Share

第44話 魔法を求めて再びロンデールへ

Penulis: 黒蓬
last update Terakhir Diperbarui: 2025-04-04 06:00:46

「時間もあるし、とりあえず私の部屋に戻りましょ」

とミアが自分の部屋へ案内してくれた。

「改めて、皆ありがとうね。お蔭で私もお父様も無事で事態を解決することができたわ」

「上手くいったみたいで良かったよ」

「本当に。あの夜は気になってあまり眠れませんでした」

『ミアは少し危なかったけどね。兵士さんが駆けつけてくれて良かったわ』

ロシェの発言に俺とカサネさんは驚いた。ミアは少しばつが悪そうにしている。

俺達は二人からあの夜何があったのかを聞いた。

「攫われる一歩手前じゃないか。ロシェに頼んで正解だったな」

「えぇ。対策はしたつもりだったけど、あの人数は想定外だったわ」

「それにしてもミアも魔法が使えたんだな。この前の道中では見なかったけど」

「なるべく知られたくなかったからね。本当にいざという時以外は使わない様にしていたの」

そういうミアは少し申し訳なさそうにしていた。あの時のミアは依頼人みたいなものだったし、護衛も居たのだから彼女が謝る理由はないのだが。

「別に気にする必要はないさ。あの時ミアは護衛対象だったしな。それに予想通り大事なところでそれが役に立ったんだから正解だったわけだ」

「ありがとう。それにしても本当に何も褒美を貰わなくて良かったの?あんな計画を阻止した功労者なんだから、ある程度のことなら通ったと思うわよ?」

ミアは勿体ないという顔でこちらを見ていたが、二人とも特に欲しいものもなかったからあの回答で正解だろう。

「あぁ、俺は偶々あいつらの話を聞けただけで、襲撃時には何の役にも立ってなかったしな」

「私はついて行って話を聞いてたくらいでしたからなおさらですね」

「聞きそびれていたけど、ロシェは良かったか?もし何かあれば今からでも頼んでみるが」

『特にないわ。もしあるならあの時に言ったわよ』

「そうか。なら問題ないな」

俺達は納得したのだが、助けられた側のミアとしては何か納得しづらいようだ。

何かいい案はないかと首を捻っている。

「う~ん。じゃぁ私個人に対して

Lanjutkan membaca buku ini secara gratis
Pindai kode untuk mengunduh Aplikasi
Bab Terkunci

Bab terkait

  • 人生の続きは異世界で~交換スキルの代償は金銭NG!?~   第45話 貧民街の兄妹1

    数日の旅路を越えて再びロンデールの街に戻ってきた。「思えばここからミアを連れて行ったんだよな。あの時はあんな大事に巻き込まれるなんて思いもしなかったけど」 「最後には王国の危機を救う手助けになっちゃいましたね」隣でカサネさんがくすくす笑っている。 笑いごとで済んで良かったよ。もし失敗してたら大惨事だったもんな。。「ハロルドさんにもあいさつに行かないとなぁ。とはいえ、まずは彼らの様子を見に行くか。カサネさんはどうする?」 「宜しければご一緒して良いですか?お話を聞いてたから私も妹さんのこと気になります」 「じゃ、一緒に行こうか。ロシェも・・・あっ!あ~ロシェは少し散歩でもしてきてくれるか?実はその子、喘息っていう病気でな。動物の毛とかで病状が悪化する可能性があるんだ」 『そういうことなら仕方ないわね。私はどこかで適当に休んでおくわ』 「悪いな」ということで、カサネさんと二人の家に向かうことになった。 コウタの家に到着し、扉をノックする。「は~い」中から女の子の声が返ってきた。コヨネちゃんのようだが随分元気そうだな。 少しすると扉を開けてコヨネが姿を見せた。「どちらさまで・・・あれ?もしかしてアキツグさん?アキツグさん!お久しぶりです。見て下さい、アキツグさんから頂いたお薬のおかげで私動けるようになりました!こ、こほっ」俺に気づいたコヨネちゃんが嬉しそうに現状を伝えてくれた。勢いが過ぎてまた咳が出てしまったようだが。「あぁ、元気そうで安心したよ。そんなに慌てなくても良いから。コウタは外出中か?」 「はい。お兄ちゃんはお仕事に行ってます。アキツグさんが旅に出たあと少しして、工場の下働きとして働かせて貰えるようになったんです。っと、すみません。もう一人いらしたんですね。初めまして、私コヨネっています」 「初めまして、私はカサネです。アキツグさんとはヒシナリ港で会ってね。それから同行させて貰っているんです」 「わぁ!ヒシナリ港って海があるところですよね?私見たことないんです。いいなぁ。あ、すみません

