Home / 青春 / (改訂版)夜勤族の妄想物語 / 3. 「異世界ほのぼの日記」㊱

Share

3. 「異世界ほのぼの日記」㊱

Author: 佐行 院
last update Huling Na-update: 2025-02-11 11:34:16

-㊱違和感の世界で・・・、え?-

 パン屋での仕事を終わらせた光は街中を少し散策して帰ることにした、いつもさり気なく通る道を改めてゆったりと歩いてみると何かしら発見がありそうでワクワクしてくる。

 先日、呑み会を行ったパン屋の裏通りを少し歩いてみよう。テラス席が沢山ありカレーハンバーグが人気のコーヒー専門店や東京の浅草にありそうな風格のある老舗っぽいカレーが人気のメイド喫茶、そして元々賄いだった裏メニューのカレー茶漬けが密かな人気になっているインドカレー専門店など日本にあっても違和感ばかりの店が並んでいた。

 川に座敷と半分に切った筒を設置して「流しカレールー」をやっている店もある、ただ利用してもなかなか掴めないので客足が遠のくばかりで次の策を考えている様だ。

 いつ考えていつ作ったのだろうか、蛇口を捻ればオレンジジュースやカルピス、焼酎、生ビール、そして変わり種としてカレールーが出てくるお店も発見する。ただこのお店、お水が出てくる蛇口は無いらしい。

光「か・・・、カレーばっかりじゃん・・・。」

 様々なお店の前を通り少し引きながら散策して行った、店員さんがいたら確実に店に引きずり込まれる。しかし、今は何となくカレーの気分ではない。

 行き止まりになったので来た道を戻り街の中心部へと戻ることにした、鬱陶しい位に嗅ぎ飽きたカレーの匂いに包まれゆっくりと歩く。

 先程通った蛇口のお店で見覚えのある女の子がご飯片手にカレーの蛇口の前にへばりついていた、またカレー茶漬けばかりを沢山頼んで他の料理も食べて欲しい一心の店主を泣かせている見覚えのある男の子もいる。老舗っぽい店で両脇に種類の違うルーを持つメイド2人を従えひたすらカレーをがっつく見覚えのある女性、そしてスプーンの代わりに中華料理で使う蓮華で流れるカレールーをすくおうと必死になる見覚えのある男性。ただとろみがあり中々流れてこない上に流れてきても蓮華では全て取れない。因みに「大き目のおたま」はオプション料金らしい。

 しかし今着目すべきはカレールーのとろみ加減やオプション料金のおたまではない、カレーを食べている人たちを先日どこかで見たことがあるという事だ。全員が私服なので違和感が勝り正直誰なのか思い出せない、光はカレールーを必死に取ろうとしている男性に見覚えのある服装を頭の中で着せてみた。

光「えっと・・・、まさかね・
Patuloy na basahin ang aklat na ito nang libre
I-scan ang code upang i-download ang App
Locked Chapter

Kaugnay na kabanata

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」㊲

    -㊲子供達のために?- 異世界に来てどれ位経っただろうか、光はコーヒーを片手にふと思った。神様には何もしなくていいと言われたが今まで色々ありすぎて自分で言うのも何だがそれなりに活躍してきたと胸を張って言える気がする。 しかしそれなりにこっちでの催しや遊びも楽しんできた、結構日本に近い物を感じていたが異世界なりの変化もあったのでそれはそれで良しとした。 1人の大人として楽しく過ごしてはいたが疑問に思う事がある。 この国に子供たちの為の遊び場ってあっただろうか、と。 大人たちは街の西側にあるレース場公園夜銭湯や呑み屋で楽しめるが、子供達が遊べる公園や遊園地などの遊び場は見当たらない。 たまに田畑の端を走り回る姿は見かけたがそれ以外は殆ど見ていない。 そこで、教会に行き、アーク・ビショップのメイスに相談を持ち掛けてみる事にした。メイス「確かにその通りかも知れませんね、隣国では公園や遊園地などで友達を得る子供達が多いですから。」 教会は孤児院を兼ねていて、子供達が勉学を学ぶ施設や少し狭めだが小学校の様に遊具のある運動場も併設している。 そこでメイスが国王のエラノダに相談を持ち掛ける事にした、アーク・ビショップには国王以上の権威や権利のある人間達もいてメイスもその内の1人だった。 翌日、メイスは王宮へエラノダに直接会いに行った。エラノダ「そうですか・・・、それは盲点でしたね・・・。」メイス「子供たちにはお友達やご家族の方々との楽しい交流の場が必要とされています、この機会にご検討をお願いいたします。」 エラノダは即決断し王国軍の将軍達を集め作業の指示を出した。初めの第1歩として光の家がある住宅地近くに公園を作った、決して大きくはないがブランコや滑り台、そしてジャングルジムなど子供達が楽しめる遊具が設置された公園だ。 次にインパクトのあるものをと考え、銭湯の向かいの駐車場の端に山の斜面を活かしたローラー滑り台を作ると一瞬にして子供たちの注目の場になった。 そして銭湯に引いている温泉を利用し年中通える温水プールを建設して親子連れでワイワイしながら楽しめる場所とした。 メイスはエラノダに直接相談を持ち掛けて正解だと思った、まさかこんなに早く解決するのは予想外だったがこれも王国軍の仕事の早さの賜物だ。 温水プールの利用客の為、街の洋品店が水着やプー

    Huling Na-update : 2025-02-11
  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」㊳

