生まれ変わった日の朝から、前田東吾(まえだ とうご)の様子がおかしいことに気づいた。彼は朝食を用意し、息子を起こしに行こうとする私を止めた。「僕が息子を起こしてくるから、先に手を洗って食べてて」笑顔の東吾を見て、優しさを感じるどころか背筋が寒くなった。9年前に結婚し、1年目で息子を授かった。それ以来、私たち三人は幸せな家庭を築いてきた。東吾は精神科医で、私は小さな会社を経営している。二人とも忙しいため、朝食は普段外で済ませていた。9年間で東吾が早起きして朝食を作ったのは、これが初めてだった。私が考え込んでいるうちに、息子は寝室から出てきた。眠そうな息子を見て、私は少し戸惑った。前世でも、今日だった。会社で会議中に従妹から電話があり、息子が学校で同級生とトラブルを起こし、その子を階段から突き落としたと言われた。すぐに病院へ向かった。救急外来に着くなり、被害者の家族に殴られた。痛みをこらえながら、息子に何があったのか聞こうとした。顔を腫らした息子は従妹の手を握り、私を指差して言った。「これは全部ママがやれって言ったの。人を突き落とせって言われたの!」従妹も私を非難した。「お姉さん、前から言ってたでしょう。こんな教育じゃ大変なことになるって!」従妹は息子の担任だった。二人の非難に戸惑う中、そんなことを教えた覚えはないと必死に説明しようとした。そこへ東吾が遅れて到着。味方になってくれると思ったのに、彼は私を完全に追い詰めた。「前田由美(まえだ ゆみ)、前から医者に診てもらうように言っただろう。家で小動物を解剖したり、息子にホラー映画を見せたりして、こんな風に育ててしまって!」東吾の言葉で、私は血なまぐさい趣味を持つ変質者として描かれた。息子が同級生との問題をこんな方法で解決したのは、私の教唆が原因だとされた。周囲の怒りを買い、弁明する暇もなく通行人に警察署へ連行された。警察は自宅で大量の動物標本と解剖書、メスを発見した。この事件で私は悪名を馳せることになった。ネットには私への罵声が溢れ、家の前には花輪と排泄物が置かれた。会社も倒産した。東吾とは別居し、息子は精神病院で治療を受けることになった。ぼんやりと生きていた私は、ある日外出した際、被害者の家族が運
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