    Terakhir Diperbarui : 2025-04-05
  • 人生の続きは異世界で~交換スキルの代償は金銭NG!?~   第46話 貧民街の兄妹2

    その後、最近の様子などをコヨネから聞いていると、入口の扉が開いた。「ただいま~っと、あれ?お客さんか?・・・あ!アキツグさんじゃないか。戻ってきたんだ!」 「コウタ、久しぶりだな。元気そうで何よりだ」 「そうなんだ。コヨネがすっかり元気になってさ!全部アキツグさんのおかげだよ!」コウタは俺に気づくと、嬉しそうに俺に礼を言ってきた。「いや、二人が頑張ったからだよ。俺はちょっと手伝っただけさ。でも、今コヨネちゃんにも言ったけど、完治できるかはこれからに掛かってるからな。油断せずにこれからも気を付けるんだぞ」 「うん。うん。アキツグさんの言いつけを守って頑張るよ。そうだ!聞いてくれよ。俺、工場で働かせて貰えるようになったんだ。まだまだ下働きだけど、親方も頑張ってるって褒めてくれてさ!」コウタも初めて会った頃と違ってすっかり明るくなったようだ。 約束通り盗みも止めていたし、働き口も見つかったようで安心した。 これなら、コヨネちゃんも良くなっていくだろう。「あぁ、コヨネちゃんからも聞いたよ。頑張ってるみたいだな。二人が元気になって俺も嬉しいよ」 「お兄ちゃん、気持ちは分かるけどカサネさんにもちゃんと挨拶して」コヨネちゃんがそう言うと、コウタはそこで初めてカサネが居たことに気づいたようで、慌てて謝った。「あ、ご、ごめんなさい。俺、コウタって言います。コヨネの兄です」 「初めましてコウタ君。私はカサネです。気にしなくても大丈夫ですよ。ふふっ、二人とも本当にアキツグさんのことが好きなんですね」楽しそうにカサネが笑った。 コウタが恥ずかしそうにしながらも返事をする。「アキツグさんは俺達の恩人だから。俺はアキツグさんに悪いことをしたのに、話を聞いて妹の治療までしてくれたんだ。いくら感謝してもし足りないくらいだよ」 「誰にだって魔がさすことはある。コウタの場合は妹のためって理由もあったしな。今はちゃんと反省して働いているんだし、そう気に病むことはないさ」 「ありがとう。もうあんなことはしないよ。約束したしな」

    Terakhir Diperbarui : 2025-04-06
  • 人生の続きは異世界で~交換スキルの代償は金銭NG!?~   第47話 タミルの過去

    話にも一区切りつき、二人の元気な様子も確認できた。 まだ行くところもあったため、今日はそろそろお暇することにした。「カサネお姉ちゃん、絶対また来てね」 「えぇ。コヨネちゃんも元気でね」いつの間にやらコヨネはカサネさんのことをお姉ちゃんと呼んでいた。 カサネさんも満更ではない様で嬉しそうにしつつも別れの挨拶をしていた。「コウタ、もういくつか薬渡しておくな。まだ働き始めだから大変だろうけど、頑張れよ」 「あ、ありがとう。実は言い出しにくかったんだ。もう少しすれば薬を買う余裕もできると思うから頑張るよ。いつか絶対にこの恩は返すから」 「期待して待ってるよ。今は自分達のことを第一に考えればいい」そうして二人と別れを告げると、次は商業区にあるハロルドさんのお店に向かった。 店に入り店員さんにハロルドさんを呼んでもらうと、少ししてハロルドさんがやってきた。「おぉ!アキツグさん、ギルドから聞いてはいましたがよくご無事で。また再会できて嬉しいです」 「ハロルドさん、お久しぶりです。色々ありましたが何とか戻ってこれました」 「こんなところで立ち話もなんですから、とりあえずこちらへどうぞ」そう言って、部屋に案内された。「そちらの方は初めましてですな。私は商人のハロルドと申します。以後よろしくお願いいたします」 「初めまして、私はカサネです。よろしくお願いします」 「それにしても綺麗な方ですな。もしやアキツグさんの恋人ですかな?」 「いやいや、違いますって。途中で一緒になった旅の仲間です」なんだ?この街の人は色恋沙汰が好きな傾向でもあるのか? 今日二度も聞かれたためか、カサネさんも心なしか恥ずかしそうにしているし。「これは失礼を。お似合いのお二人だと思ったもので思わず聞いてしまいました。 それで本日は何か御用事がおありで?」 「いえ、ちょっとした用事でこちらまで戻ってきたので、ご報告も兼ねてご挨拶をと思いまして」 「なるほど。確かにあの後色々あったみたいですからな

    Terakhir Diperbarui : 2025-04-07
  • 人生の続きは異世界で~交換スキルの代償は金銭NG!?~   第48話 夜の調べとタミルの様子

