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3. 「異世界ほのぼの日記」⑬

Author: 佐行 院
last update Last Updated: 2025-01-28 14:14:26

-⑬無知からの脱却-

 隣国の王が共通で言っていた『一刻を争う』問題とは何なのだろうか、正直恥ずかしくて聞く勇気がない。周りを見ると国の街の全員が知っているみたいで光にとってはむしろこの事が一刻を争う問題となっていた、パン屋で仕事している時もミーシャとラリーが深刻な表情で話し合っていたので自分も早くニュースを見える環境にしなくてはと仕事が終わると一目散に家路を急いだ。因みに今日は半休だ。

 家に帰るとすぐにテレビの電源を入れた、相変わらず日本のテレビ放送が流れている。光はこの世界のテレビ放送を見る為にチャンネルを再登録する事にした。

光「えっと・・・、放送スキャンは・・・、これか。」

 家電の操作や設定は得意な方で自分一人でやってのけてしまう事が多く、今回はその特技が生かされ助かった。

 放送スキャンをやり直しても何故か日本の放送が受信されるようになっている、ただ数チャンネルほど追加されていてそれがこの世界のテレビ放送だとすぐに理解できた。見える放送局の選択肢が多いので助かる、神様のお陰だなと笑みを浮かべた。

 そうこうしているうちにニュースの時間となったみたいだ。

キャスター「こんにちは、この時間のニュースをお知らせいたします。」

 最初は隣国の王がこの国を会合の為に訪問している事だった。映像もはっきりと残されているが撮影クルーっぽい集団は見かけなかった。まぁ、たまたまだろうと光は受け流した。

 次は雨不足で野菜の不足が目立ち、市場価格が高騰傾向にあると報じられていた。確かに市場で見かけた野菜は日本にいた時より少し高かった気がする、家庭菜園を始めて正解だ。後で野菜たちの様子を水やりがてら見に行ってみよう。

 最後に隣国と共通して起こっている問題なのだが最近町はずれの山々で走り屋による騒音問題があるらしい。そう言えばネスタと銭湯に行った時道路にタイヤ痕が数か所あったような・・・、ただこの辺りの人たちは農耕用の軽トラに乗っている人達がほとんどで乗用車はちらほらとしか見かけず、走り屋仕様の車は全く見かけない。別の街からわざわざ走りに来ているのだろうか、暇な人もいるんだなと光はコーヒーを啜った。きっと国王同士が会合で話し合っているのはこの事なのだろうと思っていた時、インターホンが鳴った。玄関を開けるとそこには警官らしき男性が2名立っていた。光に罪を犯した覚えはない。

 
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    -120 潜入開始- 犯人グループの車が入って行った洞窟の入り口で渚にはどうしても気になる事が1点、ただ目の前にいる2人の鳥獣人族は何食わぬ表情を見せている。渚「何でここに王宮の軍人さんがいるんだい?」プニ「王宮と警察が連携しているから当然の事だろ、どっちかと言えば渚さんがここにいる事の方が不自然だぜ。」 確かに渚はこの世界では「ただの拉麵屋台の店主」、しかし今日を境に「(走り屋)」と言う言葉が追加された様だが。渚「もしかしてさっきからあんたが電話していたのはこの人だったのかい?確かこの人もうちの常連さんだったね。」 王国軍、それも軍隊長の制服を着た鳥獣人族は汗を拭いながら丁寧に話した。軍人「いつもお世話になってます、昔から性格の悪い妹といつも呑み明かしてすみません。」プニ「一言余計だぞ、ムカリト兄。」渚「あんたら兄妹だったのかい、驚くほど全く似てないねぇ・・・。」ムカリト「何処にいても相変わらずですね、女将さん。」渚「「お姉さん」だろ、どうやらあんたには教育が必要らしいね。」 プニとは種族が違うが同じ上級の鳥獣人族であるバルタンの兄、ムカリトは妹からの強めの肘鉄と渚からのビンタを喰らい痛がっていた。 一先ず3人は暗い洞窟に潜入を試みる、足音等がしない様に静かに行動した。先程入って行った犯人グループの車のテールランプやヘッドライトらしき光は全くもって見えない。 奥へと歩を進めていくと洞窟の道は二手に分かれていた、王国軍の軍隊長は1人で、そして渚と警部は2人で奥へと進んでいく。 さり気なく渚がムカリトに『念話』を『付与』する、これで何があっても安心なのだがバルタンは気付いていないようだ。ムカリト「あの・・・、どうされました?」渚「いや、気にしないでおくれ。早く車を探しに行こう。」 歩を進めていくが未だに先程の怪しい車は見えない、「車」という言葉を聞いたプニは不意にとある事を考えた。今思えば洞窟の出入口を渚のエボⅢが塞いでいる、犯人グループを逃がさない様にとの配慮らしいが。プニ「渚さん・・・、車壊されねぇかな・・・。」渚「大丈夫大丈夫、あいつ『加護』付きだから。」 実は少し前に「一柱の神」セリー・ラルーに「辛辛焼きそば」の作り方を教えた事があったのだが、そのお礼にと渚自身とエボⅢに各々『加護』を付けてくれていたのだ。多分「交通

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    -116 屋台が繋いだ友情- 熱感知センサーを搭載した新型小型カメラのサンプルを見たダンラルタ国王は、カメラをじっくりと見た後に質問した。デカルト「これって、住民の方々にも感知してしまいますよね?」光明「王宮や冒険者ギルド、そして商人兼商業者ギルドに顔写真付きでの住民票データの登録がある方々は熱感知しても非常アラートが鳴らない仕様になっています。また国王様にもご協力をお願いすると思われますが、登録ができていない方々でも安心して新しくご登録して頂けるシステムを当社で作成しています。登録がされていない方々が熱感知されると王宮にある監視室でアラームが鳴るようになりますが、特に犯人からの警戒を避ける為にカメラは何も反応していない様に見える形を取っています。また、そこら中にカメラがあると住民の方々に安心してお過ごし頂けませんので可能な限り本体等を小さくして現在の物みたいに隠す様にする予定です。」デカルト「それは頼もしい、すぐに作業に取り掛かって下さい!!予算は全額王宮から出させて頂きます、この国をお救い下さい!!」 国王は涙ながらに結愛と光明に握手を求めた、2人は確信を持ってデカルトに応えた。 それと同刻、国王の自室から数部屋離れた大臣室に1本の電話が入った。ロラーシュ「もしもし、大臣室ですが?」男性(電話)「おお、繋がった繋がった!!ロラちゃん、わいやわい!!ブロキントや!!」ロラーシュ「ブロちゃん、そんな慌ててどうした?」 ロラーシュ大臣とミスリル鉱石の採掘場のリーダーであるゴブリン・キングのブロキントは、大臣の「つまみ食い事件」をきっかけに一緒に呑み程の仲になっていた。 突然の事だが時は数年ほど前に遡る、ロラーシュが「つまみ食い事件」を起こしデカルトと共に採掘場のゴブリン達に謝罪してからしばらく経った暑い日の夕方の事だった。 半年の減俸と長い有給休暇を終えたロラーシュは個人的に謝罪へと向かった、本人曰く多大な迷惑を掛けた自分が本当に許せなかったという。現在はナルリス特製の「あのハンバーグ」とごくたまに貰っている端材を食べているので何とか我慢出来ている様だ。 さて話を戻そう、謝罪を終えその場を後にしようとした大臣をブロキントが引き止めて言った言葉がロラーシュにはとても嬉しく、心に響いたという。ブロキント(回想)「大臣はん、わいはずっとこの採掘

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