湊が入ってきて、田中舞が一人で手術刀を握っているのを見て、少し驚いた。 「君、看護師なのに手術する権利があるのか?」 田中舞は返事をせず、むしろ褒めてほしそうに微笑んだ。「湊君、私は一つ大きな問題を解決したんだから、褒めてくれない?」 「どんな問題だ?」 田中舞は私を指さし、にやりと笑った。 「この女が湊君を誘惑しようとしていたけど、安心して。私がもう彼女を片付けたから」 湊は一瞬呆然とした。「何?」 田中舞は湊の腕に甘えたように絡みつき、かわいらしく言った。「怒ってないよね?彼女は湊君の初恋かもしれないけど、今の彼女は私なんだから、彼女の肩を持ったらダメよ。 じゃないと、一生あなたを無視するわよ」 湊は冷たい雰囲気を漂わせ、不機嫌そうに言った。「君が初恋だって言ってるのに、どうして信じてくれないんだ?」 田中舞は口を尖らせて、不満そうに言った。「嘘ばっかり。30歳近くで初恋なんて、ありえないでしょ?」 長男が言っていたことは本当だった。私は彼が子供の頃から非常に厳しく、彼自身もストイックな性格だった。医者になると決めてからは、寝食を忘れて勉強に打ち込み、恋愛をする時間など全くなかった。 だからこそ、恋愛経験がない彼が田中舞のような表裏のある人物に騙されてしまったんだ。 湊が黙っているのを見て、田中舞はさらにわがままを言い出した。 「また嘘ついてる!あなたの初恋が産んだ隠し子まで見つけたのよ。 湊君、最低!私を騙してたなんて!」 湊の表情が一変し、不確かにもう一度尋ねた。「何だって?隠し子だって?」 私はようやく力を振り絞り、手を上げて湊の注意を引こうとした。 しかし、先に田中舞に気づかれた。 彼女は手術台の前に急いで歩み寄り、湊の目の前で私を何度も平手打ちした。 「このクソ女のせいで、湊と私の関係が悪くなったのよ!」 湊は田中舞を止めに入って、怒った口調で言った。「いい加減にしろよ。初恋は君だって言ってるだろう?隠し子なんていないし。 万が一のことがあったら、それは医療過誤だからな!」 そう言いながら、彼は私の傷を確認しようとした。 すると、突然顔色が変わった。 「彼女の傷、君がやったのか?」 田中舞は手術台に横たわる私を軽蔑の目で一瞥し、こう言った。「これは
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