展示ボックスの中には、ピンク色の桃の形をしたペンダントが光を浴びて輝き、目を引く美しさを放っていた。 「皆様ご覧の通り、この桃形のペンダントは一塊のピンク水晶から切り出されています。その名前はとてもロマンティックで、初心です......」 「これは普通の水晶ペンダントではありません。その背景は非常に大きいとされています。と言うのも、これはヨーロッパのある小国の王が彼の養女のために特注したもので、つまり......これは皇室の宝物で、世界に一つだけ、現在の市場価値は四億円以上です!」 司会者の説明が、このペンダントに更なる高貴さを加え、会場は驚嘆の声に包まれた。その珍しさは明らかで、数多くの女性たちが柳巧美に羨望の眼差しを向けた。 「ベイビー、このサプライズは気に入ってくれたかな?」 伊達明史は柳巧美の手を取り、甘ったるい口調で尋ねた。 柳巧美の虚栄心は最大限に満たされ、笑顔が崩れるほどに喜んでいた。 前列では、白川景雄が眉をひそめ、その水晶ペンダントを研究するような目で見つめ、不満そうに言った。「この水晶の色合いは普通だし、皇室の冠を被せるだけで四億円になるなんて、本当に皆が馬鹿のお金持ちだと思ってるのか?」 「水晶自体は良いものだけど、皇室のものかどうかはね......ふふ」 篠田初は意味深な表情で、静かに微笑んでいた。 司会者は続けた。「さて、先ほどご紹介した寄付品がすべてオークションに出品されることになります」 「現時点で、寄付された品物の中で最も高価なのは、伊達明史さんが彼の彼女である柳巧美さんのために寄付したこのピンク色の桃形ペンダントです。それでは、柳巧美さんにご登壇いただきます」 柳巧美は歓声の中、高らかにステージに上がった。 彼女はマイクを持ち、作り笑いを浮かべながら観客に向かって言った。「皆様、拍手をありがとうございます。今日は本当に嬉しいです。慈善のために、皆さんとここでお会いできることができました」 「この愛を広げるために、私の義姉である篠田初さんにもお越しいただき、この素晴らしい瞬間を共に分かち合いたいと思います」 柳巧美は篠田初を招くジェスチャーをした。 篠田初は、柳巧美が善意ではなく、何かを仕掛けているのを知っていた。 しかし、彼女は臆することなく、堂々とステージに上がっ
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