これから、小森可偉は毎日残業し、夜中まで食材を切り続けていた。だが、彼がどれだけ努力しようと関係なく、私は定時になればさっさと退勤していた。他の同僚も少しはやる気を見せたものの、30日間も高強度の労働を続けられる者はほとんどいなかった。それは寺田社長にとってはむしろ都合が良かった。寺田社長の考えでは、毎月1度の会議で少し励ましの言葉をかければ、スタッフたちは1週間か10日くらいは勤勉になる。それだけでも、レストラン全体の利益を少しは向上させられるというものだった。その月の決算をまとめてみると、確かに全員が経費削減に努めたことがわかった。例えば、水道代や電気代を節約し、ティッシュや割り箸の使用量も控えた。また、お客様に無料で提供する梅ジュースの量まで減り、さらには食材費用まで削減されていた。食材費はレストランのコストの大部分を占めるため、寺田社長はこれを非常に喜び、「社員に空約束を与えたのは正解だった」と自画自賛していた。全員に目標ができたおかげで、サービスも以前より格段に良くなり、ネット上でも高評価が続出していた。その結果、ユーチューバーたちも注目し始めた。そんな中、人気のあるグルメレポーター「小リンゴの美味探訪」が火鍋専門店でのライブ配信を終えた帰り道に、偶然深夜のうちのレストランを見つけた。彼女は厨房でまだ誰かが働いている様子を見て、視聴者にこう呼びかけた。「わぁ、みんな見て!この店、最近ネットで話題になってるけど、なんと深夜2時にもまだ作業してる人がいるのよ!ココスの労働時間といい勝負じゃない?ちょっと覗いてみようか?コメントでアイデアを教えて!何が見たい?」ライブ配信のコメント欄には視聴者たちが盛り上がり、10分も経たないうちに、視聴者数が3,000人以上増加した。【コメント欄】「また小リンゴがやらかす気か?」「サービスが本当にいいのか見てみよう!深夜に追加注文したら、対応してくれるのかな?」「いやいや、厨房の衛生状態をチェックしろよ。小リンゴの配信で無傷で終わる厨房なんて見たことない!」コメントがどんどんヒートアップする中、小リンゴも興奮を隠せなかった。四川料理店のうちのレストランは、料理の味が絶品で、最近ネット上で高評価を受けているだけでなく、サービスもココスに匹敵すると評判だった。もし
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