？」ソファに座って悠々と چایを飲んでいる男を見て、私は思わず罵声を浴びせた。「今日の夜までに出て行け
Last Updated : 2024-11-26元彼が私の家で結婚式を挙げた 第7話
「藤原彩、お前はもう28歳だぞ。俺以外に、誰が相手にしてくれるっていうんだ？」「自分の今の姿をよく見ろ！俺がお前と結婚してやるなんて、お前の家の先祖の墓から煙が出てるくらい、奇跡的なことだぞ！」山田登志はソファにどっかりと座り込み、ゴネ始めた。「マンションはお前のでもいい、俺は出て行かない。どうするんだ？警察に通報してみろ！警察が俺を強制的に追い出せるわけないだろ！」「誰が俺の妹に誰も相手にしないって言ったんだ！」長男がいとこたちを連れて部屋に入ってきた。リビングは人でいっぱになった。山田登志は急に緊張し、言葉に詰まった。「藤原彩、お......お前、こんなに大勢連れてきて、何をするつもりだ？まさか、俺を殴るつもりか！？言っておくが、暴力は犯罪だぞ！」「俺はゴミは殴らない主義だ！」長男は拳をこすり合わせ、皆に声をかけた。「おい、みんな！仕事の時間だ！この家にあるゴミを全部、外に捨てろ！」「おう！」みんなが応じた。いとこたちはすぐに動き出し、壁に掛けられた写真、リビングのカラオケセット、麻雀卓、寝室の布団やベッドなど、あらゆるものをまとめて、家の外に放り出した。山田登志はリビングに立ち尽くし、怒りで目を剥き、足が震えて、何も言えなかった。「ここに、まだ大きなゴミが一つ残ってるわよ。どうして忘れたの？」私は急いで言った。男たちが山田登志を取り囲み、睨みつけた。山田登志は恐怖で顔が青ざめ、冷や汗をかいた。「もう一度言っておくが、暴力は犯罪だぞ......俺は出て行けばいいんだろ......」そう言って逃げようとしたが、長男が彼を押さえつけた。「金も払わずに逃げるつもりか？そうはいかないぞ！今すぐ妹に金を振り込め！さもないと、俺たちとここでとことん付き合うことになるぞ！」「振り込むよ、払わないとは言ってないだろ......」山田登志は震える手でスマホを開き、微信で10万円を振り込もうとしたが、残高不足と表示された。支付宝で8万円を振り込み、花唄と借唄で借り入れをし、さらに電話で借金をして、やっと80万円を揃えて私に渡した。金を受け取ると、私は気分が良くなり、咳払いをした。「とっとと出て行け！二度と私の前に姿を現すな！」男たちが道をあけ、山田登志は慌てて飛び出していった。ド
Last Updated : 2024-11-26元彼が私の家で結婚式を挙げた 第8話
事件の後、母はしょっちゅう山田登志の情報を集めていた。しばらくして、マンションは売却された。それと同時に、母から山田登志が離婚したと聞いた。しかも、かなり揉めたそうだ。「相手の女性は田舎の出身で、山田登志が市内にマンションを持っているから結婚したのに、それが偽物だったと知って、怒って家を出て、離婚を要求したんだって」「山田登志の家族も納得いかなくて、離婚してもいいが、100万円の結納金と30万円の宝飾品、それに結婚式や披露宴の費用、親戚や友人を接待した費用をすべて返せと言ったらしい」「相手の家族は怒り心頭で、男側が結婚詐欺を働いたくせに、なぜ結納金を返さないといけないんだと言い返して、両家の言い分が食い違って、もう少しで殴り合いになるところだったらしいわ。その後、裁判を起こして、2ヶ月も争ったんだって」「最終的に、裁判所は結納金の30万円を返すように判決したけど、山田登志に詐欺の罪があったから、結婚式や披露宴の費用と宝飾品の代金は返還されないことになったの」「この判決に山田登志の家族は納得いかなくて、裁判所を出た後、また両家が入り口でもみ合いになって、大騒ぎになったらしいわ。その日の地元ニュースのトップ記事になったのよ！」母の話を聞いて、私は笑いそうになった。「自業自得よ！私が裁判官なら、慰謝料を払わせるわ！」「本当だったのよ！裁判所の前で揉み合いになった時に、相手の母親が倒れて、もうダメだって言って、救急車を呼んだらしいの。