最後の専門授業の試験を終えて教室を出たところで、姉から電話がかかってきた。「試験終わった?夏休みの予定は?なければ私のところに来てね」考える間もなく、僕はすぐに断った。「いや、東京で先輩が小さな会社を始めたから、2ヶ月間インターンシップをするつもりだ」「まだ大学2年生でしょ。焦らなくていいの。小さな会社なんて信用できないから、義兄に頼んで大きな会社を探してもらうわよ。部屋ももう準備してあるから」 普段は批判ばかりの姉が、珍しく僕を責めず、むしろ気を使って次の計画を立ててくれた。ただ、姉と一緒に住むことを考えるだけで、頭皮がゾワッとして、携帯を握りしめながらあれこれ考えた挙句、結局「家に帰るから」と断った。しかしその夜、帰宅して荷物も解かないうちに、母が部屋に入ってきて言った。「この夏休み、姉さんのところに行ってあげなさい」なんでみんなして僕に行けって言うんだ?大企業でのインターンへの憧れも少し薄れ、僕はそのまま言った。「行かないよ。東京でインターンするんだから」母はすぐに慌てて僕の腕を掴み、「あなただけで?そんな遠くに行って、私が安心できると思う?」母の視線は疑いに満ちて僕を上から下までじっくり見て、まるで僕が一人で東京に行ったら風に飛ばされ、跡形もなく食い尽くされるように思っているようだった。僕が不満そうな顔をしているのを見て、母は感情に訴えかけ、理屈を並べ始めた。僕のベッドに腰掛けて、手をポンポン叩きながら言った。「姉さんが妊娠していて、今体調が良くないから、そばにいてくれる人が必要なのよ」妊娠しているのか。それでみんな急に優しくなって、僕のことまで気にかけ始めたんだ。「あなたが大学の学費や生活費を払ってもらっているのは、姉さんと姉さんの夫なんだよ。それを知らない振りをするなよ?」こんなに大きな道徳の帽子を被せられたら、どんなに嫌でも引っ越すしかなかった。ただし、思いもしなかったのは、僕がまるで蜘蛛の巣の中に住むような感じになったことだ。そこには妖艶な妖怪はいないが、どこか奇妙な雰囲気が漂っていた。自分から「来てほしい」と言っていた姉は、僕が来た途端に冷たくなった。むしろ「見えない方が気が楽」という態度さえ感じさせた。それに比べて、ウォール街の投資家並みに忙しい金融エリートの義兄は、僕に対して少し過
Last Updated : 2024-12-06 Read more