ヨガのレッスンが終わったところだった。私は男性生徒に三角のポーズのコツを説明していた。すると、愛原大介の大きな影がスタジオの入り口に現れた。少し不思議に思った。彼は私が外で働くことに反対していたから。まさか、ここに来るとは思わなかった。何かあったのかと近づこうとした時、先を越された。桜井が艶めかしい足取りで主人に近づき、甘えるような声を出した。「愛原様ですよね?桜井美咲と申します。先生をお迎えにいらっしゃったんですか?」「先生はいつも熱心に教えてらっしゃるんです。特に男性生徒の時は、レッスンが終わってもまだ指導が続くので、お待ちになることになりますよ......」私の表情が一瞬固まった。この桜井、今日はまるで背骨を抜かれたみたいに、今にも人の旦那の胸に倒れ込みそうな様子だった。少し不快だった。相手が誰であれ。ヨガスタジオは心身を整える場所であって、色気を振りまく狩り場ではない。近寄る前に、大介の鋭い視線が飛んできた。大介はイライラした声で言った。「何も問題なく暮らしていたのに、どうしてヨガスタジオなんて始めたんだ?」「それに、その服装は一体何だ?」そう言って、先ほどの無邪気な若い生徒を意地悪そうに見やった。生徒は怖くなって逃げ出してしまった。大介の態度があまりにも良くないと思った。眉をひそめ、「ヨガは私の趣味よ。スタジオを開いて、より多くの人に健康を届けられる。それのどこが問題なの?」「それに、このヨガウェアは、指導と練習用の専門的な服装よ。素人が余計な評価をしないで」私は不機嫌そうにタオルを彼に投げつけ、これ以上言うなという意思を示した。普通なら夫婦げんかはここで終わるはずだった。しかし、横にいた桜井は唇を噛んで笑い出した。「愛原様はご存じないかもしれませんが、先生は体型が素晴らしいから、大胆な服装がお似合いなんです」「効果は抜群ですよ。このヨガウェアが描き出すライン、それに透けて見える部分とか......クラスの男性たちはみんな目が離せないんですから!」「私なんかは、小さい頃から厳しいしつけを受けてきましたから、ヨガをする時も控えめな服装しか選べません。少しでも不適切になるのが怖くて」そう言いながら、彼女は少し俯き、恥じらうような素振りを見せた。
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