    話を聞いている内に日も暮れてきたため、タミルさんのところへは明日向かうことにして、今晩は宿屋『夜の調べ』で休むことにした。「いらっしゃいませ。あら?あなたはアキツグさん?」 「リリアさん、お久しぶりです。2部屋開いてますか?」 「えぇ、空いてますよ。お連れさんがいらっしゃるんですね」 「はい。またお世話になります」 「カサネです。よろしくお願いします」 「ご丁寧にどうも。私はこの宿屋の亭主でリリアです。こちらこそよろしくお願いしますね」カサネさんの挨拶に丁寧に返しながら、リリアさんはちらっとこちらを見たが、特に何か言うこともなく部屋に案内された。やっぱり誤解されている?ある意味はっきり聞かれたほうが否定できて楽かもしれなかった。 部屋に荷物を置き、夕食を頂くことにした。「明日はタミルさんに会いに行くんですよね?」 「そうだな。折角ここまで来たんだし、何もせずに諦めるっていうのもな」俺もカサネさんも難しい顔をしていた。あんな話を聞いた後では無理もないだろう。 と、そこでリリアさんが壇上に上がり歌い始めた。「綺麗な歌声ですね」 「あぁ、久しぶりに聞くけどやっぱり彼女の歌声は癒されるな」先ほどまでの雰囲気が嘘のように穏やかな気持ちで彼女の歌に聞き惚れていた。 食事を終えて部屋に戻るとロシェが部屋で丸くなって休んでいた。「ロシェおかえり。今日は悪かったな」 『ただいま。というか、この状況でお帰りは私のセリフの様な気がするけど』 「ははっ。そうかもな。ただいま」 『それで、会いに行った兄妹はどうだったの?』 「あぁ、すっかり元気になっていたよ。コウタの方も働き口を見つけたみたいでな・・・」と、ロシェに今日あったことを話した。『良かったじゃない。これで一つアキツグの心配の種も減ったわけね』 「そうだな。あの様子ならあの子たちは大丈夫だろう。俺なんかよりずっとしっかりしてるしな」実際あの歳なら遊びたい盛りだろうに、親もなく二人で生活している

    Terakhir Diperbarui : 2025-04-08
  • 人生の続きは異世界で~交換スキルの代償は金銭NG!?~   第49話 タミルとの対話

    次の日、コウタから聞いていたクロックド商店のクレル茶葉を購入してから、ロシェの案内で南の森の小屋に向かった。『あそこよ。気配はあるから家の中にいるようね』 「そうか。ありがとう」ロシェに礼を言って、扉をノックしてみる。 扉の中からは少しの間反応がなかったが、その後確認するかのように扉が開かれた。「誰だ?こんな森の中に態々知らない人間が来るなんて」出てきたのは20代くらいの青年だった。この人がタミルさんか。「初めまして。俺は商人のアキツグです」 「私はカサネです」 「タミルだ。やはりどっちも聞いたことないな。何の用だ?」タミルさんは訝しげに聞いてくる。 俺はミアから渡された封筒をタミルさんに差し出しながら答える。「ミアからの紹介で、少しお話をさせて頂きたくて伺いました」 「ミア?・・・これは!?ミアってまさかエルミア様のことか!?」俺は敢えて正式名称で呼ばないようにしたのだが、タミルさんは手紙を見るや驚いて大声で聞いてきた。そのあと自分の声に気づいて慌てて口を閉じる。「すみません。驚かせるつもりはなかったのですが、そうです。ミアとはとある事件で知り合って、今は大事な友人です」 「この国の王女を友人って・・・あんた変わってるな。まぁだからこそエルミア様がこんな手紙を渡したんだろうが。分かった。とりあえず話は聞こう」そう言って、タミルさんは俺達を中へ招いてくれた。 招き入れる時、ロシェを見て少し表情を緩ませたように見えた。 そして、調理場と思われるところでポッドでお湯を沸かし始めた。「あ、これ。良ければ使ってください。」ちょうど良いタイミングだったので、俺は手土産に持ってきた茶葉を差し出した。「あぁ、悪いな。ん?これは、あの店のクレル茶葉じゃないか。良いセンスしてるな。それとも態々俺の好みでも誰かから聞いたのか?」 「えぇ、偶々知り合いから」 「へぇ。まぁ隠してるわけでもないし、別にいいけどな」先ほどより少し機嫌がよ

    Terakhir Diperbarui : 2025-04-09
  • 人生の続きは異世界で~交換スキルの代償は金銭NG!?~   第50話 脅迫

    タミルさんとの交渉が失敗に終わり、俺達は一旦街まで戻ってきた。 宿屋の食堂で昼食を取りながらこの後どうするかを考える。「ミアには報告の手紙でも出すとして、このあとどうしようか?」 「う~ん。私も冒険者ギルドで依頼を受けながら何となく旅をしていた感じなので特に目的地っていうものはないんですよね」カサネさんが少し困った様子でそう答える。 俺も同じようなものなんだよな。そういうほどこの世界に来て年月は経ってないが。 俺はミアから貰った大陸地図を広げながら、近場の村の一つを指さす。「そうだな。近場だとハイン村があって、大きな牧場をやっているらしい。ホワイトブルやフラワーシープって動物の牧畜をやってて、その肉やミルクと体毛が特産品みたいだな。肉は一度食べたことがあるけど、本当に美味しかったぞ。体毛は貴族のドレスなどの材料になるらしいな」 「牧場ですか。あまり見る機会はないので、行ってみるのも良さそうですね」次に大陸の北と南にある街を指した。「このマグザとパーセルにはどちらも魔法学園があるらしい。魔法のことを調べるならこのどちらかに行ってみるのも良いかもな。魔法嫌いな人間は居なさそうだけど」 「魔法学園ですか。どんなことを教えてるのか気になりますね。私は殆ど独学でしたから」やはり魔法が好きなのだろう。その表情は生き生きしていた。 スキルがあるとはいえ、前の世界にはなかった魔法という存在を独学でここまで使いこなしている彼女はやっぱり才能があるのだろう。「急ぐたびでもないし、両方行ってみても良いかもな。俺も魔法には興味が出てきたし」 「使えるようになると良いんですけどね。なんだかすみません。。」 「いやいや謝らないでくれ。望まない人から無理に貰うつもりはないから」と、そんな話をしているところでリリアさんが一通の手紙を持ってきた。「アキツグさん、これ先ほど宿の外であなたに渡して欲しいと頼まれまして。中に居ますよって言ったんですが、急いでいるからと」 「手紙?誰からだろう?あ、ありがとうございます」 「いえい