病院で検査したら、本当に心臓に問題があったんだって。相手の家族は、山田登志たちに暴行されたせいで心臓が悪くなったって言い張ってるのよ」「それで、また裁判になって、100万円の賠償金を払うことになったのよ」この話を聞いて、私は大笑いした。まるで、お笑いを見ているようだった。この件はこれで終わりだと思っていたのに、まさか山田登志が、こんな狂ったことをするなんて！本当に、しつこい男ね！1ヶ月後、私は深夜まで残業し、ぼんやりとした頭で電動自転車に乗って帰宅途中、家のすぐ近くの交差点で、路地から突然人が飛び出してきた。人にぶつかると思い、急ブレーキをかけたら、危うく転倒するところだった。その人は黒いパーカーを着ていて、顔はフードの影に隠れていた。私は両足を地面につき、両手で自転車を支えな
Last Updated : 2024-11-26元彼が私の家で結婚式を挙げた 第9話
山田登志は突然興奮し、私の首を強く掴んで揺さぶった。「全部、お前のせいだ！俺の妻は出て行った、借金だらけになった、慰謝料まで払わされた......お前が細かいことばかり言って、俺を困らせたせいで、俺はこんな目に遭ってるんだ！」揺さぶられて、頭がくらくらし、吐き気がする。心の中では、悪態をつかずにはいられなかった。あなたの妻が逃げ出したのは、あなたの嘘が原因でしょう！私に関係ないわ！彩ちゃん、家は金持ちで、家にも困ってないだろ？ちょっと泊めてもらっただけなのに、なんで追い出すんだ？何様のつもりだ！あの家は、俺の結婚のために用意された家だ。そこに住んだって、何が悪い？なんで警察呼ぶんだ？なんで家族に圧力かけさせるんだ？今じゃ、俺は一人ぼっちで、金も一銭もない。満足か？嬉しいか？！一番嫌いなのは、お前みたいな苦労知らずの女だ。実家にいる時は親父に養ってもらい、結婚したら男に養ってもらう。自分じゃ何もできないくせに、男の金だけ吸い取る！くそ！結婚するのに家、車、結納金、それに金まで、全部男が出すのか？女は何を出してるんだ？カバン一つで入ってきて、何の自覚もない。家事も全部俺にやらせようとするなんて、よくそんな厚かましいことができるな！山田の目は真っ赤に充血し、唇は震えて、まるで精神がおかしくなったかのように、狂ったように私を罵倒していた。というか、離婚のショックで、女を罵倒することで不満をぶちまけていた。この男、もう心が歪んでる。今は何も言えない。何か間違ったことを言って、彼を刺激したら、殺されるかもしれない。どうしよう！頭をフル回転させた。この道は、もともと人通りが少ないのに、夜中ともなれば誰もいない。どうすれば逃げられるんだろう？深呼吸をして、山田を落ち着かせようとした。「わかるわ......あなたの気持ち、理解してる......本当は、あなたを追い出したかったわけじゃないの。ただ、私に謝って欲しかった。それから......結婚して欲しかったの......」生き残るために、もう訳のわからないことを言い始めていた。結婚という言葉に、山田は突然動きを止めた。血走った目で、私をじっと見つめた。「なんだって？俺と結婚するって？」再び唾を飲み込み、無理やり笑顔を作った。「そう......あなたが他の人と結婚す
Last Updated : 2024-11-26
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元彼が私の家で結婚式を挙げた 第9話