    -㊳学びの場- 温水プールではっちゃけた数日後、街中のカフェテラスでネスタが尋ねた。ネスタ「そう言えば、あんたはどこの魔学校に通ってたんだい?」 ネスタは光と一緒で日本からこの世界に転生して来た林田警部の奥さんだ。 この世界では住民が魔法を使えて当然との事だがどこかで学んでいた等の話は全く聞いた事が無かった、ネスタには自分がどうやってこの世界にやって来たかを伝えてはいる。 光は一応、大卒の会社員だが勿論魔法なんて日本で学んだ事は無い。 この世界では小中学校、高等学校、専門学校、そして大学という概念が無く学校と言えば魔法を中心とした勉学を学ぶ「魔学校」のみだそうなのだ。そこでは種族関係なく子供達が6歳から15歳まで学ぶことになっている。 夫の林田警部が転生者でありどこで学んでいたか知りたかったのだろう。光「私の元の世界には魔法自体が無くて、魔学校というものも無かったです。」 因みにこの世界での魔学校は隣のバルファイ王国に1校だけある、そう言えば街を見回しても学校らしき施設は孤児院の施設以外見当たらなかった。 6歳から15歳と言えば日本では大体義務教育の期間となる、その時期になれば出生届と住民票を役場と共有するバルファイ王国魔学校から連絡が来て学校に行くようになるのだ。 ただ、全寮制でも無いらしいので毎日隣国まで通うのは大変だろうなと思っていたが、学生証を家の玄関のドアにかざして開けるとすぐ教室に到着するとの事だ。 光はこの世界に来てから神様の恩恵で使える様になった『作成』のおかげで色々出来る様になったが林田警部は魔法が使えない。きっと、『作成』などのスキルの存在に気付いていないか本人が使おうとしていないかだ。 そんな事を考えていたら、ネスタが確信をつく質問を投げかけた。ネスタ「じゃあ、誰に魔法を教わったんだい。」 きっと神様のお陰だと言っても信じてもらえないだろう、光の場合誰かに教わった訳では無く『作成』で自ら作ったものだったからだ。光「この世界に来て、ネスタさんの家で眠っていた時に気づいたら出来てました。」ネスタ「そう言えば、朝ごはんの後に突然倒れた事があったね。あれと関係があるのかい?」 この世界に来た初日、ネスタの家で違和感を覚えながら全体的に和の朝食を食べた後、精神だけ神様に呼び出された折に、現実世界では廊下で倒れていた事

    Huling Na-update : 2025-02-11
  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」㊴

    -㊴1つの鍋を囲む- 林田警部と会ってから数日、光はパン屋の仕事を昼過ぎまでこなし休憩時間に入る頃にネスタが店にやって来た。孤児院の子供達の事を聞いて自分にも何かできないかと相談を持ち掛けてきた、この事には林田警部も賛成していて本人も協力したいとの事だ。ネスタ「さっき街に来る途中でとても大きな鍋を見かけたんだよ、あれで料理をして皆で楽しく食べれないかと思ってね。何か良いアイデアでも無いかい?」光「やはり大人も子供も共通して食べたくなるものが良いですよね、それに各々の好きな具材を持ち寄って出来る・・・、カレーとかどうですか?」ネスタ「いいかもね、皆の好きな具材が入った大きいお鍋でカレーなんて美味しくて豪華になりそうね。」 光の仕事が終わり、ネスタとメイス、そしてゲオルとカフェテラスで会い具体的に話を詰めていく事にした。 ネスタは先程の鍋を自ら調達し、一旦家で保管してるという。最低限必要なカレールーはゲオルが自らの自腹でお店から寄付すると持ち掛けた。 米は子供達の農業体験で田畑を提供したガイがたんまりと用意すると意気込んでいるとの光に連絡があったそうだ、子供達が育てた米を沢山の人たちに食べて欲しいとの事だ。 とりあえずじゃが芋、人参、玉ねぎの3種類の根菜は用意して後の具材は皆が好きな物を持ち寄って入れようという話になった、様々な家庭のオリジナリティが集結した豪華なカレーを作ることになった。 数日後、稲を刈り取り乾燥したガイの田んぼに大量の薪で焚火を起こし、火を通すのに時間がかかる根菜類から入れていく事にした。 最初に話していた3種類に加え、ルーを提供したゲオルが持って来た蓮根を入れる。しっかりとした歯ごたえと甘みでルーの辛味に深みが増すとの事だ。 後から話を聞いた焼き肉屋の板長とヤンチが普段の調理で余り、普段賄いなどに使用する牛肉や豚肉の切れ端を提供してくれた。本人たちや他の従業員達も今日は店を休みにして全員が駆けつけてくれている、肉は切れ端と言えど普段店で出てくる物と変わらず旨味の溢れる物だった。 ネスタと光の話をこっそり聞いていたラリー達も普段コーンパンに入れているトウモロコシを提供して来てくれた。 ネスタは林田家で評判の良い鶏肉を2種類を沢山用意し焼き肉屋の肉と一緒に炒めてから鍋へ。 警察署内で林田からカレーの話を聞いたノーム刑事こと

    Huling Na-update : 2025-02-11
  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」㊵

