author-banner
花宮守
花宮守
Author

花宮守의 작품

愛は星影に抱かれて

愛は星影に抱かれて

天霧鈴(あまぎりりん)、27歳。記憶喪失。自分の名前さえも忘れていた彼女を、病院から自分の別荘へと連れてきたのは、従兄の天霧晧司(あまぎりこうじ)、38歳。大変な資産家。鈴の回復に一喜一憂し、献身的に寄り添う。病院で意識を取り戻してから数か月、彼が教えてくれるものが世界のすべて。彼は甘く優しく世話をしてくれるけれど、この生活は、どこか山奥に閉じ込められているようにも思える。 ある日、鈴と同い年の男性、影野夕李(かげのゆうり)が現れたことにより、事態は大きく動き始める――。 全250話前後を予定。 【その他の登場人物】 春日雷斗(かすがらいと)、明吉七華(あきよしななか) 晧司の部下
읽기
Chapter: 第2章 光と影の間で 第24話
 心臓が飛び出しそうになった。いけないと思いながらも奥を覗くと、もうひとつ。やや大きめの、同じデザインの指輪があった。 「晧司さんの……」  指輪の跡は、これだったんだ。手前に転がってきたのは、彼が誰かに贈ったもの。私の指にも、合いそうだけど……。  自分の左手薬指に通そうとして、我に返って思いとどまった。指輪のサイズが合うからって、何なの。これが私のものなら、彼は私をそれにふさわしい間柄だと明かせばいい。日本は従兄妹同士だって結婚できる。  私が彼と深い関係にあったのなら……離れないと誓った仲なら、「関わってはいけない」という言葉はおかしい。夕李とのデートを黙認するはずもない。晧司さんは私に対する執着を隠さないのに、一方で突き放そうとしてくる。  ゴホッ  壁を通して、咳き込んでいるのが聞こえた。指輪を奥へ戻し、ノートだけを持って書斎を出た。今は、自分にわかることをしよう。「思うままに進んでください」と言ってくれたのは、春日さん。七華さんも、記憶を失う前の私に「社長を信じてあげてください」と。何よりも、私の心と体があの人を受け入れた。そばにいたい。連れてこられたからではなく、自分の意志で。 「……ふぅ」  キッチンのカウンターにノートを置き、ドリンクの材料を用意しながら頭を整理した。彼は、わざとあの引出しを私に見せたのだろうか。決断させるために。それとも、意識が朦朧としていて、うっかりした? 今頃、頭を抱えていたりして。指輪のことは、見なかった振りをした方がいいのかもしれない……。  お盆に乗せたスープの横に、並々とドリンクを注いだグラスを乗せたところで、気が付いた。ノートの存在を忘れていたことに。 「私……」  キッチンに入ってから、レシピを一度も確認せずにドリンクを作っていた。書斎でちらっとそのページを見たとはいえ、今は閉じている。材料も器具も、無意識に整えていた。 「体で覚えてた……?」  それなら、さっき浮かんだ会話も記憶のかけらということになる。私は、晧司さんが二日酔いに悩まされた時に、効果覿面のドリンクを作ってあげる立場にあった……あの会話には、お互いを甘やかすような親密な雰囲気が漂っていた。親しい従兄妹なら……まして昨夜のようなことをする仲だったのなら、何の不思議もない。  重いお盆を持って、寝室へと戻る。五か月前、病院
최신 업데이트: 2025-03-31
Chapter: 第2章 光と影の間で 第23話
 ふぅ、と息を吐いた彼は、また体の向きを変えて天井を仰いだ。まだ私の顔を見るのが辛いのか、腕で半分顔を隠している。 「わかった……」  ガラガラの声は、しゃべらせるのがかわいそうになってくる。風邪かもしれない。薬を探して、見つからなかったら春日さんに聞いてみよう。 「すぐ戻りますね」  まずはスープと温かいお茶を持ってこようと、ベッドを離れる私を、「待ってくれ」と引き止めた。 「では……別の頼みだ。こういう時に効くドリンクがあるから、作ってくれないか。レシピは私の書斎の引出しに入っている。上から三番目だ。……これで、鍵が開くから」  貴重品入れから取り出したキーホルダーの中から、一番小さな鍵を示す。 「わかりました」  頼ってくれたのが嬉しくて、廊下を隔てて隣り合っている書斎へと急いだ。 上から三番目の引出しを開けると、ノートが入っていた。ほかにレシピらしきものはないから、これに違いない。開くと、ほとんどのページに新聞の切抜きが貼ってあった。内容は、様々なお料理の作り方。   大きなショッキングピンクの付箋を立てたページがあり、開いてみると、二日酔いに効くドリンクの作り方が書かれていた。何かの物語に出てきたレシピを書き抜いたものらしい。ワープロ打ちをしたものを、プリントアウトして貼ってある。