All Chapters of うちのとんでもないおばさん: Chapter 1 - Chapter 8

私はかつて、自分が天の恵みを受けた存在だと思っていた。両親に愛され、仕事も順調で、夫婦円満、姑とも仲良く、ただ、幸せにもいつか終わりが来る。武とは病院で出会った。当時、私はまだ学生で、指導先生に付き添って病院で実習していた時、父親の看病をしている武を見かけた。長く病気になると、孝行者はいなくなると言われているけど、武は毎日変わらず父親の面倒を見ていた。父親が失禁しても、面倒を嫌がらず、衣服を取り替えて体を拭くことをしていた。愚痴一言もなかった。そのような細やかな看病をしていた武の父親が亡くなった時、私は初めて、男が地面にひざまずき、涙を流しながら泣いているのを見た。おそらく、その孝心に触れ、慰めるつもりで彼に近づいていった、徐々に親しくなり、共通の趣味や話題で、自然に恋愛関係になり、結婚へと進んだ。唯一後悔したのは、結婚して三年経っても、子供ができなかったこと。私は子供が欲しくなかったわけではないし、特に身体的な問題もなかった。ただ、今はキャリアのスタート時期だから、子供を持つのは適切ではないと思った。武も最初はこの考えに賛成していたけど、あのおばさんで、すべてが変わった。武のおばさんに、初めて会った時に十万円のお祝い金を渡された。私はそれを受け取るつもりはなかったけど、彼女の強引さには敵わなかった。私は少し気まずかったけれど、武にそれを受け取らないと失礼だと言われた。強く勧めてきたので、断りきれずに礼をしながら受け取った。後で何か買って返そうと思ってた。おばさんの過剰な熱心さは、あまり喋らない姑とは対照的だった。姑はあまり話さなかった、多分「ハイ」と「ウン」くらいだった。おばさんのそばにいると、まるで姉妹じゃなく、おばさんの使い走りみたいに感じる。おばさんが何か指示すると、姑はその通りに動くばかりだった。自分の意見なんて全然ないのが姑に対する私の第一印象だった。あの家では、おばさんと武の方がむしろ親子みたいに見える。結婚後もその感じはますます強くなった。おばさんは頻繁にうちの家に来て、まるで自分の領地を視察するかのように、他人の部屋にも遠慮なく入ってきた。私はその態度に不満だったが、武は慣れた様子で、おばさんにもう少し寝かせてと甘えてた。「まだ寝る気？あんたもういくつだと思ってるの？結婚して妻

同じ日、私は二度雷に打たれた。この言葉は、ふたつ目だ。「元妻？武がいつ私と離婚したの、私全く知らないわ」今度は小林の親友がその場で立ち尽くしていた。私は青山の口から、別のバージョンを聞いた。小林はおばさんの家族の親戚で、若い頃は選り好みしていたため、年を取ると誰からも相手にされなくなった。高望みしすぎて妥協もできず、年齢的に困っていた。その時、おばさんが武を紹介してきた。小林は武より六歳年上で、最初武は乗り気はなかったが、おばさんは死ぬ覚悟で頼み込んだ「年がいってても、少なくとも子供は産めるわ。清水家が絶えるのは許せない！私が清水家のために生きてきた、あんたはそれを終わらせるつもり？私が生きている意味なんかないじゃない！」おばさんが泣き落とし、わめき散らした効果があったみたいで、武は私に黙って小林に会うことにした、二人は一度会った後、何故か本当に関係を持つことになった。おばさんと武は結婚していたことを隠し、地元で小さな結婚式を挙げた。招待されたのはごく近しい親戚だけで、そこの習慣によると、結婚式を行ったら夫婦になれるってことだ。小林はとっくにおばさんが武に買った家に引っ越し、姑と一緒に住んでいた。でも私はその家が嫌いだから、一度戻ったこともなかった。姑がうちに来ても、何も言わなかった。どうりで他人の家庭に入り込んだくせに、私を見る目が憎しみに満ちていたわけだ。武はずっと小林に財産分与のことで、私にしつこく絡まれていたと言っていたらしい。病院でも、私が子どもに何か変なことをしないように、仕方なく黙って我慢していたんだ。私はどうやって青山に別れを告げたのかも覚えていなかった。ただ、別れ際に青山に言った「小林は今回は女の子を産んだけど、あの家族はずっと男の子を欲しがってる」それも小林に伝えたかった、彼女がそれをどう受け取るかは、彼女自身の運命次第だ。私は離婚契約書を作成た。武から何度も電話がかかってきたが、すべて無視した。資料が整った後、おばさんのところへ行った。扉越しに、おばさんが姑を罵る声が聞こえてきた「あんたと同じの女の子しか産まない役立たず目」予想通りだった。部屋の中では喧嘩が続いていた、正確に言えば、おばさんが一方的に姑を罵っていた。その内容には当て擦る部分もあった。「あんたが兄と結婚した時、二