    Terakhir Diperbarui : 2025-04-10
  • 人生の続きは異世界で~交換スキルの代償は金銭NG!?~   第51話 救援、そして決着

    「やめろーーー!!」言葉と同時、指向性だけを持たされた魔力の塊が黒ずくめの男に放たれた。「なっ?」また先ほどと同じような膜のようなものが男を守ろうとしていたが、タミルの魔力に耐えきれずにバリン!と割れる音を残して男を吹き飛ばした。「ぐっ!こ、こいつ魔導士だったのか。そんな素振りは全くなかったぞ」予想外のところから攻撃を受けた男は受け身も取れずに壁に叩きつけられていた。 よろよろと立ち上がろうとしている今なら俺でも取り押さえられるかもしれない。 俺は咄嗟に駆け出して男の両腕を押さえつけようとしたが、それに気づいた男が腕を振り回して俺の拘束から逃れた。「ちっ!不意を突かれたとはいえただの素人にやられたりはせん。それより逆らっていいのか?これ以上逆らえば、タミルだけでなくこのハイドキャットの命もないぞ」 「ぐっ!くそっ」やはり俺ではこういう時に何の役にも立たない。男はタミルの魔法を警戒して俺たち二人から視線を逸らさないままタミルに猿轡を噛ませようとしていた。「フリーズランス!」そこに突如第三者の声が乱入してきた。飛来した氷の槍は寸分違わず黒ずくめの男の右肩に突き刺さった。男はそのまま勢いに押され、タミルさんを放して地面に倒れこんだ。「ぐぁ!ま、また魔法だと、何なんだいったい」男はそれでも右肩を抑え立ち上がろうとしていたが、近づいてきた女が次の魔法を放つ方が早かった。「フリーズロック」床を這う氷の蔦が男の足に絡みつきそのまま男の下半身を氷漬けにする。「し、しまった!くっ、お前はもう一人の魔導士のほうか。俺に気づかれない様にあとから近づいてきたという訳か」男の言う通り、そこには魔法を放った張本人のカサネさんが立っていた。「アキツグさんとりあえず、その男を拘束してください」 「え?あ、あぁ分かった」展開に付いて行けず、とりあえず言われた通りに俺は男に近づこうとした。「失敗か。無念。ぐっ!」それに対して男は何かをかみ砕いたかと思

    Terakhir Diperbarui : 2025-04-11
  • 人生の続きは異世界で~交換スキルの代償は金銭NG!?~   第52話 ロシェッテの容態

    その後、街の医者に診て貰うことでロシェは一命を取り留めた。 やはりあの男が持っていた薬瓶の一つが解毒剤だったらしい。 毒を受けて時間がそれほど経っていなかったのもあり、1日休めば良くなるだろうと聞いて俺は胸をなでおろした。「よかった。本当に良かった」 『助けに入ったつもりが、助けられた上に心配かけちゃったわね。ごめんなさい』 「ロシェが謝ることなんて何もない。それにロシェが時間を稼いでくれなかったらカサネさんも間に合わなかったかもしれない」 『そう言って貰えたら助けに入った意味もあったわね。アキツグが森の方へ来るのに気づいたから何かと思って様子を見に近づいたのだけど、あんなことになってるなんてね』あの時、ロシェがあの場に居たのはそういうことだったのか。 突然のことで俺は言う通りに行動することしかできなかったがロシェとカサネさんがカバーしてくれたおかげで助かったわけだ。「あぁ、俺も宿の食堂で昼食を取っていたらいきなり手紙が届けられてな。何かと思ったら脅迫状であんなことになったんだ。あの時の生き残りが俺を狙うなんて思わなかったよ」 『どこで誰に恨まれるかなんて分からないものね。今回は原因があったわけだから、筋違いってわけではないけれど』そこまで話していたら、部屋の扉がばん!と音を立てて開かれた。 驚いて振り返ると、そこには走ってきたのか息を切らせてこちらを見るカサネさんが居た。「ロシェッテさん、大丈夫ですか!?」 「あ、あぁ時間が経ってなかったから明日にはよくなるって。やっぱりあいつが解毒剤を持っていたよ」 「そ、そうですか。よかったぁ」ほっとしたのか、カサネさんはその場で大きく深呼吸をしている。『カサネ、助けてくれて、そして今も心配してくれてありがとう。あなたが居なかったら危なかったわ』 「仲間を助けるのは当然のことです。ロシェッテさんが無事で本当に良かったです。こちらに来るまで気が気じゃなかったですから」落ち着いたのかカサネさんはロシェの隣まで来ると彼女の体を優しく撫でた。 ロシェも撫でられて

