私がネット恋愛をしている相手は、なんと私が勤める会社の社長だった。面会?ありえない。なぜなら、彼はまだネット上で恋人である私が、実際は自分の社員だと知らないからだ。最近、社長の機嫌が悪くて、会社全体がピリピリムード。みんな普段以上に真面目に働いていて、サボるどころか呼吸さえ控えめになった気がする。社長が深夜まで仕事をしていると、誰も先に帰る勇気がないので、結局みんな夜の11時や12時まで付き合う羽目に。私も連日寝不足で、目の下にはクマ、肌の調子もガタガタだ。実を言うと、社長がここまでイライラしている理由を知っているのはおそらく私だけ。だが、それを口にすることはできない。なぜなら、社長が失恋した原因が、他でもない私だからだ。この一件の発端は、ネットで知り合って2年になる恋人が突然「会いたい」と言い出したことだった。私たちはあるアプリで知り合った。彼が投稿したスレッドのタイトルは「なんで俺に彼女ができないんだ?」興味を引かれて開いてみると、内容はこんな感じだった。「25歳、身長188センチ、体重83キロ、旧帝大卒業、専攻は管理科学と工学。現在は上場企業の社長を務めており、年収は少なくとも何千万円以上。車も家もあるけど、ルックスはまあ普通。今まで彼女ができたことがないんだが、原因が分からない」コメント欄は冷笑とツッコミで溢れ返っていた。「釣りスレ乙」「夢見てんのか?旧帝大卒で25歳の副社長とか、どんなファンタジーだよ」「家族経営かコネ以外でこんな若さで社長になるとかあり得ないだろ?しかし残念なことに、一般的にこういう人は海外の大学に進学しているものだ」私は遊び半分で「多分顔が原因じゃない?写真見せてよ」とコメントを残してスレを閉じた。すると、数分後に彼から個別チャットが飛んできた。「こんにちは、写真を個別に送ってもいいですか?」はっ? 不思議に思いながらも、面白そうなので「いいですよ」と返信。その後送られてきた写真を見て、思わず口にしていたコーヒーを噴き出した。「身長188?いやいや、150センチって言われても信じるわ!」鏡越しに撮った自撮り写真で、顔の三分の一が隠されている。撮影角度のせいで頭が大きく見え、体がやたら小さく映っていた。髪は爆発したように跳ねていて、黒縁メガネがさらに野暮
続きを読む