一週間が過ぎて、台風もようやく少し落ち着いてきた。飛行機もぼちぼち運航を再開し始めたので、私は急いで便を予約して、息子が住んでいる街に向かった。息子のアパートの前に立ち、しばらくノックしてみたけれど、反応はなし。ちょうど近所の人が通りかかって、親切に声をかけてくれた。「もしかして、間違えてない?ここに住んでた人、先週引っ越したよ」心臓がドキッとした。「そんなはずないでしょ?」私が信じてないのを感じ取ったのか、その人は自分の家の前まで案内してくれた。「本当だよ。急いで引っ越したから、いらなくなった家具をいっぱいもらったんだ」その人が指差す方を見てみると、確かに息子のものがいくつか混ざっていた。でも、なんでそんなに急いで引っ越す必要があったんだ?もしかして外で借金でもしたのか、それとも何かトラブルに巻き込まれたのか?どんな理由があったにせよ、母親の私に隠すなんて信じられなかった。焦るばかりで、警察に相談しようかとも思ったけれど、逆に息子に迷惑をかけるかもしれないとためらってしまった。結局、私は探偵に頼むことにした。ひとまず息子を探してもらおうと、ホテルで探偵と会う約束をした。探偵事務所の人たちは、私が人探しを依頼すると聞いて、何人か連れてきてくれた。ホテルに到着して、ロビーに迎えに行こうとしたが、1階がやけに賑やかだった。どうやら結婚式が行われているようだった。遠くから新郎新婦の顔を見た瞬間、息が止まるかと思った。あれは......間違いなく、私の息子と彼の婚約者じゃないか!私はその場に立ち尽くし、何も信じられなかった。見間違いかとも思ったけれど、その疑いはすぐに消えた。息子は遠くに立っている中年の女性に向かって両膝をつき、「お母さん、どうぞお茶を」と言っていた。その女性――忘れもしない、加藤洋子だ。私の夫の高校時代の同級生で、当時から夫を追いかけ回していた女。夫と付き合い始めた頃から、洋子は何度も邪魔をし、夫を誘惑して私たちを引き裂こうとした。結婚後もその執着は消えず、私が妊娠中には流産させようと、血行を促進するスープを送りつけてきたこともあった。幸い、私は当時警戒していたため、その罠を回避することができた。しかし、洋子は諦めなかった。息子が生まれてからも彼に近づこうとし、私の立場を奪おうとした。息子が5
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