私は天川るい。ただの平凡な大学生のはずだった。けれど、最近ずっと悩みのタネが尽きない。恋愛なんてしたこともないのに、ある日突然、謎の現象に襲われたーー乳汁が分泌されるようになったのだ。しかも量がとんでもない!3時間ごとにこっそり搾らないと、乳腺炎になりかねない。最悪なことに、軍事訓練で迷彩服を着て走ったり跳んだりしなきゃいけないから、布が擦れて胸が痛くて痒くて......もう耐えられない!涙が出そうなほど辛い私は、意を決して医務室に向かうことにした。その日、昼休みの時間にこっそりシャワーを浴びたあと、新校舎の3階にある唯一開いている医務室へ急いだ。幸いにも新入生たちは教官のスパルタ指導で疲れ果てているから、廊下には誰もいない。大丈夫、誰にも見られない。そう自分に言い聞かせながら、緊張した気持ちで扉をノックした。「どうぞ」簡潔で落ち着いた男性の声が返ってきた。男の先生だと気づいた瞬間、帰りたくなったけれど、胸の重たい痛みがそれを許さなかった。深呼吸して気持ちを整え、顔を赤らめながらドアを押し開けた。なるべく視線を下げたまま、そっと椅子に腰を下ろす。「どうしましたか?」清らかで穏やかな声が響いた。意外と若そうな印象だ。その声に促されて、私はさらに顔が熱くなるのを感じながら答えた。「えっと、その......先生......」小さな声で震えながら口を開く。「お休みが欲しくて......診断書をお願いできませんか?」「軍事訓練を休みたがる学生は多いですが、本当に具合が悪い場合に限りますよ。どこが調子悪いんですか?」その冷静な質問に、私はどうしようもなく恥ずかしくなって、蚊の鳴くような声で答えた。「む......胸が......」その言葉を口にした瞬間、彼の反応が気になって、私はこっそり視線を上げた。目の前にいたのは―ただの医者じゃなかった。彼の端正な顔立ちは、まるで彫刻みたい。高い鼻梁にかかった金縁眼鏡、その奥で冷静に視線を落としながらペンを走らせる姿はまさに「草食系」そのもの。まさか、こんなにイケメンな人が先生だなんて............いやいや、そんなことに気を取られてる場合じゃない!胸の痛みをどうにかするために来たのだから。彼の白衣姿はまるで光をまとっ
Last Updated : 2024-11-22 Read more