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来須みかん
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Novels by 来須みかん

恋愛ゲームの世界から脱出する方法はイケメンからの告白!?

恋愛ゲームの世界から脱出する方法はイケメンからの告白!?

高校二年生の白川穂香は、ある日、目覚めるとなぜか現実世界がゲームになっていた。 この世界から脱出できるたった一つの方法は、学園内のイケメンから告白されること。 自称幼なじみのサポートキャラ高橋レンと、この世界から脱出するために恋人のふりをすることになったが、なぜか他のイケメン達ともどんどん仲がよくなっていき、彼らの秘密が明らかに。 化け物退治の専門家!? 異世界を救った勇者!? ホラーゲームの主人公!? 彼らの協力を得て、穂香はこの世界の謎を解き明かし脱出を試みる。
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Chapter: 第36話 今まで何度も失敗してきた原因
「ええっ⁉」穂香が叫んだ瞬間、風景が変わる。【同日 昼/教室】(朝の校門から、お昼休みまで飛ばされてる)隣の席のレンが、「さっきのは、どういうことですか?」と深刻な顔をした。「それが……。校門がバラで飾られていたから、文化祭用の飾りだと思いこんじゃって。まさか、他の人には見えてないなんて思わなかった」「なるほど。そういうことなら、仕方ないですね。あなたが、急に先生に話しかけに行ったので驚きました」バラが見えていないレンからすれば、穂香の行動はおかしく見えただろう。「驚かせてごめんね。ねぇ、レンには見えていないってことは、穴織くんの専門だよね? 放課後、先生に会う前に、穴織くんに相談したほうがいいかな?」「そうですね……」穂香が教室を見回しても、穴織の姿はない。「そういえば、穴織くん。朝から見てないね。今日はお休みかな?」「どうでしょうか……」いつもより、レンの反応が薄い。「どうしたの? 大丈夫?」「私は大丈夫ですよ」「でも、何か悩んでいるように見える」レンは、ため息をついた。「違いますよ。ただ、今回は私があなたの恋愛候補なのに、次から次に穂香さんの別の恋愛相手候補が関わってくるのはなぜだろうか、と思いまして」「それって、おかしいことなの?」「それが、今まで穂香さんと私で恋愛しようとしたことがないので分からないのです。でも、引っかかりますね。いい気分ではありません」そう言うレンの顔は険しい。「もしかして、レン、怒ってる?」ハッとなったレンは「別に、嫉妬ではないですからね!?」と頬を赤く染めた。「大丈夫、分かってるよ。レンは、研究のために私の側にいてくれているんだよね」緑色の瞳が大きく見開く。「それ、本気で言ってます?」「え、うん」「自分で言うのもなんですが、こんなに分かりやすい態度を取っているのに?」きょとんとしている穂香を見て、レンは盛大なため息をついた。「あなたが、これまで何度も何度も恋愛に失敗してきた原因が、たった今、分かりましたよ」「え? 何?」「ものすごく鈍いからですよ!」「やっぱり怒ってる!」「怒ってないです。あきれてはいますが」メガネを外したレンは、頭が痛そうに目頭を押さえた。メガネを外したレンを見たのは、夢の中だけなので新鮮に感じる。「レンって、メガネかけててもイケメンだけど、外
Last Updated: 2025-03-25
Chapter: 第35話 私、何か変なこと言いましたか?
