この世界の時間で言うと、私はもう8年も長瀬深と一緒にいる。今日、私の誕生日なのに、もう夜8時だというのに長瀬深はまだ帰ってこない。彼の姿を見つけたのは、皮肉にもインスタだった。女を両脇に抱え、いかにも楽しそうな顔をしていた。真相は分かっていても、私は長瀬深にメッセージを送って、帰って来るのかどうか聞いてみた。長瀬深はすぐに返信してきた。ビデオ通話で、長瀬深はカメラの角度を調整して、部屋にいる全員の顔が映るようにした。薄着の女たちに混じって、にやにやと下卑た笑いを浮かべる男たち。その光景を、私は画面越しに見ていた。長瀬深はまたカメラを自分に向け、軽薄な口調で「キスして」と言った。すぐに二人の女がカメラに近寄り、長瀬深の両頬にキスをした。女たちはわざわざ私に、「お姉さん、私たちが社長と一緒だから、心配しないで!」と声をかけてきた。長瀬深は満足げに笑った。わざわざ動画を送ってきて、不愉快な気分にさせるなんて、私には何も言えなかった。半年前までは誰からも理想の恋人だった長瀬深だが、今では彼の友人たちが私を見る目に憐れみしか感じられない。......長瀬深はこの物語の社長である主人公。彼がヒロインと出会う前に財産を築き上げるのが私の任務だ。私が長瀬深と出会った頃は、彼は奨学金で生活する貧しい大学生だった。長瀬深の育った環境が彼に与えた影響は、貧困だけでなく、性格の奥底にある劣等感と頑固さもあった。当時の6畳ワンルームで、私はいつか長瀬深が腹黒く、偏執的な社長になるだろうと予感していた。長瀬深が私に惹かれたのは、とても突然だった。関係を維持して、任務をスムーズに進めるために、私は長瀬深の恋人になった。先月、私とシステムのやり取りを長瀬深に見られてしまい、本当の任務がバレるのが怖くて、彼を落とすのが任務だと嘘をついた。それから、長瀬深の私への態度は180度変わってしまった。どんな女でも家に連れ込み、私の前でわざと親密な仕草をするようになった。辛くないなんて嘘だ。8年も一緒にいれば、石ころでも情が移るものだ。8年間の気持ちが、どうしてこんなにもあっさり変わってしまうのか、私には理解できない。たとえ私が彼の気持ちを裏切ったと思っても、これほどまでに彼の仕事に尽くしてきた私と、もっと穏便
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