山田登志は突然興奮し、私の首を強く掴んで揺さぶった。「全部、お前のせいだ！俺の妻は出て行った、借金だらけになった、慰謝料まで払わされた......お前が細かいことばかり言って、俺を困らせたせいで、俺はこんな目に遭ってるんだ！」揺さぶられて、頭がくらくらし、吐き気がする。心の中では、悪態をつかずにはいられなかった。あなたの妻が逃げ出したのは、あなたの嘘が原因でしょう！私に関係ないわ！彩ちゃん、家は金持ちで、家にも困ってないだろ？ちょっと泊めてもらっただけなのに、なんで追い出すんだ？何様のつもりだ！あの家は、俺の結婚のために用意された家だ。そこに住んだって、何が悪い？なんで警察呼ぶんだ？なんで家族に圧力かけさせるんだ？今じゃ、俺は一人ぼっちで、金も一銭もない。満足か？嬉しいか？！一番嫌いなのは、お前みたいな苦労知らずの女だ。実家にいる時は親父に養ってもらい、結婚したら男に養ってもらう。自分じゃ何もできないくせに、男の金だけ吸い取る！くそ！結婚するのに家、車、結納金、それに金まで、全部男が出すのか？女は何を出してるんだ？カバン一つで入ってきて、何の自覚もない。家事も全部俺にやらせようとするなんて、よくそんな厚かましいことができるな！山田の目は真っ赤に充血し、唇は震えて、まるで精神がおかしくなったかのように、狂ったように私を罵倒していた。というか、離婚のショックで、女を罵倒することで不満をぶちまけていた。この男、もう心が歪んでる。今は何も言えない。何か間違ったことを言って、彼を刺激したら、殺されるかもしれない。どうしよう！頭をフル回転させた。この道は、もともと人通りが少ないのに、夜中ともなれば誰もいない。どうすれば逃げられるんだろう？深呼吸をして、山田を落ち着かせようとした。「わかるわ......あなたの気持ち、理解してる......本当は、あなたを追い出したかったわけじゃないの。ただ、私に謝って欲しかった。それから......結婚して欲しかったの......」生き残るために、もう訳のわからないことを言い始めていた。結婚という言葉に、山田は突然動きを止めた。血走った目で、私をじっと見つめた。「なんだって？俺と結婚するって？」再び唾を飲み込み、無理やり笑顔を作った。「そう......あなたが他の人と結婚す
元彼が私の家で結婚式を挙げた 第8話
事件の後、母はしょっちゅう山田登志の情報を集めていた。しばらくして、マンションは売却された。それと同時に、母から山田登志が離婚したと聞いた。しかも、かなり揉めたそうだ。「相手の女性は田舎の出身で、山田登志が市内にマンションを持っているから結婚したのに、それが偽物だったと知って、怒って家を出て、離婚を要求したんだって」「山田登志の家族も納得いかなくて、離婚してもいいが、100万円の結納金と30万円の宝飾品、それに結婚式や披露宴の費用、親戚や友人を接待した費用をすべて返せと言ったらしい」「相手の家族は怒り心頭で、男側が結婚詐欺を働いたくせに、なぜ結納金を返さないといけないんだと言い返して、両家の言い分が食い違って、もう少しで殴り合いになるところだったらしいわ。その後、裁判を起こして、2ヶ月も争ったんだって」「最終的に、裁判所は結納金の30万円を返すように判決したけど、山田登志に詐欺の罪があったから、結婚式や披露宴の費用と宝飾品の代金は返還されないことになったの」「この判決に山田登志の家族は納得いかなくて、裁判所を出た後、また両家が入り口でもみ合いになって、大騒ぎになったらしいわ。その日の地元ニュースのトップ記事になったのよ！」母の話を聞いて、私は笑いそうになった。「自業自得よ！私が裁判官なら、慰謝料を払わせるわ！」「本当だったのよ！裁判所の前で揉み合いになった時に、相手の母親が倒れて、もうダメだって言って、救急車を呼んだらしいの。病院で検査したら、本当に心臓に問題があったんだって。相手の家族は、山田登志たちに暴行されたせいで心臓が悪くなったって言い張ってるのよ」「それで、また裁判になって、100万円の賠償金を払うことになったのよ」この話を聞いて、私は大笑いした。まるで、お笑いを見ているようだった。この件はこれで終わりだと思っていたのに、まさか山田登志が、こんな狂ったことをするなんて！本当に、しつこい男ね！1ヶ月後、私は深夜まで残業し、ぼんやりとした頭で電動自転車に乗って帰宅途中、家のすぐ近くの交差点で、路地から突然人が飛び出してきた。人にぶつかると思い、急ブレーキをかけたら、危うく転倒するところだった。その人は黒いパーカーを着ていて、顔はフードの影に隠れていた。私は両足を地面につき、両手で自転車を支えな
