やんちゃな末っ子が蛇を捕まえて離さず、蛇に噛み返された。 夫は出張中で、長男は夜勤で病院にいた。 私は迷うことなくタクシーを呼び、末っ子を連れて長男の病院の急診室へ向かった。 華やかなな看護師が小走りで近寄り、末っ子の容態を尋ね、救急外来にベッドを手配してくれた。 私は声を詰まらせながら因果関係を説明し、息子を救ってくれるよう懇願した。 彼女は医療器具を見ながら、周りの人たちと話を続けていた。 しかし、救急室の前に差し掛かった瞬間、突然、ベッドが止まった。 私は理由がわからず、どうしたのかと尋ねた。 その看護師は暗い目で末っ子の顔をじっと見つめ、「立花湊を知っていますか?」と問いかけた。 私は頷き、「もちろん知ってます、彼は私の…」 「長男」と言う前に、顔に平手打ちを食らった。 「何をするの?」 腫れ上がった頬を押さえながら、私は彼女を見上げた。 看護師は憎悪に満ちた顔で私を睨みつけ、「私が誰だか分かってるの?立花湊と1年間付き合っていて、もうすぐ結婚するつもりよ」と怒鳴った。 その時初めて、彼女の顔をよく見ると、確かに長男のSNSで見たことがあるようだった。 長男の彼女、田中舞だった。 私は手を上げ、彼女の手を握ろうとした。 息子の彼女と初めて会うには不適切な状況だとは思ったが、まずは自己紹介をと思い、「私は立花湊の…」と言いかけた瞬間、再び顔に平手打ちを受けた。 今回は彼女が全力で打ってきたので、頬がひりひりと痛んだ。 「この下品な女、ちょっと美人だからって、私の男を奪おうなんて思わないで!」 彼女は私の腹を蹴りつけ、痛みで私は体を起こせなかった。 そして、ベッドに横たわる末っ子を睨みつけて言った。 「これが私の目を盗んで産んだ不義の子なの?」 末っ子は兄とそっくりで、兄弟揃って父親に似ている。 湊も父親に似ていると説明したかったが、田中舞はその機会を与えてくれなかった。 彼女はベッドで顔色が悪くなっている末っ子を一瞥し、ゆっくりとこう言った。 「今、もっと緊急の患者がいるから、この子は後回しにするわ」 そう言うと、他の看護師を連れてその場を去ろうとした。
Last Updated : 2024-10-10 Read more