    -㊵異世界らしくない位の平和な理由- 光は違和感を感じていた、冒険者ギルドが存在し街を訪れた冒険者たちが魔獣達に困っている住民から依頼を受け各々の仲間と共に仕事へと向かって行く。仕事を終えると報酬を受け取り建物内で呑み食いを行っている。 しかし・・・、何かが変だ。ギルドに捕獲した魔獣を買い取ってもらったり、討伐したその場で魔獣の素材を剥ぎ取ったり、もしくは依頼者から報酬として素材を受け取り武器や防具を作っている様子が無い。魔獣の肉を食べている様子もなく普通に畜産業が存在している。冒険者達が農民たちからの依頼で魔獣の駆除をしているとの事だが駆除した魔獣はどうしているのだろうか。 700年以上生き、経験を重ねた上級魔獣達は東門から街へ出入りし人に混じって生活を共にしている。 では、それ以外はどうしているのだろうか。冒険者ギルドでドーラに聞いてみる事にした。 ドーラ「何言ってんですか、討伐なんかしちゃったら協定違反になってしまいますよ。」光「協定違反・・・、ですか。」 この世界に来てからそこそこ経っているはずだし、一応就職の為とは言え自分も登録しているが初耳だ。光は顔が赤くなり、ギルドから逃げ出して勢いのままに林田家に『瞬間移動』した。 部屋の床を箒で掃いていたネスタが驚きながら言った。ネスタ「ひゃぁっ!誰だい、いきなり入って来るなん・・・、光ちゃんかい?」光「はぁ・・・、はぁ・・・、ネスタさん・・・、はぁ・・・、すみません・・・、はぁ・・・、お水を・・・、はぁ・・・、下さい・・・。」 光は水を受け取ると一気に飲み干しお代わりを要求した。5杯、いや6杯程飲んでやっと落ち着いた光はネスタからチョコを貰って一部始終をほぼ早口気味になりながら話した。ネスタ「なるほどね・・・、知らなかったと言ってもね、そう言われても仕方ないわ。」光「協定違反ってどういうことですか?」ネスタ「あのね・・・、光ちゃんがこの世界に来る数年前の事さね。ネフェテルサ・バルファイ・ダンラルタの3国間で『魔獣愛護協定』ってのが制定されたんだよ。それ以前は素材目的の奴もいたけど殺戮目的で自由に暴れていた冒険者が多くてね、多くの種類の魔獣達が絶滅したんだ。その影響で上級魔獣にならずに死んでいった魔獣達が後を絶たなかったから3国の街での商売の売り上げがガクッと下がったりしてね。特に王

    Huling Na-update : 2025-02-11
  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」㊶

    -㊶ギルドにて- 3国間で結ばれた『魔獣愛護協定』の影響で冒険者ギルドでは他の冒険者に混じり王国軍の将軍達が毎日警戒をしている、警察も協力してこの協定を全ての冒険者が大切なルールとして守ってくれるようにセキュリティを万全としている。その対策の1つとしてギルドマスターの認可のもと、刑事のドーラが看板娘兼受付嬢を務める様になった。ドーラが働く受付には「『魔獣愛護協定』により魔獣から剥ぎ取った素材や肉、魔獣の死体、そして各種罠で捕獲した魔獣自体の買取はお断りさせて頂いておりますのでご了承ください」と書かれた大きな看板を掲げてもいる。 一応、出入口には「警察官巡回時立寄所」の立札を掲げていて、真実なのだが一部の冒険者が疑ってしまっている。ただ冒険者たちに警戒されないようにドーラや将軍達は粗悪な者たちがうろついていても平然を装う様にしていた。冒険者「お姉ちゃん、嘘ついちゃいけないよ。今日1日いるけど警察官なんて1人も来ないじゃん。」 ドーラは体を微細に震わせながらも笑顔で対応しているドーラ「何を仰っているんですか、私だって警察署の方々がいついらっしゃるか分かりませんし毎日制服を着た方々が来られるとは限りませんから。まあまあ気にせずゆっくりと呑んで行って下さいよ、あなた方のパーティーには隣国のギルドマスターから賞賛のお手紙と特別報酬が出ているので今日は私に1杯奢らせて下さい。」冒険者「嬉しいね、お言葉に甘えさせてもらうよ。」 ドーラはほっと一息つくと通常業務に移った。農民や住民、他国から来ている行商人などから毎日多数の依頼が冒険者ギルドに寄せられているのでそれらを振り分けたり斡旋したりなど大忙しだ。それに光と同じで就職の為だという人が多数なのだがギルドへの登録希望者も後を絶たない、ただこれは平和だという証拠だ。 そんな中、後ろに並んでいたどこからどう見ても『ヒャッハー!』なあの世界からやって来たように見える冒険者達が2人やって来た。どうやら兄貴分と弟分らしい。冒険者兄「お姉ちゃん、ここ冒険者ギルドだよなあ。僕達お願いがあるんだぁ。」ドーラ「何でしょうか、私で宜しければ承りますよ。」 ドーラはあくまで冷静に対応している。冒険者達は各々のアイテムボックスから大量の荷物を取り出して言った。他国での依頼で討伐したのだろうか、全て魔獣の死体だ。そう、この国ではご法

    Huling Na-update : 2025-02-16
  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」㊷

    -㊷警察と王国軍、そして国民の友好関係-林田「では将軍、宜しくお願い致します。」将軍「かしこまりました。林田警部、お勤めご苦労様です。」 将軍の先導で冒険者達が王宮の下にある牢へと運ばれる、この国では刑務所や拘留所は王国軍の管理下となっているので常に連携を強く保っているのだ。将軍「そうだ、思い出しました。林田警部・・・、ちょっとお耳を・・・。」林田「どうしました?」 林田が将軍に耳を貸す、将軍が耳打ちで何かを伝えると林田警部は顔をニヤつかせ了承した。ドーラ「あの2人ったら・・・、相変わらずね。」 呆れた表情をしているドーラをよそに林田と共にニコニコしながら将軍が大隊長に犯人の連行を指示し、周辺で静かにしていた冒険者に向けて一言。林田・将軍「皆さん、お騒がせしました。今日は私たちの奢りです、じゃんじゃん呑んで下さい。」冒険者達「流石だぜ、いつも気前がいいな。2人に乾杯!」 冒険者達は片手に持ったジョッキを2人に向けて振り上げた、張り詰めていた空気が一気に朗らかになる。 ギルドの従業員からジョッキを受け取った林田はビールを飲み干した。将軍「林田警部、この後お仕事では?」林田「いや、休日出勤です。全く・・・、優秀な犯人ですよ。ねぇ、ノーム刑事・・・。」ドーラ「あ、いや、あの・・・、空いたジョッキ回収しまーす。」 警察署直通のベルと押し間違え、どうやら休日を満喫しようとしていた上司を呼び出してしまったと思われるその犯人のエルフはそそくさとした様子で客席へと逃げて行った。 女性「ニコフ、あんたも休みなんだろ?遠慮しないで吞みなって。」 女性の声に引かれる様に役目を終えた私服の将軍・ジェネラルのニコフが涙目になりながら振り向くと、パン屋で働く鳥獣人族で光の同僚であるキェルダがいた。仕事終わりにドーラから連絡を受けた光が林田の奢りで一緒に呑もうと誘っていたのだ。光「ニコフって・・・、キェルダ!!いくら何でも将軍に失れ・・・。」ニコフ「キェルダ・・・、会いたかった・・・。デート行けなくてごめん!」光・林田「え?!」キェルダ「こいつ・・・、あたしの彼氏。」ニコフ「ど、どうも・・・、お初にお目にかかります。お、王国軍でニコフをしてます、将軍と申します。いつも彼女と林田さんからお話を伺っており・・・。」キェルダ「何であんたが硬くなってん

