2011年8月10日。森田建設グループの社長、森田義雄の息子である森田つばさが亡くなった。遺体はビルの最上階にある父のオフィスで発見された。午前10時半頃、義雄はデスクに天井から垂れてくる血の跡を見つけた。スタッフが天井を外すと、そこには手足を縛られたまま喉を切られたつばさの遺体があった。白いシャツは暗い赤色に染まり、自らの血溜まりの中で息絶えていた。検死結果によると、つばさは喉を切られた後、出血がゆっくりと進むよう傷口を処理されていた。つまり、手足を縛られ、声も出せないまま天井裏で、長く苦痛に満ちた死を迎えたのだ。さらに義雄の背筋を凍らせたのは、つばさが死亡してから発見されるまでの時間がわずか一時間足らずだったことだ。もし一時間早く発見していれば、つばさは救われたかもしれないのだ。犯人はあざ笑うように、「お前の縄張りで、お前の息子を殺した。本来なら助けられたのに、何もできなかったな」と。そして、「次はお前を殺すこともできる」と言わんばかりだった。
最終更新日 : 2024-11-07 続きを読む