元彼が私の家で結婚式を挙げた 第7話
「藤原彩、お前はもう28歳だぞ。俺以外に、誰が相手にしてくれるっていうんだ？」「自分の今の姿をよく見ろ！俺がお前と結婚してやるなんて、お前の家の先祖の墓から煙が出てるくらい、奇跡的なことだぞ！」山田登志はソファにどっかりと座り込み、ゴネ始めた。「マンションはお前のでもいい、俺は出て行かない。どうするんだ？警察に通報してみろ！警察が俺を強制的に追い出せるわけないだろ！」「誰が俺の妹に誰も相手にしないって言ったんだ！」長男がいとこたちを連れて部屋に入ってきた。リビングは人でいっぱになった。山田登志は急に緊張し、言葉に詰まった。「藤原彩、お......お前、こんなに大勢連れてきて、何をするつもりだ？まさか、俺を殴るつもりか！？言っておくが、暴力は犯罪だぞ！」「俺はゴミは殴らない主義だ！」長男は拳をこすり合わせ、皆に声をかけた。「おい、みんな！仕事の時間だ！この家にあるゴミを全部、外に捨てろ！」「おう！」みんなが応じた。いとこたちはすぐに動き出し、壁に掛けられた写真、リビングのカラオケセット、麻雀卓、寝室の布団やベッドなど、あらゆるものをまとめて、家の外に放り出した。山田登志はリビングに立ち尽くし、怒りで目を剥き、足が震えて、何も言えなかった。「ここに、まだ大きなゴミが一つ残ってるわよ。どうして忘れたの？」私は急いで言った。男たちが山田登志を取り囲み、睨みつけた。山田登志は恐怖で顔が青ざめ、冷や汗をかいた。「もう一度言っておくが、暴力は犯罪だぞ......俺は出て行けばいいんだろ......」そう言って逃げようとしたが、長男が彼を押さえつけた。「金も払わずに逃げるつもりか？そうはいかないぞ！今すぐ妹に金を振り込め！さもないと、俺たちとここでとことん付き合うことになるぞ！」「振り込むよ、払わないとは言ってないだろ......」山田登志は震える手でスマホを開き、微信で10万円を振り込もうとしたが、残高不足と表示された。支付宝で8万円を振り込み、花唄と借唄で借り入れをし、さらに電話で借金をして、やっと80万円を揃えて私に渡した。金を受け取ると、私は気分が良くなり、咳払いをした。「とっとと出て行け！二度と私の前に姿を現すな！」男たちが道をあけ、山田登志は慌てて飛び出していった。ド
元彼が私の家で結婚式を挙げた 第6話
「そうよ、私はあなたを追い詰める！あれは私のマンションよ！粉々に砕いて、他人にあげたとしても、あなたには住ませないわ！」私は最後通告をした。「明日の夜までに、私のマンションから出て行き、損害賠償をしなさい。さもないと、裁判で会いましょう！」山田登志と他の二人の女の顔色は、とても悪かった。私は警察官と一緒に、もう一度801号室に行って、写真撮影と証拠保全をした。前回はよく見なかったが、今回は家の中と外をくまなく調べた結果、損害の程度は想像以上だった。リビングの壁には20個以上の釘穴があり、無数の傷や汚れもあった。トイレの排水溝は詰まっていて、汚水が溢れそうになっていた。リビングと寝室の特注カーテンには、タバコの火でたくさんの穴が開いていた。台所の窓ガラスは割れ、大理石の床にもひびが入っていた。私はスマホで交換や修理の費用を調べた。少なくとも80万円はかかるだろう。私は警察が撮影した写真と見積もりを山田登志に送り、お金を振り込むように言った。しかし、彼は金がないと言い訳をした。結婚式をしたばかりで、賠償する金がないと。「それなら、裁判で会いましょう！」私はイライラしながら言った。「とぼけるのはやめなさい！どんな方法を使っても、たとえ借金をしてでも、このお金を私に払いなさい！」家に帰って、マンションの状況を両親に話した。父は怒り心頭で、夜中でもすぐに飛んで行って、一家全員を追い出したいと言った。「世の中には、こんな厚かましい人間がいるとは、本当に驚きだ！」怒りをぶちまけた後、父はすぐにスマホで親戚に連絡を取り、私に指示した。「明日、お前は一人で行くのはやめろ。いとこたちを連れて行け。もし、あいつらがまだ居座っているなら、家の中のものを全部外に放り出せ！」私は頷いた。「わかった！」翌日の午後、私は180センチ超えの従兄弟たち7、8人を引き連れて、百合苑に向かった。その様子は、まるでヤクザの抗争のようだった。801号室に着くと、ドアが少し開いていた。私はそのままドアを押して中に入ったが、家の中のものは一切動いておらず、引っ越した様子は全くない。「山田登志、お前、脳みそが腐ったのか？」ソファに座って悠々と چایを飲んでいる男を見て、私は思わず罵声を浴びせた。「今日の夜までに出て行け
