「──さて、レア君。何をしているのカナ?」「はぁ……え?」 目の前に現れたジセルの顔に、レアはふと戸惑いの色を浮かべる。ジセルはどこか冷徹でありながらも、どこかいたずら心を滲ませる口調で返す。「こんばんは♪」 その声に、レアは一瞬にして体が硬直する。慌てた様子で、レアは口ごもりながらも問い返す。「こ、こんばんは……って! え、お、起きてる?」「ウン、そりゃ起きてるヨ。寝言でこんな事言わないヨ」「……ご、ごめッ! これは、違くてッ!」 ジセルはゆっくりと掌を動かし、ベッドシーツの乱れた皺を丁寧になぞるように伸ばしながら、レアの動揺する表情をまるで解剖するかのような冷静な眼差しで観察していた。壁際に映る影が、レアの背中に罪人の烙印のように濃く刻まれているかのようだ。(ふむ……何かを誤魔化す時に大体『違くてッ!』ってセリフを言うのは、フィクションの世界だけじゃなかったんだな) ジセルは無言のままじっとレアを見据える。その眼差しに、レアは次第に言い訳の言葉を飲み込み、肩を落として項垂れるようになった。「うっ……い、いつから起きてたの?」 レアの震える声にジセルは一瞬の間を置くと、冷静な口調で答える。「『ジセルばっかべろちゅーできてズルい……僕だってしたいのに』とかいうセリフのちょっと前からだな」 それを聞いたレアの顔は一気に赤く染まり、恥じらいと苛立ちが交錯する表情を浮かべた。「え、それって……最初からじゃないかぁ〜ッ! 起きてたなら言ってよ!」 ジセルは軽くため息をつくような口調で問い返す。「……言ったとして、今お前がここにいる事をどう誤魔化すつもりだ?」 レアは言葉を失い、口ごもるばかり。ようやく、震える声で呟く。「ぐっ」「どっちにしろ『べろちゅー』も出来なくて、苦しいままお前は自室に戻る事になるなぁ〜?」 ジセルの言葉は冷徹ながらもどこか茶目っ気を帯び、レアの内面に潜む欲望と葛藤を容赦なく突きつける。レアの体は次第に抵抗できぬ衝動に震え始め、心の奥底で押し込めた感情が噴出しようとしているかのようだ。「うぅ」「で、次の日とかに……完全に俺が眠った後で発散しに来るつもりだったんだろうが。そうなったとしても……夜、俺に対してレアが何かしてるっていうのは、ちゃんと分かるぞ?」 ジセルの一言一言が部屋に響くたびに、レアの顔は次第に
Last Updated : 2025-02-12 Read more