    Huling Na-update : 2025-02-16
  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」㊸

    -㊸妹を守る男達の勝負-ウェイン「俺達と勝負して貰わないとな。」 マックとウェインが兄弟で妹の彼氏である王国軍のニコフ将軍に勝負を仕掛けている、ウェインの横でマックがどこかへ連絡を入れていた。 数分後、見覚えのある1匹のコッカトリスがギルドの前に止まり、出入口からスーツ姿の男性が入って来た。男性「この多忙な私を呼び出すとは、どこの生意気者かな。」ニコフ「ダンラルタ国王!!どうしてこちらに?!」デカルト「君は確か、この国の王国軍の将軍だね。甥っ子と姪っ子のピンチに叔父が来ては駄目なのかね?」ニコフ「甥っ子と姪っ子・・・、えっ?!」キェルダ「ニコフ・・・、実は・・・。」 キェルダが耳打ちをするとニコフは混乱してしまった。 それもそうだ、王族の上級鳥魔獣と鳥獣人族を相手に何で勝負しろというのだ。 すると、デカルトがドーラに声を掛けた。デカルト「お姉さん、ビールを4杯頂けますか?」ドーラ「は・・・、はい・・・。」 ドーラがジョッキ一杯に入ったビールを4杯運んでくると、デカルトが徐に切り出した。 昔からの伝統で上級鳥魔獣と鳥獣人族には女性の婚約者や恋人と勝負する事になっているのだが、その内容は・・・。デカルト「私達と飲み比べをしてもらおう、それともダンラルタ国王である私からの直々の勝負を受けずに私に恥をかかせるつもりなのかね?」マック「因みに俺達が勝ったらキェルダは諦めてもらう。」ニコフ「分かりました・・・、受けます。」キェルダ「ニコフ・・・、無茶だよ。」 ニコフの顔は真剣だったが、その横でキェルダはとある事を懸念していた。昔から鳥魔獣族と鳥獣人族は人間に比べ酒に対しかなりの強さを持っていた。そう、上級鳥魔獣と鳥獣人族は酒に強く、また多数が酒好きの日本で言う高知県民の集まりなのだ。きっと何かしら理由をつけて皆で吞みたかったのだろう。 ルールは至ってシンプル、同じ種類の酒を順番に呑み先に倒れた方の負け。酒の種類は順番に決めていく。 まずは手始めにデカルトが本人の希望で注文したビールからのスタートだ。順調に各々5杯目まで到達、その時・・・。女性達「あたし達は参加しちゃダメなのかよ、え?!」デカルト「男たちの真剣勝負につき女人は立ち入りをお断りします。」 勝負に参加しようとしている女性の1人、キェルダは至って真剣だった。早く呑みた

    Huling Na-update : 2025-02-16
  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」㊹

    -㊹本来の勝負- 呑み比べの結果が結果だけにギルド内は少しだけ気まずい雰囲気に包まれていたが光は全く気にしていなかった、酔いが回りすぎて周りが見えなくなっていた訳では無かったがもう皆倒れてしまっているのでもう相手をしてくれる人がいない。光は寂しさを紛らわすためドーラに声を掛けた。光「ドーラぁ、ビールもう1杯~。」ドーラ「もうやめときなって、光にしては呑みすぎだよ。」 その時、頭を抱えながらキェルダが起き上がった。キェルダ「許してあげて、あたしらが巻き込んじまっただけなんだよ。」ドーラ「一先ずキェルダのお兄さん達と将軍が起きないと話が始まらないわ、皆にお冷を持ってくる。」 そう言うとドーラは受付カウンターの奥へと消えて行った、すれ違いざまにキェルダの家族たちが続々と目を覚まし始めた。デカルト「うん・・・、我々はどうしていたのだ・・・、皆、大丈夫か?」マック「叔父さん・・・、昼間っからここまで呑むのは久々だよ・・・。」ウェイン「それにしても俺達どうして呑んでたんだろ・・・。」 最後にニコフがゆっくりと体を持ち上げる。ニコフ「悔しいです・・・、勝負の形はどうであれ、負けたのですから・・・。このままではキェルダやご家族の皆さんに合わせる顔がありません。」林田「誰が負けだと決めたんですか、光さん以外は皆ほぼほぼ同時に酔い潰れたと言うに。」 お冷の入ったグラスを片手に林田がニコフを介抱した。林田「我が友よ、上級鳥魔獣と鳥獣人族と勝負して立派にここまでやったんだ、貴方は十分胸を張って顔を合わせてもいいはずだ。ですよね、皆さん?」 周りの冒険者達が拍手でニコフを称賛した。冒険者「あんたは立派だよ、俺達上級鳥魔獣と鳥獣人族が酔い潰れたのを初めて見たぞ。」冒険者「俺達だったら全員リバースの嵐だよ。」林田「ほら見ろ、皆認めてくれているだろう。ダンラルタ国王様、失礼ながらお伺い致します。貴方様のお気持ちはもうお決まりなのでしょう?」 デカルトはマックとウェインを集め頷いた、2人も納得している様だ。 3人がニコフに手を差し伸べた。デカルト「ニコフさん・・・、いやニコフよ。」ウェイン・マック「ニコフ将軍・・・、いや義弟よ。」3人「認めよう・・・、これからもキェルダ含めよろしくお願いします。」 ニコフは体を震わせ頬には涙が流れていた、彼は認めら