元彼が私の家で結婚式を挙げた 第5話
30分ほど後、一人の男が警察署の入り口に現れた。2年半ぶりの再会だったが、私はすぐに山田登志だと分かった。やはり、ひょろっとした体型で、しょんぼりとした顔をしていた。彼が来ると、おばさんと女は泣きながら抱きついた。「あなた、よく来てくれたわ！もうちょっと遅かったら、私たち、この人たちにいじめ殺されるところだったのよ！この女、頭がおかしいのよ。あなたが買った家が彼女のものだって言い張って、偽物の書類まで用意して......早く警察に説明して！あれはあなたが買った家だって！」私は冷笑した。「あら、さっきまで私と警察が詐欺師だって言ってたのに、今度は私が精神病なの？」「この売女、黙れ！」女は私を怒鳴りつけ、山田登志の胸に倒れ込んでしくしく泣いた。「あなた、この女、私たちのマンションを奪おうとした上に、お母さんを殴ったのよ！何とかしてちょうだい！」私は椅子を引っ張ってきて座った。いいだろう、この泥棒が何をしてくれるのか、見てやろうじゃないか！山田登志は冷静に二人の女を突き放し、警察官の前に行ってタバコを差し出した。「すみません、警察官の方。母と妻が子供っぽくて、ご迷惑をおかけしました」タバコを渡した後、彼は私の前に来て、意味深な顔をした。「藤原彩、久しぶりだな」私：......「誰があなたに会いたいのよ！」私は嫌悪感を抱きながら、数歩後ずさりした。「さっさと家族を連れて、私の家から出て行って！それから、家の修理費を弁償しなさい！」「2年以上も会ってないのに、相変わらず細かいな」山田登志はため息をついた。「だから、僕が結婚して、君がまだ嫁に行けないんだろうな」......ちくしょう、頭がおかしいんじゃないの！？「山田登志、頭がおかしくなったんじゃないの？」私は怒って立ち上がり、大声で罵倒した。「私が結婚しようとしまいと、あなたに何の関係があるのよ？問題は、あなたが私の承諾もなく、勝手に私の家を使って結婚式を挙げたことよ！恥を知りなさい！」「それがどうした？」山田登志は平然と言った。「どうせ君は結婚できないんだし、マンションはリフォーム済みで、空いているんだから、僕がそこで結婚式を挙げて、数年住んだっていいだろう？」この発言に、周りの警察官も呆れ顔になった
元彼が私の家で結婚式を挙げた 第4話
「お母さんも、ちゃんと見ないで誰彼構わず入れるからよ！」女性はスマホで私を撮影しながら、眉をひそめた。「このご時世、頭のおかしい人はたくさんいるんだから。もしこの人が家のものを壊したり、何か事件を起こしたら、泣き寝入りするしかないのよ！」それを聞いて、おばさんは箒を持って私を指差し、脅してきた。「とっとと出て行け！さもないと、ぶっ飛ばすぞ！」そう言って、箒を振り回して威嚇してきた。今、何を言っても無駄だろう。とにかく証拠は撮ったし、まずは外に出て、警察に通報して、不法侵入で訴えよう。しかし、玄関まで来たところで、突然頭を殴られた。おばさんが怒鳴り散らす声が聞こえた。「やっぱり精神病だったんだな！せっかく優しく言ってやってるのに......邪魔するなら、痛い目にあわせるぞ！」カチンと来て、振り返って箒を奪い取り、おばさんの頭を思い切り殴った。「殺す気か！私の家を乗っ取って、よくも私を殴ったな！」馬鹿と阿呆のカップルだな！二人は何も知らないだろうから、と我慢しようと思っていたが、私を殴ったからには黙っていられない！