レンが部屋から出ていくと、風景が変わる。【10月12日(火) 朝/通学路】(次の日になったから、また学校に向かっているんだね)制服を着た穂香とレンは、通学路を並んで歩いていた。(昨日、あんなことがあったから、気まずいんだけど……)沈黙が重苦しい。穂香が、チラッとレンを見ると、いつもと変わらないように見えた。(そっか。私はレンが好きだけど、レンからしたら、キスもただの研究だもんね)そう思うと、少しだけ胸が痛いような気がする。(私も、もう気にするのはやめよう)穂香がフゥと息を吐くと、レンが「昨日の件ですが」と話し出した。「昨日……」キスしたことを思い出して、真っ赤になった穂香につられるように、レンも赤くなる。「そっちではなく、未来の監視の話です」「あ、ああ、それね。原因が分かったの?」レンは、制服のネクタイを少しゆるめると、首から下げていたお守りを取り出した。それは、昨日穴織からもらったもので、穂香も念のため身につけている。「そのお守りが原因なの?」穂香の問いに、レンは首をふった。「お守りというよりは、正確には穴織くんの能力のおかげですね。昨日、彼が穂香さんの家に結界を張ってくれたでしょう?」「じゃあ結界が化け物だけじゃなくて、未来からの監視も防いでくれてるってこと?」「おそらく」とレンはうなずく。「昨日の彼の説明では、穴織一族の目的は【穴を開けて、別の世界からこちらにこようとしている化け物を防ぐことである】と言っていました。そして、彼らの能力で【別世界に通じる穴を閉じることができる】と」「えっと……。ちょっと難しくて、よく分からなくなってきたんだけど」穂香が遠慮がちに伝えると、レンは呆れることなく教えてくれた。「ようするに、穴織一族からしたら、人を襲おうとする化け物も、人類の滅亡を防ごうとしている未来人も、【現代に無理やり介入しようとしている】という点で、同じようなものなのでしょう」「なるほど、さすがレン! 確かレンは、未来の科学者だったよね? 頭がいいはずだ、説明が分かりやすい!」「褒めても何も出ませんよ」コホンと咳払いをしたレンの頬は少し赤い。「話を続けますが、穴織くんにその意思がなくとも、彼が結界を張った場所は、未来人からの干渉を受けなくなります。このお守りも同じような効果があるので、身につけている限り、私が
Last Updated: 2025-03-24
Chapter: 第34話 研究になった?
穂香は、レンを涙目で見つめた。「あ、ありがとう! 実は、生徒会室で化け物に襲われそうになったことを思い出しちゃって」「化け物に? どうして、それを先に言わないんですか⁉」「あれ? 言ってなかったっけ?」「聞いてませんよ。先に言ってくれれば……」レンは、途中で口を閉じた。「言ってくれれば何?」穂香がレンの顔を覗き込むと、少し怒っているように見える。「えっ、もしかして、無理やり引きとめたから怒ってる?」「……違います。その、事情を知っていたら、もう少しあなたに対して優しい対応をですね……」ブツブツ言っているレンの肩を、穂香はつかんだ。「大丈夫! レンは、いつだって優しいよ!」「なっ!?」レンは右腕で顔を隠してしまった。隙間から見えている耳や頬が赤くなっている気がしなくもない。「もしかして、照れてる?」レンから返事はない。「レンが照れるなんて珍しいね。ようやく私の可愛さに気がついた? なんてね」冗談を言っていると、レンは顔を隠すのをやめた。その顔は少しも赤くなっていない。「今日の穂香さんは、だいぶ余裕があるみたいなので、研究の続きをしましょうか」「研究?」首をかしげる穂香に、レンはニッコリと作ったような顔で微笑みかける。「ほら、前に言ったでしょう? 10秒間、キスすると……約8千万の菌が互いの口内を移動するという話」ボッと音がなりそうなほど、瞬時に穂香の頬は熱くなった。動揺する穂香の手に、レンがそっとふれる。「ちょ、ちょっと待ってっ!」ゆっくりとレンの顔が近づいてきた。(ほ、本当にキスするの⁉)穂香がギュッと目をつぶると、「フッ」と笑う声が聞こえる。