優奈とカードキーを巡って揉めた数日後、学校の掲示板に私の名前が現れた。 それを教えてくれたのは渚だった。 彼女はゲーム好きで、いろいろなゲームグループに入っている。その中で誰かが掲示板の書き込みを転送してきたらしい。 最初に広まった噂は、私が目立ちたがりで、毎日のように医務室に通って楓真に会いに行っている、というものだった。 実際、軍事訓練が終わったあとはどの新入生もおしゃれに気を使っていて、少しでも「あの迷彩服時代」のイメージを払拭しようとしていた。 そんな中、私は長袖やパンツスタイルばかりで目立つような服は着ていない。 楓真の「気にしなくていい」という言葉を思い出し、その書き込みも無視することにした。 掲示板には毎日何百もの書き込みがあり、誰かの悪口や恋人探しの書き込みで溢れている。 私のことなんてすぐに埋もれるはず―そう思っていた。 しかし、数日後、渚がまた怒った顔でスマホを私の目の前に叩きつけてきた。 「これ、ふざけすぎでしょ!こんな嘘まで書くなんて、ただのいじめじゃん!」 私は彼女の剣幕に戸惑いながら画面を覗き込むと、そこには私が妊娠したという信じがたい内容が書かれていた。 その書き込みはまるで私の日常を知り尽くしているかのような詳細さだった。 どんな薬を飲んでいるか、どの時間に寮を出入りしているかまで書かれている。 さらにコメント欄を見ると、内容はどんどん悪化していく。 「大一の新入生がこんなに奔放なの?3年彼女いない俺も見習わないと!」 「この薬、泌乳を抑えるやつだよね。うちの薬局にもよく問い合わせがある」 「正解!自分で調べたけど、マジで新しい世界が広がったよ!」 「いやいや、天川さんって男の子ともほとんど話さないよね?なんか違和感ある」 「そこがわかってないな~。毎日医務室に通ってるってことは、どっかのじいさんと......とか?www」 その酷い内容に目を通していると、渚が肩を掴んで揺らし、心配そうに聞いてきた。 「大丈夫?しっかりしてよ」 私はスマホを置き、混乱した頭を整理しようとした。 そんな私を見て渚はさらに焦ったように言う。 「慌てなくていいから!これ、管理者に頼めば投稿者の情報を調べられるから、今すぐ連絡してみる!」 でも、彼女に頼むまで
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