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第474話 百周年記念。

 「違う……」紀美子は言った。

「どうして違うの?」佳世子が言った。「自分が解雇したボディーガードを使って悟に手を出すなんて、責任逃れの手段としては最適じゃない?」

紀美子は眉間を押さえた。「佳世子、晋太郎の人柄からして、そんな陰険なことをするような男ではないよ。

それに、彼は最近忙しそうで、とても疲れているみたいだし」

「彼に直接会って話したの?」佳世子は尋ねた。

「そうよ」紀美子は率直に言った。「松沢さんの件も、冷静に考えてみると、晋太郎がやったとは思えない」

「そういえば、この件について私もこの二日間考えていたの。

晋太郎が医療チームに大金を払って、わざと手術を失敗させるなんて、本当に筋が通らないわね。

もし彼が本当に誰かを傷つけたいのなら、別の病院で松沢さんが事故に遭ったほうが、彼自身にとっても面倒なことにならないし、あなたに疑われることもなかったでしょう」佳世子は言った。

「そう、私があまりにも感情的だった。さっき彼に謝ったよ」紀美子は言った。

「私の可愛い紀美子、間違いに気づいたらすぐに謝る、その態度が大好きよ!」佳世子が笑った。「その加藤祐介って人ね?この件、私が調べてみるわ。調べがついたら教えるわ」

「ありがとう」

「何を言ってるの!悟はどうだったの?」

「大したことはないわ」

「それならよかった」

……

30分後、紀美子は病院に戻った。

悟はすでに目を覚ましており、警察がそばに座って事情聴取をしていた。

紀美子が入ると、悟は申し訳なさそうな表情を浮かべた。彼は警察に言った。「これで大丈夫ですか?」

警察は立ち上がった。「はい、大丈夫です。お大事にしてください。今後何かありましたら、またご連絡します」

「ありがとうございます。ご苦労様でした」

「これが私達の仕事ですから、当然のことです」

警察との話が終わると、紀美子は彼を病室から見送った後、再び戻った。

悟は紀美子を見つめた。「ごめんな、紀美子」

紀美子は悟のベッドのそばに座った。「そんなこと言わないで、誰だってこんなことは予想できなかったんだから。体調はどう?少しは楽になった?」

悟はかすかに笑みを浮かべた。「大丈夫、脳震盪だけで、運がよかったよ」

紀美子は彼を睨んだ。「そんな冗談言ってる場合じゃないわ!現場を見たとき、どれだけ怖かったか……」

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