「星野南さん、赤ちゃんできておめでとう」突然の知らせに私は驚き、検査結果の用紙を抱えて涙が溢れた。病院を出る前に、盛田としおに電話した。「としお、今夜帰ってくる?サプライズ用意してるよ」「分かった、帰るから、家で待ってて」「こっちもサプライズ用意しているから、きっと気に入るよ」としおは以前の冷淡な口調とは違って、優しさがあった。私は嬉しさに酔いしれて、向こうからの笑い声も無意識に無視した。電話を切り、宝物を抱えるように帰宅した。私、としおとの子供ができて、母親になるんだ。としおは子供が大好きだから。子供が生まれた後の光景を想像せずにはいられなかった。心臓が興奮でドキドキし、手も震えていた。「奥さん、そんなに楽しそうに笑ってどうしたの?」斎藤おばさんが笑いながら私を見ていた。私は検査結果の用紙を胸に抱えて、妊娠したことを伝えた。おばさんも喜んでくれ、としおの夕食の準備をしてくれた。私は食卓に座り、としおの帰るを心待ちにしていた。しかし、時間が経つにつれて、時計の針が12時を回り過ぎった。外はまだ何の音もなかった。「奥さん、遅くなってきたね。先にお休みにならない?ご主人さんは多分忙しいかもしれない……」おばさんが心配そうにやって来て言ってくれた。その瞬間、電話のベルが鳴った。私は一歩で受話器を取りました。「としお、まだ帰っていないの……」「はい、盛田としおの奥さんですか?城南で今日火災が発生し、盛田さんが……」「煙を吸入し、救命が無効となり、窒息死しました、遺体の確認に来てください……」一言また一言、私を打ちのめした。私はその場で呆然としていた。気づくと、涙が目から流れ落ちた。慌ててとしおに電話したが、誰も出なかった。彼の友達に電話をかけると。「盛田は仕事が終わったらすぐ帰った、奥さんにサプライズを用意するって」私の心はどん底に落ち、慌ててタクシーで病院へ向かった。目に入ったのは焦げた遺体だけだった。病床に横たわり、体はボロボロで、顔も無惨な状態だった。わたしの心臓が激しく締め付けられ、無意識に頭を振りながら、声を詰まらせた。「ありえない、これは絶対にとしおじゃありえない……」「バシッ!」高橋はるかが目を赤くして駆け
Last Updated : 2024-10-30 Read more