まぁ、わたしが学園で攫われたからなんですが。 え? 護衛の癖にあっさりと攫われるなよって? いやごもっともなんですが。 でもね? 最近アン様への襲撃がホント酷くて……。女学院の警備に公爵家の護衛を追加してもらって……と色々対策しても収まらない襲撃。 わたし自身が護衛だとはまだバレてないけど、それ以外の護衛については公爵様の方からアン様に伝えてもらった。本人に狙われてる自覚がある方が、いざって時に違ってくるしね。 それに……命を狙われること自体は正直今までもあったらしい。 それは『王太子の花嫁候補』って言うだけじゃなく、対外的には女性であるアン様を拉致して、身代金や公爵様の立場を危うくしようと動く者達の仕業だったりとか……。公爵様への逆恨みとかまぁ色々。 高位貴族の宿命だよ、とはティボー公爵様の弁だけど、誰だって命を脅かされるのはストレスだ。 なので、今回襲撃が頻繁に行われたことによって、アン様が精神的に少々参ってしまっても仕方なくて……。 それはアン様のお心が弱いとかでは決してなくて。 ……どんどん元気のなくなっていくアン様を見ていると……わたしもなんだか苦しくて。 なのでっ! ティボー公爵様にもご許可を取って、こちらから打って出ることにしたのだ。 証拠がないとか、隣国との関係が…とかそんなの、顔色の悪いアン様を前にしたら吹っ飛ぶというものだ。 アラン様モードの時も、普段の傍若無人な態度(世間でアレは俺様系というそうな)は鳴りを潜め、なんだか静か過ぎて……わたしの調子も狂うしね。 いっちょ本気出しますよっ! ……と思った矢先にわたしが襲われたので、これ幸いと攫われてみたわけです。 恐らくわたしが拉致された事は公爵家の護衛の方も直ぐに気づくでしょうし、そしたら現場を抑えて言い逃れのできない状
Last Updated : 2025-04-18 Read more