    Terakhir Diperbarui : 2025-04-12

Bab terbaru

  • 人生の続きは異世界で~交換スキルの代償は金銭NG!?~   第66話 ハイドキャットの生態調査依頼1

    魔法学園の学園長というだけありシディルさんの屋敷はかなり大きかった。「さて、話というのは先ほども言った通りそのハイドキャットのことなのじゃが・・・失礼な問いになるかもしれんが率直に聞こう。アキツグ君、その子をわしに譲る気はないかね?もちろん相応の対価を支払うつもりじゃ。わしなら大抵のものは用意できるぞ?」いきなりか。確かにハイドキャットが希少だというのは聞いているから、その可能性は考えていた。変に回りくどいことをされるよりは対応しやすい。 俺はちらっとロシェの方に視線を送る。すると『まさか応じるつもりじゃないでしょうね?』という怒気の篭った視線が返ってきた。いや、念のためにロシェの意思を確認しようと思っただけなんだが、意図を汲み取っては貰えなかったようだ。「申し訳ありませんが、ロシェは大切な仲間なので」 「そうか、残念じゃな。では代わりと言ってはなんじゃが、うちの孫と交換というのはどう<バシッ!>いたた、じょ、冗談じゃよクレア」 「笑えません!」シディルさんの発言に割と食い気味でクレアさんが突っ込みを入れていた。 確かに酷いことを言っていたが、クレアさんの突っ込みも割と容赦ないな。これは恐らくだが今回だけでなく普段からこういうやり取りをしていそうな気がする。「やれやれ、冗談はさておいてじゃな、そのハイドキャットの子を調べさせて欲しいのじゃよ。もちろん危害を加えるようなことはせんと約束しよう。わしの研究室で映像記録や魔力波を通しての生体情報の採取などをさせて欲しいのじゃ」 「なぜわざわざ俺達に?シディルさんなら俺達に頼らずともそれこそ他から連れて来て貰うこともできるのでは?」 「ふむ。お主はその子の価値を見誤っておるようじゃの。現在、わしの知る限りで世界にハイドキャットを人が使役している例は2人だけじゃ。もちろんその2人にも交渉は試みたのじゃが、断られてしまったのじゃ」世界中でたった二人!?確かに珍しいとは聞いていたが、そんなレベルとは完全に予想外だった。あの時クロヴさんは怪我したロシェを割と平然とした顔で連れて来ていたし、従魔登録を担当したギルド職員さんも驚いてはいたが平然を装って仕事はしていたので、普通に

  • 人生の続きは異世界で~交換スキルの代償は金銭NG!?~   第65話 魔法学園の学園長

    「初めましてじゃな。私はこの学園の学園長をしておるシディルじゃ。孫が世話になったようじゃの」今日は割り込みの多い日だなと思いつつ、俺達も三度目の自己紹介をする。「それで俺達に聞きたいことというのは?」 「うむ。お主達もここでは都合が悪かろうと思ってうちに誘ったのじゃ。聞きたいことというのはその子のことじゃよ」そう言ってシディルは何もない空間を指さした。いや、正確にはロシェが居る辺りを指さしている。 この人もロシェに気づいている?と思ったところでロシェの気配が右の方に移動したのが分かった。すると、シディルさんの指もそれを追うように動いていく。 やはり気づいている。ロシェも確認のために動いてくれたのだろう。 そうなると、話というのは何だろう?学園内にロシェを入れたのがまずいということはないと思う。他にも従魔を連れた客は居たのだ。姿を消していたことの注意とかなのだろうか。まぁ強制的に連行しようとしていないので敵意があるわけではないだろう。ここは素直に従ったほうが良いか。「分かりました。ご迷惑でなければお邪魔させて下さい」 「うむ。誤解なきように言うておくが、お主らを咎めたりするつもりはないのじゃ。単にわしの興味本心から招待しただけじゃから、そんなに警戒せんでくれ」・・・それならそうと最初に言って欲しかった。いや、まだ完全に信じて良いのかは判断できないけども。「ねぇ。その子って何のことなの?」 「わ、私も気になります!」と、そこでクレアとスフィリムの二人が何の話か分からないと質問してきた。 周りを見回してみると大会が終わったことで人もまばらになっている。 これならそんなに騒ぎになることもないか?「実は姿隠で隠れている従魔が居るんだ。今見せるから騒がないでくれよ。ロシェ姿を見せてくれるか」 『なんだか自信が無くなってくるわね。今まで例の獣以外には見つかったことなかったのに』そうぼやきつつロシェが姿を現した。俺やカサネさんが壁になってなるべく他の人に見えない様にはしたが、気づいたらしい一部の人が動揺した声を上げていた。「この子

