その男は娘がネットで知り合った恋人で、彼女より10歳年上の無職の男だった。毎日ネットカフェに入り浸り、ネットで少女たちを騙して金を巻き上げているような男だ。声を聞いて男が振り返り、娘を放り出すと、ふらふらと私の方へ歩いてきた。「おい、ガキ、これがテメェの母親か?なかなかイケてんじゃねえか」男は口元を歪ませながら私を品定めするように見てきた。その視線が胸元にまで及ぶと、私は思わず吐き気を覚えた。「ママ!お願いだから!もうお小遣いなんていらないから、何もいらないから、私を家に連れて帰って!」娘が突然地面に膝をつき、涙を大粒に流し始めた。「お父さんが新しい女性を娶ってから、私に対して全然優しくなくなったの。一円もくれないし、おばあちゃんも私を全然かまってくれない。毎日私にあれこれ手伝わせるばっかり。継母も私に冷たくて、怒るとすぐに私を罵るの家出して彼氏と同棲したけど、その彼氏だって私を大事にしてくれない......」その言葉が終わるか終わらないうちに、男が彼女を足で蹴り上げた。「お前は俺の女なんだよ、一生な!俺が学校に通わせてやってんだから文句言うな!俺から離れたい?ふざけんな!逃げたら絶対殺すからな!」男はそう叫ぶと、何度も娘を力いっぱい蹴りつけた。周りの保護者たちがこの光景を目にしたが、大半は冷めた様子で見ているだけだった。まるでこういうことが日常茶飯事のようだった。少し離れたところで誰かが携帯を取り出し、警察を呼ぼうとしたが、隣の人が止めた。「やめとけ、意味ねえよ」「前にも何度か警察呼ばれてたんだよ。警察が来て男を連れて行こうとしたら、あの娘、警察に向かって『私の幸せを妬むな』って懇願してたんだぜ」「警察も困ってたよ、あの時の顔、今でも忘れられない」「他人の家のことに首突っ込むとろくなことにならないよ」私もその話を聞いて苦笑いするしかなかった。確かに、娘ならそういうことをやりかねない。男は暴力を振るい終えると、娘の髪を乱暴に掴み、遠くに停めてあったバイクの方へ引きずって行った。その様子を目で追っていると、道路の向こう側に立つ真由美の姿が目に入った。彼女は街灯の柱の影に隠れて、こちらの様子を遠巻きに見ていた。私は思わず笑い、手を振って彼女を呼んだ。「何してるの?こっち来なさ
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