    Huling Na-update : 2025-02-16

Pinakabagong kabanata

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」70

    -70 出てきたのはまさかの人物- ダンラルタ王国の悪徳貴族であるクァーデン家に奴隷として捕まっていた巨獣人族の話を親身になって聞き入る国王のデカルト、少しも聞き逃さぬようにしたいので慎重に言葉を選んで質問していく。デカルト「恐れ入りますが、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」奴隷「皆・・・、名前を奪われ番号で呼ばれていました。」デカルト「そうですか・・・、因みに奪われる前の物は覚えていますか?」奴隷「ガヒューでした、ガヒュー・パンドル。」デカルト「ではガヒューさん含め皆さん、これからは堂々とご自分のお名前を名乗って下さい。」 巨獣人族の者達の目には涙が。ガヒュー「よろしいのですか・・・。」デカルト「勿論、国王の名の下に許可致します。今日からあなた方はわが友、そして皆さんの雇口も探させて頂きましょう・・・。」ガヒュー「ありがとうございます、人生でこの上ない位の幸せです。」デカルト「これからどんどん、幸せで楽しい人生を共に歩みましょう。その為にも私に協力してくれますね?」巨獣人族達「お任せください、国王様!」デカルト「ではウィダン君・・・、皆さんの為に雇口を。恐れ入りますがガヒューさんはもう少しお話をお伺いさせて頂けますか?」ガヒュー「勿論でございます、国王様。」 デカルトはゆったりとした雰囲気で話しやすくする為にとガヒューにハーブティーを与えた、また果実で作ったフルーツタルトも横に添えている。両方とも素材からデカルトが作っている。デカルト「どうぞ、私が王宮の中庭で育てたハーブと果実を使ったハーブティーとフルーツタルトです。お召し上がりください、ただくれぐれも他の人には内緒にしてくださいね。」 ガヒューは震えながらティーカップを手にし、1口啜った。優しい味わいに心が安らいでゆく、そして横に添えられたフルーツタルトをナイフとフォークで器用に切って食べた。 ガヒューは2品の優しい味わいで落ち着いた様だ。ガヒュー「美味しいです、こんなご馳走久々で・・・嬉し・・・い・・・。」デカルト「お辛かったでしょう・・・、もう大丈夫ですからね。我々は味方です、すみませんが覚えている事をお教え願えませんか?」 ガヒューは使っていた什器類を置き、重い口を開こうとしていたのでデカルトは林田に電話を繋いだ。デカルト「私の友人です、ネフェテルサ王

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」69

    -69 解放した理由- クァーデン家から解放した奴隷たちをデカルトに会わせる為、一先ず王宮へと連れて行った。レース場に行く前に彼らに入浴させた後、新品の衣服と沢山の食事を与える様にとデカルトから指示があったからだ。特に食事に関しては出せるだけ出して良いので奴隷たちが満腹になるまでとの通達だった。 ムカリトの同僚で同じく軍隊長であるバルタンのウィダンが数人のグリフォンと任務を遂行していた、ただデカルトの「出せるだけ出して良い」という通達が妙に引っかかっているのだが。奴隷「兵士さん・・・、良いのかい?こんなに良くしてもらって。」ウィダン「だ・・・、大丈夫だ。こうする様に国王陛下直々の指示があってな。それにしても全然食事を取っていなかったのか?王宮にあった食材の殆ど9割方出したんだが全部食っちまったじゃねぇか。」奴隷「まずい事をしてしまったならすまない、俺達元々巨獣人族(ジャイアント)なんだ。」 ウィダンは王宮や王国軍の者の普段の食事の数十倍の量を出したつもりだったのだが奴隷たちは全てをペロリと完食してしまった、しかも10分も掛からない内に。ウィダン「だからか・・・、大食いで有名だと聞いたが本当だったんだな。」奴隷「さっき兵士さんに聞かれた通り、捕まってから全く食事という物を与えられて無かった。我慢しながらの強制労働は本当に辛かったよ。決して満たされない空腹と喉の渇きに耐える事が出来ず、何人もの仲間が亡くなっていったんだ・・・。辛かったよ、友人が目の前で息を引き取るのを見るのは。」ウィダン「そうか・・・。思い出したくなかったら良いのだが、亡くなった方々はどうなった?」奴隷「ゴミの様に鉄の窯に入れられ、燃料として使われた。俺達の毛皮はよく燃えると知っているらしい。ぐっ・・・。」ウィダン「すまない・・・、悪かった。許してくれ。」 ウィダンは奴隷の両肩に手を置き、頭を下げた。2人は目に涙を浮かべている。ウィダン「それにしても初めて聞いたな、巨獣人族の毛皮がよく燃えるなんて。」奴隷「俺達は普段は魔法で人の姿やこのサイズを維持しているんだが、これも結構辛くてな。ただ獣人族の中でも俺達巨獣人族は寒い所に住むことが多いから、体表に沢山ある毛皮で体を温めながら過ごしていたんだ。たまにだが毛の1本1本にある油分を利用し、焚火をしてキャンプの様にバーベキュー等を

