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第7話

著者: 赤くない柿
last update 最終更新日: 2024-12-17 10:39:42
娘が刑務所に入った後、田村美蘭良から何度も電話がかかってきた。

彼女の怪我は想像以上に深刻だった。

骨折だけでなく、神経も傷ついており、要するに彼女はもう一生立ち上がることはできなかった。

電話の中で田村美蘭良は私に叫んだ。

「もしあんたの娘がいなければ、私がこんな目に遭うことはなかった!」

私は冷たく答えた。

「和愛はもう代償を払ったわ。刑務所に入ってるし、それに、これはあんたたち二人の問題で、私には関係ない」

「あなたは和愛の母親でしょう!私の面倒を見る義務があるのよ!今、お金もなく、誰も世話してくれないから、あなたは私を一生養うべきだわ!」

娘の強気な理屈、誰に似たのだろうかと、やっと気づいた。

「あなたを養うなんて無理だよ。どうしてもというなら、訴えてみなさい」

そう言って、電話を切り、彼女の番号をブロックした。

私に連絡できなくなった田村美蘭良は、警察に通報した。

すべての話を聞いた後、尋ねてきた警察も呆れた顔をしていた。

その後、警察が田村美蘭良に何を言ったのか、彼女はそれ以降私に何も言ってこなくなった。

三年の時があっという間に過ぎた。

出所した娘がまた私を見つけに来るんじゃないかと心配になって、家を売り、高級な老人ホームに引っ越した。

ここはセキュリティがしっかりしていて、面会には事前予約が必要だった。

その日、介護スタッフが私に言った。

「入口に田村和愛という女性が来てます。中川さんの娘だそうです」

私は言った。

「娘なんていません」

スタッフが娘を追い出した翌日、娘は再びやってきた。

今度は警察を連れてきて、「老人ホームが母さんを監禁してる」と主張していた。

事態が大きくなり、仕方なく彼女と一度会うことになった。

娘は私に育てられ、何不自由なく育った。

家の状況は決して良くはなかったが、私はできる限りのことをしてきた。

医者になった娘は、患者にはとても優しく、常に優秀な勤務成績を残していた。

しかし、刑務所に入った娘はまるで別人のように変わってしまった

目には以前のような清らかさを失い、どこかぼんやりとしていた。

痩せ細った姿から、刑務所でどれだけ辛い思いをしたのかが伝わってきた。

私を見ると、彼女は「お母さん」と呼びかけてきた。

私は無言で返事をした。

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