  • 人生の続きは異世界で~交換スキルの代償は金銭NG!?~   第64話 驚異の全属性魔導士

    個人戦は一人でのパフォーマンスになるため、やはり複数属性を扱える学生が多かった。チーム戦ほどの派手さはなかったが、一人で複数の属性を操ってパフォーマンスを行う技量の高さはなかなか見ごたえがあった。 そうこうしているうちに例の彼女クレアの順番が回ってきた。「さぁ、最後は学園きっての天才魔導士の登場だーー!!」司会の男性がテンション高めにクレアの登場を告げる。(彼女そんなにすごい魔導士なのか・・・)呼ばれたクレアは何故か申し訳なさげにしながら登場して一礼してからパフォーマンスを開始した。 それを見た俺は彼女が天才と呼ばれたことに納得しつつも、さらに驚かされることになった。彼女は火・水・風・土・光・闇の6属性全てを使いこなしていたのだ。 火で円形のリングを作り、その周りに光と闇で影の観客席を作り、生み出した水から水のゴーレムを、地面からは土のゴーレムを作り出して、風が音声機の声を俺達の耳に届けた。 出来上がったのは影の観客たちが歓声を送る中、水と土のゴーレムがリングの中央で力比べをする舞台劇だった。「これを・・・一人で・・・?」 『確かに、これはレベルが違うわね。何故か本人は自信なさげにしているけど』カサネさんは同じ魔導士として驚嘆していた。それはそうだろう、彼女の4属性持ちでも希少だというのに、全属性を持つだけでなくこれだけ巧みに操っているのだから。 気になるのはロシェの言う通り本人の様子だった。ものすごいパフォーマンスをしているというのに当の本人は自信なさげというか申し訳なさそうにしているのだ。(もしかすると、この大会への出場は本人の意思ではなかったのかもしれないな)他の人達は殆どが舞台劇の方に目を奪われていて彼女の方は気にしていないようだ。劇は最終的に力で押された水のゴーレムが火のリングに足を踏み入れたところで足が蒸発してしまい、バランスを崩して場外負けという形で終わりを告げた。クレアが再び一礼して舞台袖に消えると、盛大な拍手が送られた。 個人戦の勝者は決まったようなものだろう。他の子達のパフォーマンスも良かったが正直レベルが違い過ぎた。

  • 人生の続きは異世界で~交換スキルの代償は金銭NG!?~   第63話 魔法学園祭二日目

    街の広場を色々見て回っていると時刻も夕方に差し掛かる頃になっていた。 幾つかの取引もできて出店を満喫したところで今日は帰ることにした。 カサネさんも魔道具や本などをいくつか購入していたようだ。ミルドさんの家に戻るとエフェリスさんが今日も美味しい食事を用意してくれていた。どうやらお店も去年より盛況だったらしく一日でほぼ売り切れたため、明日は家族で学園祭を楽しむことにしたらしい。次の日、ミルドさん達と一緒に魔法学園まで向かいミルドさん達は先に出店を回るということでそこで分かれることになった。 俺達は予定通り、魔法練習場に向かうことにした。 塔まで歩いて行くと20人程の列ができている。塔を使えるのは一度に10人程度らしい。「細長い塔ですね。これでどうやって上まで行くんでしょう?」 「なんらかの魔法なんだろうけど、俺にはさっぱりだな」 「そういえば人数制限があるみたいですけど、ロシェさんはこのまま乗れるでしょうか?」・・・た、確かに。考えてなかった。どうしよう。『考えてなかったって顔ね。気にしなくていいわ。私は先に上っておくから』そういうと、ロシェの気配が俺から離れて山の上の方へと離れていくのが分かった。自力で登っていったらしい。流石だ。「もう山の上まで行ったみたいだ。早いなぁ」 「かなりの急勾配ですのに。流石ロシェさんですね」話しているうちに俺達の順番が回ってきた。 塔の中に入ると、何もない丸い空間で床には魔法陣のようなものが描かれていた。 塔の管理をしている人が「起動しますので動かないでください」と声を掛けて、壁際に合ったパネルのようなものに触れると、一瞬視界がぶれて次の瞬間には先ほど入ってきた入り口が無くなっていた。「え?」 「到着しました。出口は反対側です」言われて反対側を見ると確かに入り口と同じ扉が開いていた。 俺達以外にも数人が驚いた様子を見せながら出口から出て行く。恐らく初見かそれ以外かの違いなのだろう。「何が起きたのか全く分かりませんでした。流石は魔

