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新幹線で失禁した私と狂気の母 のすべてのチャプター: チャプター 11 - チャプター 13

13 チャプター

第11話

ヒロ(二)悠香が亡くなった後、彼女の母親は精神病院に入院した。周囲の人々はみな彼女に同情していた。続けざまに二人の子供を失ったのだからと。しかし、俺には同情なんて微塵も湧かなかった。悠香が生きていた頃に味わったあの苦しみを、彼女の母親も当然、味わうべきだったからだ。俺はさらに、悠香が残した日記の一冊を、彼女の父親に送りつけた。悠香の心の奥底で、最も愛していたのは父親だったことを俺は知っていた。ある夜、悠香の父親が俺を訪ねてきた。四十代の男が、たった一夜で髪が真っ白になっていた。震える体で、彼は俺に訊ねた。「悠香は、どうやって生きてきたのか」と。俺は、悠香の生活をありのままに伝えた。トイレに隠していたナイフ、川辺に灰となって積もる吸い殻、迷信的な儀式で彼女に掛けられた赤い布、尿で濡れた新幹線の座席。彼は震えながら、まるで子供のように泣き出した。「悠香に対して、本当にひどいことをしてしまった。俺が間違っていた。悠香の兄を失った悲しみを、悠香のせいにするべきではなかった」だが、彼の涙を見ていると、俺の胸にはただ嘲笑と冷笑が浮かぶばかりだった。彼の涙なんて、俺には所詮偽物に過ぎない。俺は彼を決して許さない。悠香もきっと彼を許さないだろう。
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第12話

ヒロ(三)七年後、俺は結婚した。娘が生まれた。ふわふわと愛らしい小さな子で、鼻先には悠香と同じ赤い小さなほくろがある。俺は彼女を大切に育てている。まるで、悠香への後悔を抱えながら愛情を注ぐかのように。妻は、俺の両親の墓の隣にある墓地に誰が眠っているのか尋ねたことがある。俺はただ「妹だ」とだけ答えた。深夜、悠香のことを思い出すたび、俺自身も彼女に対する感情がよくわからなくなる。愛情なのか、同情なのか、あるいは家族への情なのか……俺もよくわからない。ただ、悠香の命日になると、俺はどうしようもなく涙を流し、心が張り裂けそうなほど苦しむのだ。
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第13話

ヒロ(四)十年後のある日、街で俺は悠香の父親に出会った。彼は紐で悠香の母親を縛りつけ、震える手で街角のゴミ箱を漁っていた。警備員が「この夫婦は本当に気の毒だ。子供を失って孤独な生活を送っている」と同情していた。しかし俺は冷ややかな表情のまま、ペットボトルを二人の前に投げつけた。この二人の結末は、まさに自ら招いた報いだと思ったからだ。
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