彼氏の幼馴染の誕生日は私の命日 のすべてのチャプター: チャプター 11 - チャプター 14

澤北将悟は狂ってしまった。心理医師はそれをPTSDだと診断を下した。彼は精神病院に入院し、自分を暗い部屋に閉じ込め、一日中私の名前をぶつぶつとつぶやいていた。彼は全ての人を私だと思い込む。彼は薬を飲ませに来る看護師を私だと思い込み、彼女に話しかけた。「秋穂、お前の足首はまだ傷んでるか？」「あの時お前の隣にいてやれなかったことを本当に後悔してるんだ。なんて愚かだったんだろう。お前が俺と喧嘩したのも無理はない。本当に自分が嫌になる」「これからもやっぱダンスの先生になりたいのか？」「俺が投資するよ。大きな部屋を借りるから、そこでダンスを教えるのはどうか？」彼は止まらずにしゃべり続け、私の未来図を描いてくれた。看護師も私のふりをして、彼をなだめて薬を飲ませた。橋見優菜はよく彼を訪ねてくる。彼もまた彼女を私だと勘違いする。彼は看護師の手を握りしめ、慎重に問う「秋穂、どうして妊娠したことを俺に教えてくれなかった？まだ俺のこと怒っている？」「ごめん、俺がお前を怒らせてしまった。全部俺が悪かった。俺がお前に十分な安心感を与えなかった。俺がお前を置いて優菜に会いに行った。もう二度と優菜に会わないことを約束する」橋見優菜は信じられない様子で尋ねた。「将悟兄ちゃん、私は優菜だよ。本当にもう私に会ってくれないの？」澤北将悟は真剣にうなずいて「そう、もう二度と優菜には会わない」と言った。「秋穂、お前は俺と優菜の距離が近すぎることにずっと怒っているのを知ってる。俺も優菜から逃れるために、優菜に留学の提案をしてやった。その時になれば、優菜を海外に送ってから、俺らは結婚しよう。そうするほうが、優菜が結婚式の邪魔ができないだろう」「知ってる？毎日夢の中でお前との結婚を望んでいるんだ」「お前と恋して七年目になるのに、僕はまだ貧乏だから、結婚のための金を貯めよう思って、お前に恥を恥をかかせないよう、誇り持ってお前を嫁として迎えたいんだ。お前はいつも気にしないと言ってくれるけどな。でも、他人にお前が貧乏な男と結婚したと笑わせたくないんだ」彼は深い愛情を込めて橋見優菜を見つめたが、その目は明らかに彼女を通してもう一人を見ている。「秋穂、もうすぐ金が貯まるから、俺と結婚しよう」橋見優菜は崩れ落ち、澤北将悟を押しのけて泣き叫んだ。「

衝撃的なバラバラ殺人事件が世間から注目を集め、熱い討論の中で早々に解決された。犯人と橋見優菜は死刑を宣告され、即時執行されるようという刑罰だった。橋見優菜が亡くなったその日、澤北将悟はシャベルを持って私の墓前にやって来た。彼は私の墓前に一束の勿忘草を捧げ、丁寧に墓石を拭いてくれた。「秋穂、橋見優菜は死んだ。やっとお前に会いに来られた」「実は、一番間違ってるのは俺だ。俺は生きる資格がない」彼は苦笑して「謝りに来たんだ」と言った。そう言って、シャベルを手に取り、私の墓の前で掘り始めた。昼から夕暮れまで、やっと掘り終えた。自分が掘った土壙墓の中、彼は毒薬を飲んだ。非常に強力な毒薬らしく、瞬く間に彼は死んでしまった。私はこの結論に至ったのは、澤北将悟の魂が彼の体から抜け出すのを自分の目で見たからだ。私たち二人の魂は言葉を交わさずに見つめ合った。彼の目はみるみるに赤くなり、私の前に漂ってきて手を握ろうとした。私は身を避け、冷たく話しかけた。「もう死んだんだから、次の人生を迎えるべきだ。もうその演技はやめないか？」澤北将悟はかすれた声で言った「秋穂、愛してるよ......」彼は私を愛している、もちろん本当のことだと信じている。でも彼に与えられた傷も忘れられない。この短い人生、七年間の努力しても同等な対応を得ることができず、最後には体がバラバラにされる結末を迎えた。私たちは結局縁があっても結ばれない運命だったかも。私は疲れ切った。もう愛する力などがなかった。私は無力に首を振り「将悟、来世になってもあなたと会いたくない」そう言って、私は彼岸へ飛び立った。そこあるのは幸せな来世だと信じている。私は両親に夢を託そうと思った。彼らたちに澤北将悟の遺体を私の墓から遠ざけさせようと頼みたい。もう彼のいまさらの愛言葉に動揺するな、合葬なんてさせるものか。一歩遅れた懺悔と愛は、縁起が悪く、草よりも価値がない。END