第5話

彼は慌てて看護師に姫野静を押し出させた。

そして、私を誤魔化し始めた。

「ベイビー、静は刺激を受けておかしなことを言ってるだけだよ！」

だって、医者が回復できるって言ってたのに、まさか毛が生えて腐って、最終的には切断しなきゃいけないほどひどくなるなんて！」

言った後、再び私をじっと見て、検討するように言った。

「ベイビー、二週間ぶりに会ったけど、ちょっと変わった気がする」

私は深く息を吸って言った。

「ええ、なぜか髪がどんどん白くなって、体力もなくなってきて。だからジムに行こうと思ったんだ」

そう言うと、姫野文智の顔にあった疑念はすぐに消えた。

嬉しそうに笑顔を隠せなくて、急いで言った。

「本当に？」

すると、私はウィッグを外し、数日前に染めたグレー系髪色を見せた。

姫野文智は思わず口を開けた。

「よかった！それで、宝くじの話はどうなった？」

もしかして自分の反応が変だと思ったのか、軽く咳払いをして言い直した。

「ベイビー、違うんだ、ジムに行くようになってよかったって話だったよ。でも、宝くじはどうだったの？当選金は？」

私はスマホを取り出して、事前にダウンロードしておいたアプリを開いた。

「ほら、十万円」

「な、なんだって、十万円だけ？」

姫野文智は目を疑って、スマホを奪い取って、最近の当選番号を必死に検索し始めた。

それから、三十分が経過した。

彼の声は涙声に近くなっていた。

「宝くじに使ったお金、十万以上だよ......」

それから、私を見つめて尋ねた。

「誕生日の夜、本当に百億円が当たるように願ったの？」

実は、私はその夜、実際に願ったわけではなかった。

でも、それは問題じゃない。

「もちろん、口だけの話だよ。こんな夢みたいなこと、誰でも言えるよね」

姫野文智は私の白髪を一瞥した。

まるで安心したように言った。

「まあいいや、確かもう一枚宝くじがあと二日で抽選されるから、百億円はそこで当たるかもしれないね」

そう言って、宝くじを慎重にしまった。

「ベイビー、百億円が当たったら、俺は豪華な車と別荘を買って、静の足も治るし......」

まるで救い主のように私を見つめていた。

私は心の中で冷笑した。

きっと失望させてやる。

前世、突然辞職したが、今回では翌日友人の会社に行って、ちゃんと退職手続