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第23話

著者: 杏田優
last update 最終更新日: 2024-12-25 11:16:38
誠司がどれほどショックを受けたのか、帰宅後に病気になってしまった。

もう彼の騒動を見ることはなかった。

私は亮一と結婚式の準備を進めるため、忙しさに追われていた。

その日、結婚式の企画書をチェックしていた私のところに、誰かが訪れた。

水無月綾香は、私を見ると再び膝をつき、涙を流しながら泣き始めた。

「白川さん、お願いですから誠司を見に行ってください!」

私は体を横にして避け、水無月綾香の手が私のスカートを掴む寸前だった。

「誠司は重い病気で、全く目を覚ましません。夢の中でずっと白川さんの名前を呼んでいます」

「白川さんがお見舞いに来てくれれば、もしかしたら誠司が目を覚ますかもしれません!」

水無月綾香の声が聞こえるなんて、滅多にないことだ。

私は上から目線で彼女を見下ろし、無視しようと思った。

「白川さん、誠司とは幼馴染でしょう?ぜひ行ってあげてください!」

彼女は再び泣きながら叫んだ。

「私が身の程知らずでした……

白川さんが承諾してくだされば、私は身を引きます!

お願いします!」

私が眉をひそめたその時、隣から冷たい声が聞こえた。「誰が入っていいって言ったんだ?ここは誰でも入れる場所じゃないんだぞ?」

ああ、誠司を「犬」と呼んでから、沙織の口調がますます無礼になってきた。

「警備員!この人を追い出して!」

水無月綾香は別荘から追い出され、それ以来二度と中に入ることはなかった。

本来は些細なことだったが、彼女の言葉を繰り返し考えているうちに、何か引っかかりを感じ始めた。

誠司が病気の時、私の名前を呼んだ?

彼が私にそんなに深い感情を抱いているわけがない。

それに、前回彼が私と結婚する夢を見たと言っていた。

まさか彼も生まれ変わったのだろうか……

私が生まれ変わった時点で不自然だが、何も不可能ではない。

でも、もし彼が本当に前世を覚えているなら、私の三手目はどう進めるべきだろう?
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