白い紙の余白からノートの罫線まではみ出して書かれているのは、晧司さんの字だった。 『……を足すのはどうだろう?』  何を足すのかは、字がほとんど消えていて読めない。字の横に書かれた三角は、却下ではないけど即採用でもない、という意味に見える。  ――いいんだけどね。もう少し、こう、味がまろやかにならないものかな。  ――良薬口に苦し、ですよ。 「あれ……?」  ふっと浮かんだ会話。晧司さんと……私? 「想像しただけ……だよね」  ショッキングピンクの付箋は、晧司さんの寝室の、机の上にあったのと同じ種類だろう。とすると……。  思案しながら引出しに手をかけると、手前に傾き、奥からコロンと転がってくるものがあった。金の指輪――。
최신 업데이트: 2025-03-31
Chapter: 第2章 光と影の間で 第22話
 目が覚めたのはお昼過ぎ。体もベッドも綺麗になっていた。光が眩しい。カーテンを開けると、台風は通り過ぎていた。乱暴な洗濯機の中に放り込まれていたような世界は、すっかり洗われて輝いている。  何も着ないでベッドから出た私の体には、晧司さんに愛された赤い痕。そこに触れただけで、熱い瞬間がよみがえる。お腹の奥に残る充実感。 「なぜ……」  疼く胸は、私が忘れた答えを知っている。昨夜、私は晧司さんのもので、晧司さんも……私のものだった。決定的な言葉はなかったけど……。  カーテンを握りしめて嵐の夜を反芻していると、どんどんいけない気持ちになっていく。振り切るように、シャワーを浴びにいった。 怠い体を励ましてリビングへ行くと、晧司さんの姿はなかった。情事の名残は拭い去られている。部屋の様子は、昨夜私が帰ってきた時とあまり変わらない。 「まだ起きてない……?」  彼の寝室は、私の部屋の隣。静まり返っていたから、もう起きているものだと思っていた。引き返して寝室の前まで行くと、中から扉が開いた。重い足取り。前髪が乱れ、顔色の悪い晧司さんが、私を見て瞳を揺らした。素肌に夏のガウンを纏っている。 「リン、昨夜は……」  声もひどい。体がふらついて、私の方へぐらりと倒れそうになったのを、壁に寄りかかってかろうじて支えている始末。 「二日酔いですね……」 「そんなことはいい。昨夜はすまなかった。私は君に……ゴホッ」 「『そんなこと』じゃありません。ベッドに戻ってください。私につかまって」  頭痛に障らないように声を落とし、彼を寝かせて窓を開けた。 「少し、空気を入れ替えますね。冷製のスープがあるから、持ってきましょうか?」 「うん……それもいいが、頼みがある」 「何でも言ってください」 「春日を呼んで、君はこの部屋には近付かないことだ。無理に私の世話を焼く必要はないんだよ」 「春日さんですか? 明日みえますけど、その前にお仕事のお話があるなら……」 「そうじゃない。こんな男に関わってはいけないと言っているんだ」  私に向けた背中は、反対のことを訴えている。リン、行かないでくれ――っ
최신 업데이트: 2025-03-30
Chapter: 第2章 光と影の間で 第21話*
 頭も心も、とろかされていく。晧司さんの冷たい炎は、私に火をつけ、彼自身をも高めていく。「んっ……あ、あ……そこっ……」「リン、いい子だ……何度でも、ほら……」 いつ終わるとも知れない、途切れることのない執拗な行為。服を着たままの彼に後ろから抱きかかえられ、ソファーが時々きしむ音と、絶え間ない水音が羞恥を煽る。もう何度達したかわからない。煌々と明かりの灯るリビングで、私だけが生まれたままの姿で……。外は雷雨。行為が始まった時から遠くで轟いていた雷鳴。今は、私のあられもない姿を知らしめるかのように、連続して稲妻が閃いている。「晧司さん……晧司さん……」 気持ちがよすぎて、けれど状況に混乱して、掠れた声で名前を呼ぶことしかできない。彼はとろとろになった私を食べてしまいそうなくらい、頬に、耳に、肩に、熱い唇を押し付けてくる。汗といろいろなものが彼の服を濡らしていく。顔が見たくて後ろを向いた時、目が合って胸を衝かれた。何て切ない瞳――。「その目はいけないな。まったく君は……」「あっ……待って、晧司さんっ」 抵抗する間もなく、ソファーに仰向けに寝かされた。繰り返されたオーガズムで力が抜けていたせいもある。それまで頑なに服を脱がなかったのが嘘のように、下半身を露わにした彼は、いつも「おはよう」と言う時の顔で優しく笑った。反射的に気が緩み、次の瞬間にはもう、圧倒的な質量の侵入を許してしまっていた。 痛くはない。不快でもない。でも、心が追いつかない。体は悦んでいる。これを待っていたのだと……これが欲しかったのだと、奥へ奥へと彼を受け入れる。呼吸を乱して一糸纏わぬ姿となった彼は、私を宥めながら突き、擦り、揺さぶった。叩きつける雨の音を聞きながら、激情の波に攫われていく。 動きが制約されることに焦れてくると、晧司さんはつながったまま私を抱え上げ、私のベッド