目を開けると、レンが困ったような顔をしていた。「そんなに嫌そうな顔しないでください。無理やりなんてしませんよ。冗談です、冗談」「じょう、だん」急に恥ずかしくなった穂香は、膝を抱えて顔をうずめた。(本当にキスするかと思って驚いたけど……)いつも側にいて、いつでも穂香の味方をしてくれる。口は悪いけど、本当は優しい。そんなレンに、キスされそうになって嫌な気分になるはずがない。(私、たぶん、レンのことが好きなんだ)チラッとレンを見ると、すぐ近くにレンの顔があった。緑色の瞳が不安そうに揺れている。「すみません。ふざけすぎました。あなたを傷つけようとしたわけではなくて―
Last Updated: 2025-03-23
Chapter: 第33話 今日だけですよ
穂香が穴織に頼んだとたん、風景が変わった。【同日 夜/自宅前】(学校から私の家まで飛ばされたんだね)日が暮れて、辺りは暗くなっている。穂香は、玄関の扉を開いた。「ただいま!」声だけ聞こえる母から「おかえりなさい」と返事がある。「お母さん、友達連れて来たから」「友達って、どうせレンくんでしょう? って、あら?」どうやら母は、穴織を見たようだ。「いらっしゃい。穂香のクラスメイトかしら?」「はい、同じクラスの穴織です。今日は文化祭のことを話し合うために集まりました。遅い時間帯にすみません」穴織は、動揺することなくスラスラと嘘の説明をしている。(穴織くん、すごい! 正体を隠して化け物退治をしているから、こういうことになれているのかも?)感心している穂香の横で、レンが「穂香さんの部屋はこっちですよ」と指をさす。穴織は、母との会話を切り上げると、レンのあとに続いた。「なんで白川さんじゃなくて、レンレンが案内してくれんの?」レンは「まぁ、ここにはよく来ますから」と淡々としている。「え? それって、部屋にくる仲ってこと? 自分ら本当に付き合ってないんやんな?」その言葉は、穂香の胸をえぐった。「そうだよ、付き合ってない……。レンが私のことを好きになって、告白してくれたらこの恋愛ゲームの世界から脱出できるのにね」レンは、穂香から視線を逸らす。「そんなことを言われても、嘘の告白では、意味がないから仕方ないでしょう」「分かってるよ。大丈夫、頑張るから」そんな会話をする二人を見た穴織は、「なんか、こっちはこっちで大変そうやなぁ」と哀れみの目を向ける。穂香は、自室の扉を開いた。「はい、ここが私の部屋だよ。あまり片付いてないけど、どうぞ」すんなりと入ったレンとは違い、穴織は入るのをためらっている。「穴織くん?」「あ、いや。女子の部屋に入るの初めてでちょっと緊張してる」「えっ? 穴織くん、彼女の部屋に入ったことないの?」「ないない。というか、今まで生きてて彼女ができたことが一度もない」「こんなに爽やかイケメンなのに!?」驚く穂香以上に、穴織が驚いた。「えっ、俺って白川さんから見たらイケメンなん!?」「私だけじゃなくて、誰から見てもイケメンだよ! 明るいし誰にでも優しいし、クラスの皆、穴織くんのことが大好きだと思うよ」「そんなん
Last Updated: 2025-03-21
Chapter: 第32話 協力しよう
穴織は「怪しい人?」と穂香の言葉を繰り返した。「えっと、説明が難しいんだけど、穴織くんは、私が閉じ込められている恋愛ゲームの重要人物で……」「俺が?」まさか、『あなたは私の恋愛候補なんです』とは、さすがに本人に言えない。「穴織くんは、前におまじないのことを調べていたよね?」穴織に『やってみてほしい』と言われて、穂香とレンはおまじないのことを知った。「あのおまじない、私にも関係あることみたいなの」おまじないをしたら、夢の中でレンと話せるようになった。そして、怪しい黒髪先輩もおまじないをしていた。黒髪先輩は、生徒会長のことが好きなようで、生徒会長は化け物に付きまとわれている。(これだけいろんな人が関わっているんだから、おまじないは絶対に重要イベントだよ。これをクリアしたら、私や皆の問題も少しは解決するかもしれない)話す武器が『娘は、嘘はついておらん。