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」68

    -68 協力と反抗- 羽田は警備隊に混ざり捜査を続けつつ、黒服に指示を出し魔学校の入学センターの担当者に取り調べを行う事にした。その前に、結愛の指示で当時の入学者リストをコピーし入念にチェックしていった。勿論、梶岡の名前は無い。首席入学者は「リラン・クァーデン」と書かれている。黒服からその事を聞くと羽田はすぐに結愛と林田に無線で伝えた、林田は驚きを隠せない。林田(無線)「クァーデンですって?!確かにそう書かれていたのですか?!」結愛(無線)「警部さん、何かご存知なのですか?」林田(無線)「ええ・・・、悪名高い事で有名でしてね。名誉の為なら何でもしでかすダンラルタ王国の貴族ですよ。少し私に時間を頂けませんか?」 林田は電話を取り出し、ある所に事情を話し始めた。電話の向こうの男性は快諾し、梶岡と話してくれると言った。男性(電話)「梶岡さんでしたか?私で宜しければ力になりましょう、お話をお聞かせ願えますか?」 梶岡は林田に話した自らの歴史を男性に話した、電話の向こうで男性は涙を流している。男性(電話)「そうですか・・・、大変でしたね。私にお任せ下さい、魔学校とクァーデン家に問い合わせてみましょう。」梶岡「あの・・・、貴方は?」男性(電話)「ダンラルタで八百屋を経営している者でして、知り合いが多いのです。」 林田は笑いを堪えた、有名な某時代劇で聞いた事のある様なフレーズだからだ。 数分後、警察署に来た羽田に梶岡を紹介して一緒に魔学校を調べる様に伝えた。羽田達がその場を離れると林田は男性に電話を掛けなおした。林田「国王様、宜しいのですか?あんな嘘をついて。」デカルト(電話)「構いませんよ、国王だと言うと身構えて話し辛くなってしまうでしょう。現にあなたもそうですから。」林田「はい?」 林田は以前飲み比べをした時にデカルトと連絡先を交換していたのだった。その時、自分達はもう友人なので気兼ねなく話してくれと言われていたのだ。林田「そうだな、デカルト。すまない、ただ他の人の前だったから許しておくれ。」デカルト(電話)「ひどい奴だな、忘れたのかと思ったぜ。」林田「とにかく頼むわ、一大事かも知れん。」デカルト(電話)「分かった、ただ俺は立場上レース会場を離れる訳にはいかんから軍の者に頼んでみるよ。」 今行われている伝統のレースは3国の国王が主催

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」67

    -67 重い罰- 『丼』な『重い』罰を受ける犯人に林田は柔らかな表情と口調で質問してみた、キツめの口調で聞くと答えづらくなってしまうかも知れない、素直に答えてくれそうな内に聞いてみようと言う作戦だ。林田「どうだ、味は美味いか?知り合いの板前さんに頼んで作って貰ったんだ。俺大好きなんだ、カツ丼と親子丼に牛丼、そしてかき揚げ丼がよ。」 丼にたっぷりの白米が盛られ、上には黒豚のロースカツにネフェテルサ特産の若鶏で出来た親子丼の具材がかけられ横にカラッとサクサクに揚げられた大きなかき揚げと継ぎ足しの出汁で甘辛く煮詰められた牛肉が添えられている。料理の練習に余念のない焼肉屋で働くウェアタイガーのヤンチの特製丼で、お代はいらないからと御厨板長が試食を頼んできたのだ。犯人「こんなご馳走・・・、久々だよ。」林田「それな、本当は俺の昼飯だったんだぞ。」犯人「いいのか?俺、さっきも言ったが金ねえぞ。」林田「良いんだ良いんだ。目の前で腹を空かせている奴がいるとほっとけねぇ性格(たち)でな、許してくれ。それにしてもよっぽど腹減っていたんだな、もう半分も無いじゃんかよ。」犯人「美味すぎてな・・・、俺には勿体ねぇ・・・。死んだ両親に食わせてやりてぇ・・・。」林田「良かったら、お前さんの話を聞かせてくれないか?食べ終わってからで良いからよ。」 犯人は冷めない内にと口にどんどんと運んでいった、急ぎすぎて詰まらせかけている。ただ、まだ満腹感は来ていないみたいで勢いはおさまらない。林田「ははは、急ぐからだろ。今お茶を持ってきてやるから待っとけ。」 林田警部が冷蔵庫から麦茶を持ってきて犯人に1杯与えると、食らいつく様に一気に飲み干した。林田「少し気になったんだが、お前さん。この世界の奴では無いな?」犯人「ああ・・・、確かにそうだが何故分かった?」林田「俺と同じ匂いがしたんだよ、今更だが名前は?」犯人「梶岡だ・・・、梶岡浩章(かじおかひろあき)。」林田「梶岡か、実は俺も転生者なんだ。お前さんも俺と同じだから、日本の味を美味そうに食ってるんだな。」梶岡「いや・・・、実は日本での記憶は全く無くてな。」林田「良かったら聞かせてくれるか。」梶岡「長くなるぞ、レースを見なくて良いのか?」林田「後で何とでもするさ。」梶岡「ん?まぁ・・・、良いか。これは数年前、ここに俺を転

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」66

    -66 一方で- 恋人たちが現場に戻って来たのはプニ達が爆弾を『処理』し終えてから十数分経過してからの事だった。2人は口の周りが不自然に明るく光り表情が少し赤くなっている、髪が少し乱れているのは言うまでもない。プニ「お前ら・・・、ううむ・・・。」 プニは仕事を再開すべきだと気持ちを押し殺した、何をしていたかだなんて正直想像もしたくない。 ただ林田警部が無線の向こうで呆れ顔になってしまっているのは確かだ、幸いケルベロスやレッドドラゴン達は気付いていないらしくその場を何としても納めなくてはと冷静に対処する事にした。 プニの無線機から林田警部の声が聞こえる、どうやら恋人たちは無線機の電源を切っていたらしい。林田(無線)「利通君・・・、そしてノーム君・・・、君らが無線機の電源を切ってまで2人きりになりたい気持ちは私も大人だから分からんでもないが・・・。」ドーラ「そんな・・・、照れるじゃないですか。」林田(無線)「ぶっ・・・。」 ドーラが林田に何をしたかはその場の全員が分からなかったが何かしらの攻撃がなされたらしい、多分ビンタに近い物だろう。取り敢えず林田は偶然を装う事にした、どう頑張ってもドーラが何かをした証拠が見つからないのだ。林田(無線)「失礼・・・。さてと、爆弾の方はどうなっているかね?」ドーラ「お父さ・・・、いや警部、1つがコインロッカーの中に見つかりました。爆弾処理班の方々によるとまだ複数個隠されているかとの事です。」林田(無線)「ノーム君・・・、まさかこの言葉を言う事になるとは思わなかったが、君にお父さんと呼ばれる筋合いは無いよ。取り敢えず見つかった爆弾はどうしたのかね?」利通「えっと・・・。」プニ「見つけた1個は俺達で処理したっす。」ケルベロス①「ただ競馬場内から爆弾の匂いがプンプンしますぜ、林田の旦那。」 相変わらずのキャラを保っているが仕事はしっかりと行っているので文句は言わないでおくことにした、別の者達には日を改めて。 一方、銃刀法違反の現行犯で逮捕した犯人をネフェテルサ王国の警察署に巡査が輸送し、それに合わせ警備本部にいた林田警部が一時的に署に戻り取り調べを行った。犯人によると自分は金で雇われただけだと言う、真犯人からは電話での指示を受けていたが非通知での着信だった為番号は知らないそうだ。そして分かった事がもう1つ、