おばさんはすぐに床に倒れ込み、頭を抑えて転げ回り、豚のように泣き叫んだ。「人が殺される！助けて！娘、早く警察を呼んで！家に押し入ってきて、襲われた！」若い女は後ろで動画を撮り、私が反撃すると、してやったりの表情で母親を部屋に引きずり込み、鍵をかけた。......私に当たり屋行為をするつもり？いいだろう、私が警察に通報する手間が省けた。すぐに、二人の警察官がドアを開けた。「誰が通報したんですか？」「警察官の方、私です！」外の物音を聞いて、女は慌ててドアを開けて出てきて、私を指差した。「私が通報しました！この女、わけもなく私の家に押し入ってきて、私のプライベート動画を撮影し、母を殴ったんです！」おばさんも頭を抑えながら出てきて、「痛い痛い」と叫んでいた。「そうです！警察官の方、早くこの女を逮捕してください！治療費と、娘の慰謝料を払ってもらわないと！」警察官は私を見て、怪訝そうな表情をした。女は自分のスマホを警察官に差し出した。「この女が母を殴っているところを動画で撮りました。証拠があります！」私：............「警察官の方、私も通報した
元彼が私の家で結婚式を挙げた 第3話
もう二度と彼とは関わることがないと思っていた。まさか、こんなことが起きるなんて！すぐにベッドから飛び起きて、急いで顔を洗い、服を着替え、バッグを持って家を飛び出した。百合苑6号棟、エレベーターで801号室の前まで行った。本当にひどい状態だった。ピーナッツやスイカの種の殻がエレベーターの中から廊下にまで散らばり、汚れた足跡やタバコの灰、痰、ティッシュペーパーが床にこびり付いていて、本当に気持ち悪かった。住民が苦情を言うのも無理はない。私がこの家の隣人だったら、とっくに怒鳴り込んでいる。801号室のドアの両側にはたくさんの「喜」の字が貼られ、入り口には大きな花束が置かれていた。近寄って見てみると、元の鍵が壊され、新しい鍵に交換されていた。だから鍵がなくても入れるんだ！ドアをノックしてみたが、反応がない。バッグから事前に用意しておいた小さなハンマーを取り出し、ドアを思い切り叩いた。ものすごい音がした。何度も叩いて、やっとドアが開いた。「なんてこった！地震かと思った！」50代くらいの女性が、ドアの隙間から顔を出し、私を睨みつけた。「昼間に人の家に来てドアを叩くなんて、頭がおかしいんじゃないの？」「随分大きな口を利くのね。誰がここをあなたの家だって言ったの？」私はそのまま前に出て、無理やりドアを開けて、中に入っていった。部屋の間取りは全く変わっていなかったが、壁には山田登志と彼の妻のウェディング写真が飾られ、至る所に結婚祝いの言葉やリボンが貼られていて、いかにも新婚といった感じだった。「あんた誰？誰の許可を得て入ったんだ！」女性は文句を言いながら、後からついてきた。「どこの精神病院から逃げ出してきたんだ......」私は彼女を無視して、3つの部屋をすべて見て回った。バルコニーと寝室にはそれぞれ麻雀卓が置かれ、食べ物のカスが散乱し、タバコの臭いがきつかった。リビングにはカラオケセットが置いてあり、選曲画面がまだ点灯している。徹夜で遊んでいたのが一目瞭然だ。私は怒りで体が震えた。大金かけてリフォームした新居に、私自身は一度も住んだことがないのに、他人が勝手に結婚式に使って親戚をもてなしているなんて！私は寝室に駆け込み、布団を勢いよくめくった。すると、そこには上半身裸の女性が
元彼が私の家で結婚式を挙げた 第2話