悪意もない』と言う。穴織は赤い髪をグシャとかき乱した。「うーん、分かった。白川さん、とりあえず手を組もう。というのも、正直、こっちは行き詰ってるねん」穂香が「穴織くんは、化け物退治の専門家なんだよね?」と確認すると、穴織はうなずく。「今さら隠しても仕方ないから言うけど、俺の家は代々化け物を退治してきた一族でな。今回も化け物退治の依頼を受けてこの学校に来たんや。でも、なかなか解決できんくて」「穴織くんでも倒せないほど、化け物が強いってこと?」「そうじゃなくて、倒しても倒してもキリがなくてな」穴織は、話す武器を穂香に見せた。「俺の一族は、名前の通り【穴を織(お)れる】ねん」「えっと?」「まぁ、分からんよな。本来なら、化け物と人間が暮らす世界は異なるんやけど、人間の悪意や憎悪、絶望などが強すぎると穴が開いて、そこから化け物がこっちに来てしまうことがあるんや」『こちら側に来た化け物を退治して、開いた穴を塞ぐのがワシらの役目じゃ』「な、なるほど?」と言ったものの、穂香はよく分からない。穴織は気にせず話し続けている。「普通は、こっちに来た化け物を退治して、穴をふさいだら終わるねんけど、次から次へと化け物が現れてな。しかも、おまじないをしたら同じ夢を見れるとか言うし、原因が分からんくて困ってんねん」「原因って、おまじないじゃないの? おまじないの力で化け物を呼びよせている、とか?」「うーん」
Last Updated: 2025-03-20
Chapter: 第31話 穴織(赤)の疑問②
穴織に「お前、同業者か? それとも、俺らの敵か?」と問われたとたんに、穂香の前に透明なパネルが現れた。(選択肢だ……。ということは、これはものすごく重要な質問だということだよね)2枚の透明なパネルには、『正直に答える』と『うまく誤魔化す』と書かれている。不思議なことに、選択肢が現れている間は、周囲の時間は止まっているようだ。穴織もレンも固まったままピクリとも動かない。(たぶん、うまく誤魔化したほうがいいと思うけど、口下手な私じゃ誤魔化せる気がしない)中途半端なことをすると、余計に穴織の怒りを買ってしまいそうだ。(だったら、もう正直に話すしかないよね?)穂香は、おそるおそる『正直に答える』のパネルにふれた。そのとたんにパネルが光り消えてなくなる。時間が動き出したようで、レンが穂香をかばうように、穴織との間に割って入った。「何か誤解があるようです」「だったら、俺が分かるように説明して、その誤解とやらを解いてくれや」穂香は、ゴクリとツバを飲み込んだ。「穴織くん。今から全部話す。信じられないかもしれないけど、私の話を最後まで聞いてほしいの」腕を組んだ穴織は「分かった」とうなずく。(もし、選択肢が間違っていたら、記憶を消されてやり直し……でも、もうやるしかない!)穂香は覚悟を決めて話し始めた。「まず、私とレンは、穴織くんの同業者でも敵でもないよ。むしろ、穴織くんが言っている同業者も敵もなんのことだか分からない。でもっ」穴織は無表情のまま、耳を傾けてくれている。「穴織くんとは別件で、私自身もおかしなことに巻き込まれてしまっているの。信じてもらえないかもしれないけど……。私、恋愛ゲームの世界に閉じ込められているの」穂香が口を閉じると辺りが静まり返った。しばらくすると、穴織の胸ポケット辺りから『言霊(ことだま)の色を見る限り、この娘、嘘はついとらんぞ。しかも、殺意はもちろん、悪意すらない』と声がする。「う、嘘が分かる……?」穂香の顔から血の気が引いていく。「それって、もし私が『うまく誤魔化す』の選択肢を選んでいたら、バッドエンドになってたってこと⁉」穴織は「ジジィの声が聞こえるんか⁉」と驚きの表情を浮かべている。「うん、聞こえてる。それに、穴織くんが私の記憶を消そうとしたけど、消えてないの」「俺の術まで効かんなんて……。一体、白川さ
Last Updated: 2025-03-19
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