최신 업데이트: 2025-03-29
Chapter: 第2章 光と影の間で 第20話*
「晧司さん……?」 「お帰り、リン」 「起きてた……?」 「かわいい気配と、石鹸の香りでね」  髪を弄ぶ指にドキッとした。腰を抱く大きな手も、夕李との行為を連想させる。 「ん? 今日はどんな悪いことをしたんだ? 言ってごらん」  耳を食べられてしまいそうな囁き方……背骨をすーっと撫で上げる触れ方……頭のてっぺんから足の爪先まで、ゾクゾクと電流が走る。  ――この感じ、知ってる! 「リン、答えるんだ」  髪をよける手つきも、私を射竦める目も、優しい従兄のものではない。男の人のもの。酔っているから? 寝ぼけて、昔の私と話しているつもりかもしれないし……何だか、怖い……。 「ンッ……」  腰から下の形を確かめるように丸く撫でられて、甘い声が漏れた。 「ほぅ……情熱的だ。さすが、若いな」 「え? ……あっ」  髪で隠していたキスマーク。晧司さんは、寝間着の襟から覗くそれに爪を立てた。 「ん、んっ」  局所的な鋭い痛みが、体の奥まで浸透する。いやがっていないどころか悦びさえも感じる自分に、戦慄を覚えた。体を反転させられ、彼がのしかかってきた。「よく見せなさい」とほかのキスマークに噛みつかれ、体中を点検するように脱がされていく。彼の肌の温もりに、泣きたくなった。 「はぁ、あ、ん……」 「もっと声を出して……素直になりなさい」  素直に、って……。夕李が付けた痕を上書きされ、背中も太腿も点検されて……足の指の一本一本まで、「私のものだ」と教え込むかのような念入りな愛撫。どっと溢れる愛液。濡れそぼった秘所を、晧司さんは異様な目で見つめた。 「や……恥ずかしい」 「許したのか? ここを」  氷のように冷たい声。思い切り首を横に振った。 「確かめなくてはな……」  侵入してきた指を、私の体は拒まなかった。
최신 업데이트: 2025-03-28
Chapter: 第2章 光と影の間で 第19話
 ラグにぺたんと座り、ソファーの縁に手をかけて呟いた。あなたはこの世の何より私を大事にしてくれるけど、私たちはただの従兄妹同士。夕李は私を愛してくれていて、私も心が動いたはずなのに、受け入れることができなかった。二人とも悲しそうで、それは確かに私のせいなんだ。「どうすればいいっていうの……」 起きてよ。教えてよ、晧司さん。あなたは全部知っているんでしょう。知識だけで構わない。経験として思い出せなくてもいい。今すぐ、知りたい。「り、ん……」 ハッと顔を上げると、彼は安心しきった笑みを浮かべていた。夢を見てる。今ではない、以前の私の夢だ。晧司さんのことを、たくさん知っていた頃の私――。 たまらなくなって立ち上がり、自分の部屋へと逃げ込んだ。 私の部屋は、奥のドアから専用のお風呂場へ行ける。すっきりしない気持ちを洗い流したくて、シャワーを浴びた。洗面所にもなっている脱衣所の鏡を覗くと、何をしてきたのか一目でわかる痕がいくつも付いていた。夏のワンピースタイプの寝間着では隠し切れない。髪を垂らしてごまかした。「晧司さん、大丈夫かな……」 さっぱりとした体で考えれば、自分の子供じみた振る舞いが恥ずかしくなる。悲しんでみても始まらない。デートが失敗したのは、私の心の準備が足りなかったせい。夕李は、待つと言ってくれた。今夜のことで、お互いに悪感情を抱いたわけでもない。 晧司さんの方は、妹の初デートで気を揉む兄のような気持ちだったのかもしれない。あれだけ過保護なんだもの、考えすぎてしまう前にお酒に逃げることは十分に考えられる。説明のつかないことが多いにしても、目の前の情報を的確に読み取る努力はできる。私が彼の立場でも、居ても立っても居られないだろう。 八月といっても、この辺りは朝晩の気温が低い。あのままでは風邪を引いてしまう。気になって見に行くと、体勢を変えることなく眠っていた。引き続きいい夢を見ているのか、表情は穏やか。ぐちゃぐちゃだった私の心も静まっていく。「リン……そっちへ行ってはいけないよ……リン&
최신 업데이트: 2025-03-27
좋은 소설을 무료로 찾아 읽어보세요
GoodNovel 앱에서 수많은 인기 소설을 무료로 즐기세요! 마음에 드는 책을 다운로드하고, 언제 어디서나 편하게 읽을 수 있습니다
앱에서 책을 무료로 읽어보세요
앱에서 읽으려면 QR 코드를 스캔하세요.
DMCA.com Protection Status