俺の名前は佐藤悠斗、製品販売員だ。数年前から続くコロナ禍で会社の業績はガタ落ち、おかげでこの仕事を失わずに済んでいるだけでもありがたいくらいで、歩合なんておこぼれもなかった。でも、嫁と子どもを養うためにはどうしても稼がなきゃならない。だから本業のかたわら、昔学んだ技術を思い出し、マッサージ師の副業を始めたんだ。俺は大学に進学せず、高校を出るとすぐ専門技術の学校に進み、漢方医学のツボ押しマッサージを学んだ。それでも、この技術にはどこか劣等感を抱いていて、卒業してすぐ営業の仕事に就いた。正直、今みたいにどうにもならなくなってなきゃ、またこの仕事をやるなんて考えなかっただろうな。副業を探しているとき、どうやら「盲人マッサージ師」は普通のマッサージ師よりも稼げると知って、俺は「盲人」に扮することにした。サングラスをかけて目が見えないふりをして、盲人マッサージ館に面接に行ったら、なんと大成功。手技の腕は良いと評判も上々で、すんなり副業が決まったのだ。それから、昼間は営業マンとして働き、夜になると盲人のふりをしてマッサージをするという生活を続けていた。盲人マッサージの収入も家計の足しにはなっていて、これで家族を支えられるだろうと思っていた矢先のことだ。ある日、仕事を始めて半月ほど経った頃、店のオーナーが俺の肩をポンと叩いてきた。「佐藤くん、もううちで働いて半月くらいになるよな?」オーナーはにっこり笑う。「はい、そうですね。何か、まずいところがあったでしょうか?」と、俺は緊張して尋ねた。オーナーは手を振りながら、「いやいや、すごくいいよ。君にマッサージしてもらったお客さんはみんな満足してくれてる」とにこやかに答える。俺はほっと胸をなでおろした。オーナーは続けて、「実はね、君に特別なチャンスを与えようと思ってさ。どうだい、もっと稼ぎたいだろう?」と、にやりと笑う。「ええ、もちろんです!」俺は慌てて頷いた。オーナーも満足そうに頷く。俺は興奮していたが、次の瞬間、彼の目が鋭く俺を見据え、突然手を俺の目に向かって突き出してきたのだ。思わず身がすくみ、反射的に避けそうになる。しかし......俺はぐっと堪えた。今、俺は「盲人」のはずだ。ここで動いたら、バレてしまう!オーナーの指が俺の目のすぐ前で止まる。俺はびくともせずじっとしてい
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