青山から聞いた話によると、小林が事実を知った後、一度メンタル崩壊したらしい。彼女もメンツを大事にする人だから、自分が浮気相手だってことを受け入れられなかったみたい。それに、その立場で子供まで産んだなんて。広まったらどうやって人前に出られないって思ったんだろうね。結局、おばさんが清水を連れて小林の前に行き、これからは私とは一切関係をもたないと誓った後、小林はようやく納得した。でも、青山は怒りっぽいから、小林が清水を許すことに決めたのを見て、彼女がまた騙されるんじゃないかと心配して、私のところに確認しに来たんだ。私が肯定的な答えをした後、青山の目には失望が浮かんでいた。帰る前に彼女は「なんか、小林への態度が変わった気がした」って呟いた。そりゃそうだよね？出産後3ヶ月の女性、疲れ切った顔、妊娠線だらけのお腹、毎日授乳で寝不足の黒クマ、病院で毎日何百人ものこんな女性を見ていた。女性の状態に戻るには時間がかかるし、お金と家族の支援も必要。清水は何を彼女に与えられるんだ？最初の1ヶ月は小林が子供を産んだのは女の子だったが、とりあえず家系が続いたから、おばさんも笑顔で迎えてくれた。でも、小林が私とは違って、ちゃんとした仕事も、安定した収入もなかった。子供が生まれた瞬間、大きな出費が始まり、清水一人の収入では厳しすぎる。おばさんはよく清水のポケットにこっそりお金を入れてた、一回や二回ならまだしも、何回もやってると、おばさんの夫の家族もついに我慢できなくなって、嫁いでから、自分の弟をいろんな形で助けてきて、さらには息子が家を買うお金まで渡したって文句を言い始めたんだ。実は、その中には私もちょっと関わってる。本当は、おばさんが私と元夫に使ったお金をちゃんと計算して、それで自分が堂々と生活を送れるようにしたかった。私が離婚するって決めて、その帳簿をおばさん名義の家に置いていったんだ。だがたまたま遊びに来たおばさんの息子に見つかっちゃった。そもそも、前におばさんは清水のお父さんが重病だって口実でお金を取ったが、そのお金でこっそり清水に家を買ってあげた。そのせいで、おばさんの息子は一時期結婚できないところだった。昔の話を持ち出されて、おばさんの息子は今や母親と絶縁寸前。援助できなくなったら、清水もおばさんの言うことも聞かなくなっ

姑の二人の娘の行方に疑問を持ったとき、病院でカルテを調べた。うちの病院の産婦人科と小児科は地域で一番だから、小児科の記録を調べれば、清水の亡くなった「姉たち」のことがすぐに分かった。その二人の女の子も、どちらも高熱が下がらず運び込まれたらしい。でも、40度以上の熱が続いていたにもかかわらず、医者が入院治療を勧めたのに、家族は拒否して家で治すって無理やり退院させた。その時小児科で実習医した若い医者は、今や小児科主任になった。当時のことをこう語った「あの家族がね、金を騙し取るつもりだろうなんて文句言ってさ。甘い水でも飲ませば治せるとか意味不明なこと言って、無理やり子どもを連れて帰って、市販薬を飲ませたみたい。もちろん、同意書にサインしたらすぐ退院させた」そんなことをさせたのが、間違いなくおばさんだってことは、考えなくても分かる。彼女が本気で市販薬が効くと思っていたのか、それともただ金をケチりたかったのかは分からなかった。でもその結果、二人の女の子は命を落としたんだ。姑はいかれたように叫びながら外に飛び出した、誰もその痩せた老人を止めることができなかった。そして力任せにおばさんを地面に突き倒した、清水と小林を力強く引っ張りながら叫んだ。「救うのよ！いくらかかっても絶対に救うんだ！」おばさんも当然黙っているわけがなく、立ち上がると怒鳴り返した「いかれたか！？私を突き飛ばすなんて、誰があんたたちを養ってきたと思ってんの？恩知らずどもが！」その言葉が終わるが早いか、小林が突然平手打ちを食らわせた。そしてナースステーションのボールペンを掴むと、右手にしっかり握りしめた。「これ以上喋って治療の邪魔をしたら、このペンをあんたの首に刺してやる、信じないなら、試してみな」おばさんは目を見開き、目の前にいる、全身ボロボロだけど目だけは燃えるような怒りを宿した小林をじっと見つめていた。そして、とうとう一言も喋れなくなった。この場の女たちが凶暴さをむき出しにしていたが、あの男だけは隅で縮こまり、一言も発しなかった。私はその場で一部始終を見届けたあと、ちらりと腕時計を見て家に帰った。その後、おばさんの息子の嫁は家を買う件の真相を知り、彼女との付き合いを拒否した。息子も当然、嫁側につき、二度とおばさんに会いに行かないと決めたらしい。そして清水