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」65

    -65 ヒーローはすぐそばに- 覆面の男は息を漏らしながら突き付けている小刀をドーラの顔にゆっくりと近づけ始めた。男「俺はゆっくりと嬲っていくのが好きなんだ・・・、無力な馬鹿どもの目の前でお前の顔に1つずつ傷を入れてやる・・・。」ドーラ「あんた・・・、誰を相手にしてるか分かってんの?私みたいなブスを人質にしたって仕方ないのよ。」男「俺はこの状況が好きなだけでお前が誰かなんてどうでも良いんだ・・・。ほらほら・・・、後ちょっとで傷が・・・、ぐはっ。」 小刀が顔まであと2cmとなった瞬間、男が小刀を落とし崩れ落ちた。 男に男性が微量だがスタンガン程度の電力がある雷魔法を喰らわせている。男性「ふっ・・・、間に合ったな・・・。」ドーラ「林・・・、田・・・、いや利通!!怖かった・・・!!」 利通の胸で涙を流すドーラは1人の刑事ではなく女性の顔をしていた。利通「てめぇ・・・、何人の女に手ぇ出してんだよ・・・。」 利通は小刀を持つ男に鋭い眼光を向けた。結愛「社内恋愛ならぬ、署内恋愛?」ドーラ「・・・ってあんた、何彼氏面してんのよ!!」結愛「違うんかい・・・。」ドーラ「いや、利通は正真正銘私の彼氏ですけど?」結愛「何やねん・・・、ってどうでもええわ!!」利通「わ・・・、悪い・・・。だって・・・、大好きなドーラに・・・、刃物が向けられているのを見て・・・、じっとおれんかって・・・。」結愛「何で関西弁やねん・・・、でお前が泣くんかい!!」 結愛がキツめのツッコミを見せた時、利通とドーラの無線機から声がした。林田警部からだ。林田(無線)「えっとな・・・、利通・・・、それとノーム君。君たちが以前から良い雰囲気になっていたのは署内全員が知ってはいたんだがね。そのやりとりの音声を署内の人間全員の無線に送る必要は無かったのでは無いのかな・・・、と私は思うのだよ。しかも貝塚社長の目の前で・・・、ねぇ・・・。」 利通とドーラは無線機のチャンネルを確認した、両方ともの無線機が署員全体への連絡に使う物となっている。 恋人たちは顔を赤くし2人仲良くその場から離れて行った、行き先はどこへやら・・・。 気を取り直して、プニ達は爆弾の処理に戻ろうとしたがその場にまだ男がまだいたのを忘れていた。 ケルベロスの1人が男を背後から取り押さえ、もう1人が懐から手錠を取り出

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」64

    -64 この世界の爆弾処理班- 林田の指示を受け、ただちにドーラが連絡を入れるとダンラルタ王国警察から爆弾処理班が派遣され各国に散らばりもうすぐ到着するとの折り返しの連絡があった。 こっちの世界での爆弾処理班といえば重厚な装備を付けた正しく「爆弾のプロ」というイメージがある。 数十分後、軽装の男性が数名警備本部にやって来た。男性「お待たせっした、爆弾処理班っす。」林田「おいおいノーム君、こいつら本当に大丈夫なのか?」ドーラ「大丈夫ですよ、何せ彼らは火のプロですから。上級魔獣と上級の鳥獣人族(ホークマン)の集まりですよ。ここは私達にお任せください、警部は警備の指揮に戻られた方がよろしいかと。」林田「分かった、じゃあ任せるから随時報告を頼むな。」 林田警部はその場を離れ、逃げる様に競馬場周辺の警備隊と巡回し始めた。ダンラルタ王国警察から派遣された爆弾処理班は6名、内2名は上級鳥獣人族(アーク・ホークマン)で火属性に強いレイブン、そして人の姿をしたレッドドラゴンが2名と爆弾探し要因のケルベロスが2名、しつこい様だが全員かなりの軽装だ。 リーダーを務めるレイブンのプニは昔かなりのヤンチャだった為、少しチャラさがあった。プニ「んで、どっから調べます?」利通「プニー、久々だな。取り敢えずこの競馬場から頼むわ。」プニ「利通じゃねぇか、久しぶりだな!魔学校以来か、まさかお前と仕事するとはな。」結愛「プニ、俺達もいるぜ。」プニ「おお!!結愛に光明じゃねえか、結愛のキャラも相変わらず変わらねぇな!!」光明「俺達も捜査に手伝うから宜しくな。全社員一同、捜査に協力するぜ。」プニ「貝塚財閥だったか?えれぇデカい会社だもんな、心強いぜ。」利通「よし、そろそろ始めようぜ。」 テントを出て、ケルベロス達が嗅覚を利用して探し始めた。ケルベロス①「ふんふんふん・・・、さっきからずっと匂ってたけど分かるか?」ケルベロス②「この火薬臭い匂いだろ、お前も感じるか。」プニ「匂いなんて全然しねぇぞ、どっからだよ。」 ケルベロス達の案内で全員が競馬場内のコインロッカーへと向かって行った。南口にあるロッカーの45番、微かにだが確かにカチカチと音がしている。ケルベロス②「これ、開けれるか?」光明「任せろ、こういうのは得意だからな。」プニ「よっ、先生。待ってました。