  • 人生の続きは異世界で~交換スキルの代償は金銭NG!?~   第62話 魔法学園祭初日2

    魔法学園の学園祭だけあって、出し物は魔法を絡めたものが多かった。 教室に暗幕を掛けて光の魔法でプラネタリウムのようなものを見せたり、 冷気で快適な温度に設定された喫茶店なども休憩所として好評な様だった。「学生ごとに違った発想で出し物を考えていてすごいですね」 「あぁ。中には当日楽をする狙った展示物の様なのもあったけど」 「ふふっ。確かにあそこは受付の学生さん一人だけでしたね」などと出し物の感想を話しながら歩いていると、ドン!と右側から何かがぶつかってきた。「あいったたた・・・あ、ご、ごめんなさい」 「あぁ、いやこちらこそ。大丈夫か?」ぶつかってきたのは学生の女の子だった。走っていたうえ、ぶつかったのがちょうど曲がり角だったため避けられなかったらしい。「は、はい。全然大丈夫です。すみません。急いでいるのでこれで」そう言うと、彼女はこちらの返答も待たずに行ってしまった。「随分急いでいたみたいですね」 『・・・これ、さっきの子が落としたんじゃない?』ロシェがそう言って指さした先には革製の薄いケースのようなものが落ちていた。拾って見てみるとどうやら学生証らしい。先ほどの女の子の顔写真も載っていた。名前はクレアというらしい。「そうみたいだな。どこに行ったか分からないし、落とし物として案内所にでも届けるか」 『これだけ人が多いと気配を追うのも難しいし、それが無難でしょうね』ということで、多少寄り道しつつも案内所に学生証を届けると時刻は昼過ぎになっていた。近くの出店を見ていたカサネさんのところへ戻ると、男子学生と何やら話しているようだった。「お姉さん一人?実は俺も友達にドタキャンされちゃってさ、良かったら一緒に回らない?」 「いえ、連れが居るので」ナンパだった。ほんとに一人でいると良く声を掛けられている。こういう場だとなおさらかもしれない。ともあれ、カサネさんの機嫌がこれ以上悪くなる前にさっさと合流したほうが良いだろう。「お待たせ」 「あ、おかえりなさい」 「ちっ、ほんと

  • 人生の続きは異世界で~交換スキルの代償は金銭NG!?~   第61話 魔法学園祭初日

    翌日、起きて一階に降りるとミルドさん達は既に家を出るところだった。「おはようございます。もう出るんですか?」 「おはようございます。えぇ、書置きを残しておいたんですけど、朝食は作っておいたので食べて下さいね。予備の家の鍵も置いてます。返却は今夜で構いませんから」 「え?今夜もお世話になっていいんですか?」 「え?・・・あぁ。そういえば言ってなかったですね。学園祭は明日まであるんですよ。ですので、もし急ぎでなければ明日も楽しんでいってください。今日とは違うイベントなどもあるみたいですよ」確かに昨日の話では何日間あるのかは聞いてなかった。 折角こう言ってくれていることだし、もう一日お世話になろうか。「そうだったんですか。急ぎの用はないので、もう一日お世話になります。何から何までありがとうございます」 「いえいえ、それでは行ってきます」挨拶を済ませると三人は荷物を持って家を出て行った。 少し遅れて起きてきたカサネさんと朝食を頂いてから家を出て、まずは学園の方に向かってみることにした。通りがかりに見てみると街の広場も既に賑わいを見せているようだ。「朝から結構にぎわってますね」 「あぁ、こっちは主に学園祭で集まってくる人をターゲットにした商売だな。本来なら商人の俺はこっちに混ざるべきなんだろうけど、まぁ今日は休日ということで学園祭を楽しむことにしよう!」 「ふふっ、変に拘っても気になって集中できないかもしれませんし、良いと思いますよ」 『あなたのスキルは割といつでもお祭りに近いと思うけどね』ロシェッテが呆れたようにそう言った。 確かにレベルが上がったおかげなのか、最近は店を開けば通りがかった人の何割かは何かしら買ってくれるし、旅の途中ですれ違う人達から取引を持ち掛けられることもあるのだ。「つまり普段から働いているわけだし、休んでも問題ないということだな」 『はいはい、そうね』そんな話をしながら学園へ向かう。学園が近くなるにつれて人が増えてくる。 やはりこちらがメインなだけあって集まっている人の数も段違い

  • 人生の続きは異世界で~交換スキルの代償は金銭NG!?~   第60話 エフェリスのコロンケーキ

    「楽しみにしてます!」 「それじゃ、部屋に案内するよ。こっちだ」ミルドさんが抱えていた荷物を近くに置いて俺達を部屋に案内してくれた。 俺達はエフェリスさんに一礼してからミルドさんの後を付いていく。「こことその隣が空き部屋だ。掃除用具とかはあそこの籠の中にあるから好きに使ってくれ」ミルドさんが案内してくれたのは二階にある突き当りの部屋だった。「ありがとうございます。あと、学園祭のこと後で教えて貰っても良いですか?俺達基本的なこともよく分かってなくて」 「あぁ、構わない。夕食の時にも話題になるだろうから、その時に説明しよう」 「分かりました。お願いします」 「それじゃ、悪いが掃除の方は頼んだ。俺は準備の方を手伝ってくる」そう言うとミルドさんは一階に戻っていった。 部屋を開けてみるとどちらの部屋にも最低限の家具は置かれてあった。元は客間か誰かの部屋だったのだろうか?ただ、やはりしばらく使われていなかったようで、それらの家具は埃を被っていた。「それじゃ、美味しいデザート、いえ食事のために頑張りますか!」 「あ、あぁそうだな」カサネさんがいつになくやる気だ。こんなに張り切っているのを見るのは初めてかもしれない。よほどコロンケーキが楽しみらしい。 そうして夕食前までは各自で部屋の掃除を済ませた。 掃除を済ませて一階に戻ると、キッチンの前に知らない男性が立っていた。「ん?おぉ、あんたらがミルドの連れてきたお客さんか。俺はあいつの父親でカイゼルってんだ。よろしくな」俺達もカイゼルさんに挨拶を返すと、席に着くように勧められた。 言われた通り席に着くと、エフェリスさんが食事を並べてくれた。「お掃除お疲れ様でした。さあさあ食べて下さいな。コロンケーキはデザートでお出ししますね」エフェリスさんが振舞ってくれた料理はどれもとても美味しかった。 デザートだけでなく食事までごちそうを用意してくれたようだ。「とても美味しいです」 「お口にあったようで良かったわ」