山田登志、私の元カレ。正確には元婚約者だ。別れる時には、もう婚約していた。彼は田舎の出身で、弟と妹がいて、家は貧しかった。若い頃は何も分からず、まるで魔法にでもかかったように、どうしても彼と結婚したかった。両親は、私がそんなに頑固なので、彼と田舎に帰って苦労するのを心配して、市内にマンションを買ってくれた。それが百合苑801号室だ。マンションを買った後、両親は山田さんの家にリフォーム代を出してほしいと言ったが、彼は拒否した。「登記簿に自分の名前がないのに、なぜお金を出す必要があるのか」と。そこで、私は卒業してからの2年間の貯金を全部出して、リフォームをした。婚約後、山田さんは突然、登記簿に自分の名前を追加しなければ結婚しないと言った。幸い、両親は先見の明があり、マンションを購入する際に、自分たちの名義にしていたので、私は勝手に名義変更することができなかった。山田さんは、両親を説得して、登記簿を私たちの共同名義にするように言った。いくら私が惚れていたとしても、さすがにこれはおかしいと思った。「リフォームの時、あなたたちの家にお金を出してもらおうとしたけど、名義をあなたにするって言ったら、あなたが嫌がったじゃない！」「藤原彩、どうしてそんなにわかってくれないんだ？結婚式や披露宴にお金がかからないと思ってるのか？君の家に80万円の結納金と、指輪やネックレスだって、タダじゃないんだぞ！」「僕の両親は農家だって分かってるだろう？1年間にそんなに稼げるわけないんだ。リフォーム代は100万円以上かかる。そんなお金、両親に出せるわけないだろ！」「でも、マンションだってあなたたちの家からはお金出してないじゃない。リフォーム代も私と両親が出したのよ」私も少し不機嫌になった。「両親のお金だって、空から降ってきたわけじゃない。一生懸命働いて稼いだお金よ。あなたたちは1円も出してないのに、マンションの名義が欲しいなんて！」「藤原彩、君は本当に物分かりが悪いな。もうすぐ結婚するっていうのに、どうしてそんなに細かいことを気にするんだ！」山田さんは逆に私を責めた。「本当に僕を愛しているなら、登記簿には僕の名前だけを書くべきだ！」「よく言うわ！あなたがマンションを買えないから、両親が老後の資金を出して買ってくれたんでしょう！
元彼が私の家で結婚式を挙げた 第1話
「801号室の方、おめでたいのは分かりますが、そんなに大勢の親戚や友人を呼んで、夜通し麻雀やカラオケをする必要はないでしょう！」「何日も騒ぎ続けて、周りの住民から苦情が殺到しています。夜中の2時半までリビングで歌っていたそうで、マンション中の人が眠れなかったと」「よその家は結婚しても、せいぜい夜半までで、後は家に帰って休むでしょう。どうしてあなたたちだけ何日も騒ぐんですか？家があなたのものだとしても、周りの住民もいます。夜中に騒ぎすぎると、皆怒ってしまいますよ。今後、ご近所付き合いはどうするつもりですか？」「私たち管理人も困っています。少しは自粛してください。昼間麻雀をするのは構いませんが、夜は静かにしてください！」今日は休日で、昼までゆっくり寝ようと思っていたのに、朝早く知らない人からの電話で起こされてしまった。相手が責めるような口調で話すので、何が何だか分からず、「何ですか？......どちら様ですか？間違い電話じゃないでしょうか？」電話の相手は自己紹介を始めた。「藤原彩様、周口市百合苑6号棟801号室のオーナー様でしょうか？私はここの管理人です」「以前、名義変更の手続きをされた時に、ラインを交換しました。管理組合のグループチャットにも招待しましたが、普段住んでいないとのことで、参加されませんでしたね」「ご結婚おめでとうございます。でも、周りの住民への影響も考えてください。責めているわけではなく、注意喚起です」この話を聞いて、ますます頭が混乱した。誰が結婚したっていうの？私が？落ち着いて考えてみると、3年前に百合苑にマンションを買ったことを思い出した。当時は結婚するつもりで買ったが、その後別れて、一度も行っていない。この2年間は実家で暮らしていて、あのマンションを売ろうかとも考えたが、その後、マンションの価格が暴落したので、売却すると損失が大きすぎるため、考え直した。それなのに、誰かが私のマンションで結婚式を挙げているだと？「絶対に何か間違いです！彼氏すらいないのに、結婚できるわけないでしょう！」電話の相手は、大きく息を吸い込んだ。怒りを抑えているようだった。きっと、私が言い訳をしていると思ったのだろう。「では、藤原さん、長話はしません。マンションの入り口と廊下、エレベーターの防犯カメラ