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」63

    -63 レースの裏で- レースは70周目に入ろうとしている、トップは未だキュルアが乗る⑨番車。他のチーム車両がピットストップを行っていく中でも彼は依然として行おうとしなかったので差がどんどんとついて行く、ピットスタッフに至っては交代で仮眠を取り出す始末だ。 そんな中、レースコースの周辺を3国の警察が協力して警備を行っていた。ネフェテルサ王国では林田警部が指揮を執り、息子で警部補の利通や刑事のノームこと、冒険者ギルドの受付嬢を兼任するエルフのドーラが参加していた。 コースの一部が併設されている競馬場にパトカーや覆面パトカーを止め警備本部のテントを設置して、林田警部がそこで街中の定点カメラ等の映像とにらめっこしていると1人の巡査が緊張で震えながら近づいて来た。手袋をした右手で1通の手紙を持っている。巡査「警部・・・、あの・・・、よろしいですか?」林田「ど・・・、どうした?顔が蒼ざめているぞ。」巡査「実はと申しますと、警部が乗って来られている覆面パトカーのミラーにこれが・・・。」 巡査から手紙を受け取るとゆっくりと開けて黙読した、切り貼りで作られた脅迫状で、こう書かれていた。-3国のレースコース周辺の各所とネフェテルサ王国にある貝塚学園小分校、そしてバルファイ王国の貝塚学園高等魔学校に爆弾を仕掛けた。最下位がゴールした瞬間に爆発する様に設定してある、解除して欲しければ現金1兆円用意しろ。またこの脅迫状を受けてレースを中止したり、爆弾の事を外部に漏らしたりすると即爆発のスイッチを押す。-林田「爆弾か・・・、しかも3国とはまた面倒な・・・。それにしても貝塚学園か、久々に聞く名前だな。確かネフェテルサの孤児院とバルファイ王国の魔学校がそこに当たると言っていたな。確か転生してくる数年前だったか・・・、あっちの世界で贈収賄の疑いで貝塚財閥の前社長が逮捕される直前に色んな作戦を経て最終的に全権を奪った今の社長夫婦がこっちの世界に転生した時に当時ボロボロになっていた2校を立て直したものらしい。前社長が理事長を務めた貝塚学園高校での独裁政治ぶりが露わになったが故に評判の落ちた学園や財閥を立て直すべく、今の社長が筆頭株主と協力して積極的な教育支援を行い今となってはあっちでもこっちでも文武両道の良好な学園となっていると聞く。確か・・・、貝塚財閥社長兼学園理事長の名前は・・

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   3. 「異世界ほのぼの日記」62

    -62 寡黙なドライバーの過去- レースは50周目に差し掛かろうとしていた、依然トップは⑨番車で車を操る寡黙なドライバーはまだまだペースを上げて最速ラップタイムを更新していった。数年もの間、続いて来たレースだがここまでの記録が出たのは初めてだと言う。⑨監督「おいおい、疲れて来てないか?そろそろピットに入って交代していいんだぞ。」⑨ドライバー「まだ・・・、行ける・・・。と言うか、行きたい・・・。」⑨監督「そうか・・・、お前が良いなら良いが、無理だけはするなよ?」⑨ドライバー「ああ・・・、感謝する・・・。」カバーサ「未だに記録が更新されていきますが、それに連れドライバーさんもがどんどん寡黙になっていきます。」 コースのコツを掴んだのか、彼にとったら現在このレースはただのドライブ感覚となっていた。彼はフルフェイスの顔部分を上げ、傍らに置いていた煙草を燻らせ始めた。⑨監督「お前、このチームに来て今年で3年目だったはずだが大分貫禄が出て来たな。まさかレース中に煙草を吸う程の余裕まであるとは。」⑨ドライバー「ふぅー・・・(煙草)、駄目か?」⑨監督「駄目とは・・・、言わないけどさ。タイヤは平気か?」 ドライバーはタコメーター横のパラメーターにチラリと目をやった。⑨ドライバー「まだ・・・、走れる・・・。すまんが、一人にしてくれ。」⑨監督「ああ・・・、いつでも交代するから言えよ?」⑨ドライバー「分かった・・・。」 ドライバーは短くなった煙草を灰皿に捨てると新たにもう1本煙草を燻らせ始め、1人思い出に更け始めた。カバーサが実況席を通し彼の回想を音声に変えて観客全員に行き渡らせ始めた、ドライバーは気付いてないらしい・・・。⑨ドライバー(回想)「そうか・・・、俺もこのチームに入ってもう3年目か。あの頃の俺はこうやって走っているだなんて想像も付かなかっただろうな。確か異動は急な話だったはず、前は営業3課にいたはずだな・・・。ホント・・・、課長がうるさかったな。一応・・・、このチームがあるから会社に入ったんだが・・・。」課長(回想)「キュルア(⑨ドライバー)!お前は相変わらず役に立たん奴だな!お前だけだぞ、この3課でノルマを達成出来ていないのはよ!何もしない癖に椅子にドカッと座って飯だけはいっちょ前に食いやがってよ、次の異動とボーナスを楽しみにしているんだな

Galugarin at basahin ang magagandang nobela
Libreng basahin ang magagandang nobela sa GoodNovel app. I-download ang mga librong gusto mo at basahin kahit saan at anumang oras.
Libreng basahin ang mga aklat sa app
I-scan ang code para mabasa sa App
DMCA.com Protection Status