  • 人生の続きは異世界で~交換スキルの代償は金銭NG!?~   第59話 ミルド達との再会

    聞いたことのある声に振り向くとそこに居たのはやはり、以前世話になったミルドさんとエリネアさんの二人だった。「ミルドさん、エリネアさん、お久しぶりです。俺達は魔導都市がどんなところか興味があって観光に来た感じです。あ、この人は俺の旅の仲間です」 「カサネです。よろしくお願いします」 「俺はミルドだ、よろしく。アキツグさんとは以前ある人の護衛中に一緒になってしばらく同行していたんだ」 「エリネアです。よろしくお願いします」二人は何かの荷物を抱えていた。届け物の途中とかなのだろうか?「にしても観光か、それは良いタイミングで来たな。明日は魔法学園の学園祭だからな。楽しんでいくと良い」 「そうみたいですね。知らずに来たのでびっくりしました。ただ、そのせいで宿屋が全部埋まってしまっていて。どうしようかと思っていたところなんです」 「あぁ、、それはそうだろうな。・・・良かったらうちに来るか?部屋なら余っているが」 「えっ?良いんですか!?」降って湧いた幸運に驚き聞き返す。「あぁ、知らない仲でもないしな。両親も一緒に住んでいるが、二人ともおおらかな性格だから、俺の友人なら気にしないだろう。アンタらが良ければだが」 「俺は良いと思うんだけど、カサネさんはどう思う?」 「皆さんが良ければ、ぜひお願いしたいです」 「そうか。ならちょうど戻るところだし、一緒に来るか?」 「あ、ちょっと待ってください。あともう一人、この子、ロシェッテも一緒で構わないでしょうか?」俺の言葉に、ロシェが姿隠を解いた。周囲に居た人達が軽く驚いた声を出して通り過ぎていく。二人も突然姿を見せたロシェに驚いたようだ。「ハイドキャットか。初めて見たな。アキツグさんの従魔なのか?」 「はい。ギルドで登録はしています。大人しい子なので迷惑を掛けることはないはずです」 「なるほどな。うちの両親は猫好きだし、たぶん大丈夫だと思うぞ」 「良かった」 「あ、あの・・・この子、撫でても大丈夫ですか?」何だかエリネアさんが期待に満ちた目で聞いてきた。初めて見る表情だ。

  • 人生の続きは異世界で~交換スキルの代償は金銭NG!?~   第58話 マグザ到着・・・依頼達成?

    ハクシンと別れた後は特に何事もなくマグザまで来ることができた。 マグザは周囲を山に囲まれた窪地に作られた都市だ。 とある魔導士が隕石を落とした跡地に都市を作ったなんて逸話もあるらしい。 魔法学園は名前の由来だけあって大きく街の入り口からも見ることができた。 さらに学園の中には街の外からでも見える高さの塔が立っていた。街に入るとまずはカサネさんの希望で冒険者ギルドに向かった。 冒険者ギルドに入り、カサネさんは素材を売却するためにカウンターへ向かった。 俺は待つだけというのもなんだったので、何となく依頼掲示板を見に行くことにした。そこには様々な依頼が張ってあった。街中の下水道掃除や荷物運び、近辺のモンスター退治や素材採取など色々だ。 と、そこで俺は一枚の依頼に気づいた。「ハーピィ討伐依頼。貴重品の回収必須?」なんだかすごく思い当たる節がある依頼だ。というか間違いない気がする。「何だ兄ちゃん、まさかその依頼を受けるつもりか?止めときな、その依頼は俺達がこれから向かうつもりなんだ。早い者勝ちだから今から受けても無駄になるぜ?」 「え~と、いや、既に終わってるんです。この依頼」そう言って、俺はメギエスタから受け取った懐中時計を取り出した。「な、何だと?・・・確かにその懐中時計、依頼内容の品と同じじゃねぇか。何だよ、先越されたのは俺達の方ってことかよ」その男たちはがっくりと肩を落として、依頼掲示板の方へ戻っていった。どうやら別の依頼を探すことにしたらしい。なんだか悪いことをしたな。 でも、あの様子からまだ他に向かった人は居ないらしい。誰かがハーピィ討伐に向かう前で良かった。「カサネさん、ついでにこの依頼の報告も頼んだ」俺は受付に向かい、依頼用紙と懐中時計をカサネさんに渡した。「え?ハーピィ討伐依頼?・・・なるほど、そういうことですか。分かりました。」理解してくれたらしい。カサネさんは合わせて手続きを済ませてくれた。「それにしても、あのハーピィたちの討伐依頼が出ていたとは。ハーピ

Jelajahi dan baca novel bagus secara gratis
Akses gratis ke berbagai novel bagus di aplikasi GoodNovel. Unduh buku yang kamu suka dan baca di mana saja & kapan saja.
Baca buku gratis di Aplikasi
Pindai kode untuk membaca di Aplikasi
DMCA.com Protection Status