私の母は町で餅専門店を営んでいる。小さな餅一つが二百万円もするのに、女性客たちは血相を変えて争い、まるで欲求不満のような様子を見せていた。姉はそれを見て、彼氏と分け合って食べようと一箱持ち帰りたがったが、母は一蹴した。家の餅は母以外誰も触れないのだと。姉は言うことを聞かず、こっそりと地下の冷蔵室に忍び込んだ。真夜中、姉の艶めかしい吐息が聞こえてきた。......祖父母が他界してから、母は古い家を売り払い、どうしても町で餅店を開くと言い張った。場所は外れにあったが、商売は驚くほど繁盛していた。そう、まだ夜が明けきらぬうちから、上機嫌の娘たちが何人も店に向かってきていた。「おばさん、やっと間に合ったわ。今日の餅、全部買い取らせてください」母は首を振り、一人一個限りで、それ以上は売れないと言った。二人の娘はたちまち不機嫌になった。「こんなに早く来たのに......儲かる商売を断るなんて。早く売ってくれれば、あなたも早く片付けられるでしょう」二人は辺りを見回し、人気のないのを確認すると、すぐに黒い大きなバッグを開け、分厚い札束を母の前に投げ出した。「これなら良いでしょう?これでも売らないって言うの?」母は現金を見ても反応せず、ただ黙って手袋をはめた。「お嬢さんたち、昨夜は随分と楽しまれたようですね。夜食が足りなくて、お腹を満たしに来たのかしら」二人はその言葉を聞いて、頬を真っ赤に染めた。「そうなのよ。声も出さないうちに終わっちゃって、つまらなかったわ」母は何でも分かっているような表情を浮かべ、餅を一つずつ袋に入れて渡しながら、小声で言った。「この餅は美味しいけれど、食べ過ぎは禁物よ。一人一個で、十分気持ち良くなれるわ」二人は顔を見合わせ、何も言わずに金を確認すると、上機嫌で立ち去った。通りがかりの人がちょうどそれを目にして、近寄ろうとしたが、母に制止された。「いくらすんだよ、二百万?姉ちゃん、これじゃ銀行強盗じゃねえか!」母は彼らを睨みつけ、一言残した。「買わないなら見るな。買う人はいくらでもいるわ」太陽が昇るにつれ、客は増える一方だった。餅を手に入れた客は笑みを浮かべていた。「家のろくでなしの男なんか......この餅の方が私を潤してくれるわ。ああ......きつい..
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